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個別記事の管理2012-10-30 (Tue)
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 最新刊で、評判もなかなかと噂なので購入。ジャケ画も良いカンジ。以下BOOKデータベースより内容。

「輝くような人生の流れに乗るためのボートは、どこにあるんだろう」。
誕生日を間近に控えた大晦日の朝、3年間一緒に暮らした彼が出て行った。
その原因は……

 面白かったです。
 ただ面白いだけじゃなくて心に静かに沁みてくるというか、ラストに向かうにつれてじわじわとくるというか。
 ヒロイン紗登子の一人称語りで物語が展開してゆくのでストーリーとしてはシンプルな印象。登場キャラも少ないのでサクサク読めてしまう。
 29歳。彼と同棲しているけれど、ふとしたきっかけで喧嘩をし、彼が部屋を出て行ってしまう──結婚という言葉がチラつくけれど、イマイチふんぎりがつかない紗登子の心情がよくわかる。誰かにいてほしいけれど、反面独りでいたいという二律背反の複雑なヒロイン像が面白かった。

 読んでいて思ったのが、紗登子は男女の愛情よりも家族の愛情に飢えているということ。
 寂しいから、相手が自分に言いよってくるから。そんな刹那的な想いでその時々の恋人と付き合っているけれど、自分が真に欲している物は別にある──ということが、紗登子は気づいていないんじゃないのかな。もしくは漠然と気づいているけれど認めたくないとか。生きることに不器用で、他人に甘えることが下手なヒロイン像というのがとってもよく描かれているなと。

 物語は年末から年始にかけてのほんの数日間の出来事なのだけれど、実に濃い時間を感じさせてくれる。紗登子の家族に対する(特に母親)長年の確執と歪な心情が、ゆっくりと時間をかけてほぐされてゆく(ように思えた)過程が淡々と描かれていて、とてもいいなと。

 読んでいて自分的にお気に入りのキャラがいるのだけれど、それが紗登子の義理の父と克子おばさん。義理の父親は紗登子とまったく血縁関係がないけれど、物言わぬ優しさや気を遣いすぎて不器用だけれど、義理の娘に対する愛情がひしひしと感じられて良いなあと。
 で、この作品中でとても重要な人物だと個人的に思っている克子おばさんは、まさに紗登子の心の拠り所だと。 母親と自分との関係を改めて考えなおさせてくれるきっかけとなるキーパーソン的な人物なのだなと思った。克子おばさんとの何気ない会話て紗登子が癒されていくのがよくわかるし。

 クラウドクラスターって最初は一体なんだ? と不思議だったのだけれど後半でその正体がわかって納得。それは母親であり家族であるのだと。←あ、ネタバレか。失礼!
 一番近い人間関係を築く「家族」。だからこそやっかいで難しい。けれど一番愛しいものなのだと感じさせてくれる作品。で、気になったのが、紗登子の弟。読んでいて彼が一番可哀そうだったんじゃ…って思えて。彼のその後が知りたいな。


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個別記事の管理2012-03-03 (Sat)

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晴天の迷いクジラ晴天の迷いクジラ
(2012/02/22)
窪 美澄

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 前作の「ふがいない僕は空を見た」がとても良かったので、こちらもものすごく期待。以下BOOKデータベースより内容。

壊れかけた三人が転がるように行きついた、その果ては?人生の転機に何度も読み返したくなる、感涙の物語。

 登場人物は3人。
 地方から出てきて都内でデザイナーとして働く24歳の由人。家族関係のトラウマを抱えながら彼女にフラれ、さらには勤めている会社が倒産寸前……という苦境に立たされ、ついに軽いうつ病に罹ってしまう。心療内科を受診して渡された錠剤。それを服用してなんとか精神と身体を持ち答えさせている。
 その由人が勤務する会社の社長・野乃花。可愛らしいのは名前だけで、50歳寸前の男と見紛うばかりの女傑。その彼女も若くして子供を産んだのはいいけれど、育児ノイローゼに罹り、幼い娘と故郷を捨ててきた……という過去を持つ。
 そして、異常なまでに潔癖症で神経質な母親の許で育った正子。唯一出来た親友を亡くし、異常なまでの干渉を受ける母親の影響下で次第に精神を病みそうになってゆく……。

 ……というこの3人がふとしたきっかけで知り合い、偶然テレビで見たとある島に迷い込んだクジラを見に行く──という共通の目的を持ち、共に行動してゆくという物語。
 さすが、心を病みがちな人物を描写させたら巧いです、作者サン。三人三様の心の葛藤や苦悩や病理が巧く表現されていて圧倒的な筆力で一気読み。鬱・育児ノイローゼ・リストカット等々、代表的な現代病を抱える人物がとてもリアル。
 自分的に一番良かったエピソードは正子かな。異常なまでに神経質で過干渉な親の許で次第に壊れてゆく少女の心理と、唯一出来た友人である双子との関わりがとっても良い。赤ん坊の時に重病で亡くなってしまった姉に囚われている正子一家の狂気もさりげなく恐ろしい。その狂気からなんとか抜けだそうとする正子が、自然体で描かれていることに好感持てた。

