04≪ 2017/05 ≫06
12345678910111213141516171819202122232425262728293031
個別記事の管理-------- (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
* Category : スポンサー広告
|
個別記事の管理2012-06-21 (Thu)

ご訪問ありがとうございます☆

太宰治文学館 (4) (太宰治文学館 4)太宰治文学館 (4) (太宰治文学館 4)
(2002/03)
太宰 治

商品詳細を見る


 先日、このブログにご訪問くださったあき様からのおススメで読みました。久しぶりの太宰作品。大変面白かったです。以下MARCデータベースより内容。

すぐれた物語作家として数多くの作品を残した太宰治の諸作の中から、誰もが親しんで読むことができ、太宰文学の魅力を存分に味わえるものをえらんで全5巻にまとめる。大きめの活字とルビで読みやすく編集。

 ということで。自分が図書館で借りたこの日本図書センター刊のこの書籍、字も大きくてものすごく読みやすかった。
 「太宰治文学館」と称されたシリーズの第4巻目らしいのだけれど、なかなかおススメなシリーズです。
 で、この4巻目はすべて女性視点で書かれた作品ばかりを集めたとのことで。大変ユニークな1冊でした。

女生徒
 女性読者が送ってきた日記を基に書かれたそうで。
 設定年齢14歳の少女の目覚めから就寝までの丸々1日の日常と心情を描いた短篇。
 巧いですね~とひたすら感動。思春期特有の少女の微妙な心の揺れが見事に描写されてて、うーん、すごいなあ……のひとこと。父親を亡くし、姉と遠く離れ、母親とふたりっきりで暮らす少女のまだまだ甘えたい子供の部分と、母親を支えてしっかりした大人にならなければ、と自我が芽生え始めた繊細な心の動きがリアルに迫ってきた。
燈籠
 婚期を逃し、とある学生のために万引きをしてしまった女性の悲劇。
 罪を犯してしまった24歳のヒロインがあまりにも純粋すぎて……生き方下手なヒロインが家族とともにささやかな日常の幸せを噛みしめるラストにちょっと救われたかな。
皮膚と心
 晩婚の28歳のヒロイン視点で書かれる1作。
 突如として身体に原因不明の発疹ができてしまってからの彼女の婚前・後の心情描写が鋭い。
 時代のせいもあるのだろうけど、28歳で自分を「おばあちゃん」呼ばわりとは……! ちょっと自虐的な描写についていけないなーと思う部分もあったけれど、結局は夫婦の絆が確認できて良かったね……と一安心。皮膚病と夫婦の微妙な関係を絡ませたテーマは秀逸。
きりぎりす
 これも面白い短篇だった。
 個性的なひとりの女性がうだつの上がらぬ画家もどきと結婚前・後の心情の見事な変化を描いたもの。
 貧しいうちは絆も深かったはずなのに、ふとしたきっかけで夫が成功し、裕福になるにつれて露わになる夫の真の姿。
 欺瞞を見破り、真実は一体何なのかを見極めているヒロインの視点が素晴らしい。
千代女
 あー、コレは現代でもありがちな話だなと共感しながら読んだ。
 幼少時から文才があったひとりの少女。そんな彼女を周囲の大人が見逃しておくわけがなく、なんとかして作家にさせようとする悲喜劇。大人たちの身勝手で過度の期待で次第に押し潰されてゆく少女が哀しい。
おさん
 これはちょっとオトナな1作。
 戦時中、実家に疎開していた隙に旦那が浮気。その事実を知っても素知らぬふりをする妻。
 ギクシャクし始めた夫婦関係を、子供のために存続させようと奮闘する妻の心情描写がやはり秀逸。
 女子は強し! と痛感させられた作品。
饗応夫人
 これもなかなか考えさせられた作品だった。
 語り手はとある奥さまに仕える女中のウメちゃん。←このネーミングセンスがね、もうもう好き!
 その奥さまは一種の強迫神経症なのだね、現代で言うと。夫は戦争で行方不明。その留守をいいことに、夫の友人であるという男性が奥さまの屋敷に寄生しだすところから悲劇が始まる。
 財産も奥さまの健康も食いつぶされていく様子に歯噛みするウメちゃんの心理にいたく共感。

