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個別記事の管理2011-01-17 (Mon)

ご訪問ありがとうございます☆

山猫 (河出文庫)山猫 (河出文庫)
(2004/10/05)
ランペドゥーサ

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 どちらかというとヴィスコンティの映画で有名なのでしょうか? 自分も観たい観たいと思いながら今の今まで観れずじまい。ならば、原作を! ということで。以下文庫裏表紙よりあらすじ。

時は十九世紀、イタリア統一戦争のさなか。新しい国のあり方に充分な理解を抱きつつも、崩れゆく旧体制に殉じようとするシチリアの一貴族、サリーナ公ドン・ファブリツィオの物語。
貴族社会の没落、若者の奔放な生、自らに迫りつつある死に直面して、彼は何を思ったのか。


 この小説を小説を読み解くのに、当時のイタリア情勢を知っていた方がぐんと理解度アップします。
 自分はまったく疎かったので、最初ちょっと戸惑いました。が、文庫の巻末の解説に詳細な説明があるので、まずそこから予備知識を得て読んだ方がベストです。

 何より主人公のドン・ファブリツィオが秀逸のキャラ造形。時代背景はイタリア統一戦争の不穏な情勢下。由緒正しい貴族の長でありながら、台頭しつつある新体制に理解を示しているという進歩的な人物。
 自分の子供達よりも甥であるタンクレディを溺愛し、彼が新体制にのめり込んでいくことを認め、陰ながら助力を惜しまない。
 この旧体制の象徴である・ドン・ファブリツィオと新体制のである象徴・タンクレディの、2人の人物を対比して描いているところが読ませる。新旧を代表する、ともすればありがちな2人の対立というものは決して無く、お互いがお互いの立場・思想・人格を尊重し合っているという設定も面白い。

 ドン・ファブリツィオはあくまで冷静・沈着。崩壊しつつある貴族制度の中にあっても決してあがくことなく、その推移を静かに見守っている。そして新体制で上院議員としての地位を薦められてもあっさりと辞してしまう。
 自らの地位と名誉に固執することなくあるがままを受け入れようとするその潔さは、裏返すと、大いなる歴史のうねりにおいては何をしても無駄なのだという、完全な諦観の念なのかもしれない。それが彼の一層の孤独を浮き彫りにし、哀れさを誘う。

 並行して語られる新体制の代表たるタンクレディとこれまた新時代の女性・アンジェリカとの華麗な恋愛と結婚。それに絡むドン・ファブリツィオの娘、コンチェッタとの淡い三角関係も読ませどころ。
 白眉のシーンは、第6章の「舞踏会」。
 ドン・ファブリツィオとアンジェリカ。落ちぶれゆく老齢の彼と台頭する若さ溢れる彼女があたかも交感するように踊る、壮麗なシーン。絶妙な配役で時代の交代を暗喩した巧い描写に胸が熱くなる。

 そして自分が一番気になったのがコンチェッタとタンクレディの関係。アンジェリカの登場によってコンチェッタは失恋の憂き目に遭ってしまうのだけれど、タンクレディが真に愛していたのは実はコンチェッタだったのではないかと。タンクレディは兵士として成功するためにどうしても資金が必要だった。そしてアンジェリカは成金の娘。彼女の美貌と財力の前に屈し、彼は打算で結婚したに違いないと思いたい。

 時を経て、老齢に達したコンチェッタ。彼女は貴族としての、またドン・ファブリツィオの魂を受け継いでいたのかもしれない。実の娘の自分ではなく、甥のタンクレディを愛した父親への満たされぬ愛情、50年経て知ったタンクレディの自分への想い。そして謳歌することのなかった過ぎ去った青春。それらすべての負の感情を封じ込めたのが、父の愛犬のミイラ。
 ラスト、そのおぞましいミイラをようやく処分することによって彼女はようやく過去と決別し、遅ればせながら新時代・新体制へと歩んでいくのだろう、と個人的に解釈。
 体制を批判することなく、自身の運命を受け入れてゆくそれぞれの人物の愛憎劇・心理描写が素晴らしい。そして何よりドン・ファブリツィオが体現した「滅びの美学」にココロ打たれました。
 まさに名作です。


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Theme : 今日の一冊 * Genre : 本・雑誌 * Category : 山猫
* Comment : (2) * Trackback : (0) |

映画を見ました * by キヨハラ
名作とうたわれた映画でしたが、難しくてよくわかりませんでした。
原作も相当難しいのでしょうね。
惺さんのレヴューで読んだような気になれてお得な気分です。
「1月後半に読んだ本☆ 」に再掲されていたの機会にこちらにたどり着くことができました。

ヴィスコンティ、また見てみたいと思い、テレビでやらないかとチェックしていた時期もありましたが、なかなか放送しませんね。

Re: キヨハラ様☆ * by 惺
こんばんは~☆
> 名作とうたわれた映画でしたが、難しくてよくわかりませんでした。
> 原作も相当難しいのでしょうね。
難しいんですか…観るにはそれはちょっとツラいかもですね。
原作はブ厚くてちょっと参りましたが、時間をかけて読むと結構感動モノです。

> ヴィスコンティ、また見てみたいと思い、テレビでやらないかとチェックしていた時期もありましたが、なかなか放送しませんね。
ホントですよね~。
今って、映画自体放送が減ったような気がします。
CATVなどで専門チャンネルが出来たからでしょうか?
ちょっと残念ですね。

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