 耳が聞こえなくて島に迷い込んでしまったクジラが快復し海に戻るまでを、そっくりそのままこの3人に例えているのもまあ、少し予定調和かな? と思えなくもないけれど。心を病み迷い傷ついた3人が、がんじがらめの自分の現状を抜け出し、おおらかな島の素朴な人達との触れ合いによってその心身共に回復させてゆく──という、ありきたりといえばありきたりなストーリーなのだけど、出色なのはやはり3人が次第次第に壊れてゆく過程の描写。

 ラストは清々しいハッピーエンド。全体としての印象は個人的には良かったと思うのだけど、ただ作中あまりにも誇張・偶然が重なったりして興が殺げる部分も。特に由人の家族で、兄がひきこもりで妹が15歳で出産とか。ちょっと読んでいてうーん……って思ってしまったり。作りすぎ? と思う箇所も。そういう部分があってこそ、ラストの清々しさが生きるのかなと。あ、でもこの作者サンのハッピーエンドは決して手放しで喜べるラストではなく、どん底の中にもほんの少し垣間見えるひとすじの光──的な、ささやかな救いで終わるところが、少し毒が入ってまた面白い。

 一気に読ませて感動させてくれる作品でした。なんとなく前作と似たテイストなので、今度はまったく違った系統の作品も読んでみたいなあ……と、ふと思ってしまったのでした。


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個別記事の管理2011-02-06 (Sun)

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ふがいない僕は空を見たふがいない僕は空を見た
(2010/07)
窪 美澄

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 本屋大賞にノミネートされていたので興味もちました。作者サン、「ミクマリ」でR-18文学賞受賞したのは知っていたのですが、まさか、ノミネートしているとは知らず。以下BOOKデータベースよりあらすじ。

これって性欲?でも、それだけじゃないはず。高校一年、斉藤卓巳。
ずっと好きだったクラスメートに告白されても、頭の中はコミケで出会った主婦、あんずのことでいっぱい。団地で暮らす同級生、助産院をいとなむお母さん…16歳のやりきれない思いは周りの人たちに波紋を広げ、彼らの生きかたまでも変えていく。第8回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞受賞、嫉妬、感傷、愛着、僕らをゆさぶる衝動をまばゆくさらけだすデビュー作。

 もう、どの作品もレベル高くて読み応え充分! 正直、ホント面白かったです! ベースになっているテーマは妊娠・出産。
 自分的にあまり好きなテーマ・ジャンルではなかったので、イマイチ読むの迷っていたんですが、ところがどっこい! 蓋を開けてみると少年少女・若妻・母親等、さまざまな人間の苦悩や迷いをとてもリアルに、時にはユーモアを含ませながら炙り出してゆく見事な展開に脱帽でした。

ミクマリ
 コスプレ好きな若妻「あんず」と高校生「おれ」との奇妙な恋愛。最初は身体だけの関係だったのに、知らず知らずのうちにお互いが愛しあっていると気付くが、時は既に遅し。本当の愛情を知った「おれ」の成長とその代償が痛々しい。
世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸
 ミクマリで登場した若妻「あんず」視点から。不妊症の彼女の悲惨な日常の中で、唯一の救いとなっていた「おれ」への愛の確認。なんとしても不妊治療を迫る姑の狂気がリアリティありすぎる。
2035年のオーガズム
 女子高生・七菜の思春期真っ只中の精神状態の描写が見事だな、と。優秀な兄と比較される不満・恋人の浮気・親への反発を乗り越えて、逞しく成長しつつある姿が清々しい。
セイタカアワダチソウの空
 両親は離婚、認知症の祖母と暮らす男子高校生。置かれている状況・環境は最悪。けれども、僅かに差し伸べられる周囲の救いの手を借りて、必死に生きてゆこうとする彼の力強さが圧巻。
花粉・受粉
 助産院を切り盛りしている「おれ」の母親。離婚を経験し、必死で「おれ」を育てている。時に仕事に生活に負けそうになる弱さを必死で押し隠し、ふんばり続ける彼女に母親という存在の強さを見た思い。

 それぞれの作品に大なり小なり見え隠れする妊娠・出産のエピソード。思い悩んで絶望に暮れる彼や彼女達とは裏腹に、この世に誕生してくる新たな生命を描くことによって、生きる希望を暗喩させている作者の手腕が素晴らしい。
 登場人物たちは「生きていくこと」にとてもリアルで生々しくて、思いっきり感情移入して食い入るように読んでしまった自分。
 テーマがテーマだけに読者を選ぶかもしれませんが(自分もそうだったし)、食わず嫌いをせずに一読をおススメします。個人的にノミネートにふさわしい作品だと思います。


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