 などなど、全7篇。大変読み応えある作品でした。
 三島由紀夫にしてもそうなのだけど、文豪って女性心理を書くのが巧いなーと感心。
 特に太宰はちょっと精神的に病みがちな女性を書かせたら天下一品なのでは? と思ってしまいました。いやいやいや、なにはともあれ、大変面白かったです。


blogram投票ボタンにほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ人気ブログランキングへ
☆いつも応援ありがとうございます☆ 
スポンサーサイト
Theme : 今日の一冊 * Genre : 本・雑誌 * Category : 太宰治
* Comment : (2) * Trackback : (0) |

こんにちは♪ * by あき
「女生徒」読まれたんですね^^
太宰はホント、女語りが上手すぎてちょっと引くくらいですね(笑)
「女生徒」は結びの文が好きです。「もうお目にかかりません」みたいな。

「女生徒」や「きりぎりす」は以前、BSで短編映像化されてたのですよ☆
それもなかなか面白かったです♪

太宰作品は、戦前・戦中・戦後の作風ががらっと変わるのも面白いところです。

「お嬢さん」読了しました◎
ほんとに文豪は女語りが上手いですね~
あのマッチョがね~・・・と思いながら面白く読みました(笑)

Re: あき様☆ * by 惺
こんばんは!
さっそく読ませていただきました!
面白かったですよ~。
自分が借りたのは全作女子語りばかりだったので、
よけい楽しく読めました!

いまさらながら太宰治のエンタメぶりはため息モノ。
根強いファンがいるのも納得ですね。
自分的に好きな短篇は「駈込み訴え」なのです。
まさかイエス・キリストとユダをテーマにした作品があるなんて…!
とものすごく衝撃的でした。

> あのマッチョがね~・・・と思いながら面白く読みました(笑)

わはは!
ホントですよね~。
でも彼の場合はある意味女性的な一面もあるのかな~なんて。
「仮面の告白」読んでなんとなーく思ったりして(笑)

ホント「女生徒」ご紹介いただきましてありがとうございました!

個別記事の管理2011-02-19 (Sat)

ご訪問ありがとうございます☆

太宰治全集〈9〉 (ちくま文庫)太宰治全集〈9〉 (ちくま文庫)
(1989/05)
太宰 治

商品詳細を見る

 太宰治の代名詞的存在のこの作品。初めて読みました。もっとヤバくてかなり陰惨な内容なのかな~と思いきや、まったくイメージ覆されました! 以下BOOKデータベースよりあらすじ。

「恥の多い生涯を送ってきました」3枚の奇怪な写真と共に渡された睡眠薬中毒者の手記には、その陰惨な半生が克明に描かれていました。無邪気さを装って周囲をあざむいた少年時代。次々と女性に関わり、自殺未遂をくり返しながら薬物におぼれていくその姿。「人間失格」はまさに太宰治の自伝であり遺書であった。作品完成の1か月後、彼は自らの命を断つ。

 作者の遺書的作品と言われているようですが、自分はそうは感じませんでしたね。まあ、そんなに太宰治に精通しているわけではなく、思い入れも無いのでそう感じただけかもしれませんが。
 ただ、大変良く出来た作品だな~と。ほとんど作者の人生が投影された私小説だと思うのですが、もし遺書的作品ならば、もっと感情的な部分が全面に押し出されて内容破綻な展開になると思うのだけど。この作品は起承転結で言うならば、起と結部分が第三者視点で、承と転部分が主人公の一人称視点・独白といった凝った構成の、とってもよく練られた作品だな~と思いました。

 主人公・葉蔵の幼少時から転落までの半生譚。ひと言でいうとこんなカンジですね。その彼の根本的な人格に決定的に欠落していたモノ。それは自我だと思った。それがあまりにも無いがゆえに、すべて他力本願の人生を歩まねばならなかった悲劇。
 幼少時から道化の仮面を被らなければ生きてゆけなかった彼の苦悩の根源て何だったんだろう?
 家父長制度の強力だった当時の、絶対的な父親の存在? 抑圧? 要因はいろいろあるんだろうけれど、あまりにも生きる力に欠け、意志薄弱すぎたのがその後の彼の人生の不幸を決定づけてしまったように思えた。

 酒に逃げ、女性に逃げ、自分自身にも逃げ続けた葉蔵の行きついた果ては精神的虚脱。そして皮肉なことに、自分自身を「人間失格」と自覚した瞬間に初めて彼の裡に育ちつつあった自我を見たように思う。
 半ば自虐的に自分の人生を冷静に見つめ、回顧する葉蔵の姿は決して破滅的ではない。人間として生きる上で誰もがぶち当る壁に苦悩し、あがきつづけるその姿はむしろ共感に値する。ただ、お坊ちゃん育ちの彼は、逆境から這い上がるという強さが無かっただけで。

 葉蔵というキャクターは作者自身を投影した姿だと言われているけれど、それは作者だけではないと思う。万人がどこかしら自分に当てはめ、共感・投影し得る部分があるのではないかなと。それがこのテーマの不変性でもあると思う。
 「恥の多い生涯を送ってきました」
 ある程度の人生を送ってきた人物ならば誰しも納得するこの言葉。生きている以上、恥の無い人生なんてまずあり得ないから。冒頭のこの一文で自分は思いっきりこの作品世界に引き込まれてしまいました。

 「人間失格」……誰でも失格な部分てあるよね。むしろ完璧な人間の方がめずらしい。
 好き嫌いが分かれる作品だと思いますが、自分的にはとっても満足な作品。中篇で読みやすいし。あくまで個人的見解だけど、一般で認識されているような自殺願望作品ではないと思ったな~。


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ人気ブログランキングへblogram投票ボタン
Theme : こころの糧になる本 * Genre : 本・雑誌 * Category : 太宰治
* Comment : (4) * Trackback : (0) |

こんにちは * by ひいち
太宰氏の本は昔・・・途中で挫折したなぁ~(苦笑)
でも、惺さんのレビュー見ていると、
「おもしろそうかも~。今なら読めるかも?」って気分になるわ☆

今はモーリス・ルブラン「ルパン」シリーズ読んでいます。
カリオストロ伯爵夫人おもしろかったぁ(>∀<)

Re: ひいち様☆ * by 惺
こんにちは~i-178
そうそう、今だから読めるっていうカンジです!
若い頃は読もうなんて気はさらさらなかったな~。
ある程度人生経験を積んでから読んだ方がしみじみするかも。

> 今はモーリス・ルブラン「ルパン」シリーズ読んでいます。
> カリオストロ伯爵夫人おもしろかったぁ(>∀<)
きゃ~!! ホントですか?
ちょっと古臭いカンジするけど、面白いですよね☆

喜劇名詞・悲劇名詞 * by 読書系女子
電車は喜劇名詞で汽車は悲劇名詞とかいう所があったような記憶があるのですが(これって人間失格に出てましたよね!?)
あぁ、なるほど、おもしろいなって。

太宰に限らず、男って…と思います、いろんな意味で。

Re: 読書系女子様☆ * by 惺
こんばんは♪
他にも女性名詞・男性名詞というのがでてきました~。
それをもとにして、1篇書いてしまうのだからものすごい想像力!!

> 太宰に限らず、男って…と思います、いろんな意味で。
確かにね……自分は到底ム・リだけど、
このような男子にとことん付きあう女子もまたある意味スゴイなと。
いろいろと考えさせられた本でした。

個別記事の管理2011-02-18 (Fri)

ご訪問ありがとうございます☆

太宰治全集〈8〉 (ちくま文庫)太宰治全集〈8〉 (ちくま文庫)
(1989/04)
太宰 治

商品詳細を見る

太宰治全集〈9〉 (ちくま文庫)太宰治全集〈9〉 (ちくま文庫)
(1989/05)
太宰 治

商品詳細を見る

 引き続き太宰作品ですが……面白いです! 最初はね、いかにも文芸作品といったカンジで食わず嫌いでしたが、読んでみたらナント! 意外にも敷居が低くて(?)読みやすかった!
 今回は全集第8巻(昭和20年~22年発表作品)・第9巻(昭和22年~23年)から、自分のシュミ作品をセレクト。

貨幣
 百円紙幣を擬人化(しかも女子!)して語り手に。ここからがもうユニークすぎる!
 戦時中の陸軍大尉と呑み屋の酌婦との対比が面白い。当時一番名誉職であるはずの将校と、最も蔑まされるべき職業の酌婦。人間としてどちらが崇高なのか?
 百円紙幣の皮肉っぽい語り口が笑える。
チャンス
 端的に言うと、作者の恋愛観についてのエッセイ。「恋愛はチャンスではなく個人の意志である」と断言しているところが素晴らしい。
 さらに、「片恋というものこそ常に恋の最高の姿である」とは作者の弁。恋多き作者の経験から出た名言ですな。ものすごく説得力あります。
ヴィヨンの妻
 一体この作品は何なの? が第一印象。シリアスなのかコメディなのか判別しかねた。タイトルの「ヴィヨン」というのが放蕩詩人らしく、これは作者を投影した姿らしい。
 そのヴィヨンこと、大谷の妻「さっちゃん」のトボケていながらもある意味冷めた、飄々としたキャラクターと語り口が絶妙。壊れた夫婦だな~という印象。ある意味ちょっとコワかった。
斜陽
 傑作です。母と姉弟を通して、没落してゆく華族の悲惨な末路を描く。
 結核で死んでゆく母親、華族としての誇りを持てず、かと言って庶民にもなりきれず自殺した弟。一方で男の愛人になろうとし、その子供を得ることで逞しく新時代を生き抜こうとする長女の強さ。この対比が読んでいて唸った。特に弟に作者自身を投影しているような気が。
 タイトルとは裏腹に、闇の中、一条の光が射し込んだような清々しい読後感でした。
桜桃
 こ、これはもう作者自身の感情の吐露作品なのでは?
 はっきりと「夫婦喧嘩の小説なのである」と言い切っているところが、おかしくもあり、自虐的でもあり。
 夫婦仲もギクシャクし、生活に行き詰った作者。仕事どころではなく、自殺ばかり考えているという……切々と伝わるどうにも身動きのとれない心情が読んでいて身につまされる。

 やはり、初期作品とは雰囲気がガラッと変わって重いモノが多かったような。自殺をほのめかすような描写や、その行為に及んでしまうキャラクターも多くなってきたような。
 秀逸はやはり「斜陽」ですね。「山猫」にも通じる作品のテーマといい、最後に強く生き延びるのはやはり女性キャラであったりとか、共通点が多いな~。
 まだまだたくさん面白い作品あるんですけどね。気長に読んでいきたいな~。もっと暗くおどろおどろしい作品が多いのかと思いきや、実はその正反対の作品が多い事にビックリ! ユーモア溢れる作品あり、キリスト教思想を背景にした作品あり、そのバラエティ豊かな作品群に大満足でした!


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ人気ブログランキングへblogram投票ボタン
Theme : 今日の一冊 * Genre : 本・雑誌 * Category : 太宰治
* Comment : (4) * Trackback : (0) |

☆はじめまして☆ * by あき
初めまして☆
いま三島由紀夫の「お嬢さん」を読んでまして、なんとなく検索してみたところ、こちらに辿り着きました^^

昔の記事にコメントしてスミマセン(>_<)
私も読書好きで、太宰は中でも好きな作家です◎
ほんとに太宰は人間失格だけではない!と私も言いたいです(笑)
短編が素晴らしいと個人的には思ってます☆
惺さんの文章が素晴らしくて・・・私は自分の気持ちを文章にするのが苦手なので^^;

他にもエッセイ的な「津軽」や女語りの「女生徒」などオススメです♪
いきなり失礼しました~





Re: あき様 * by 惺
はじめまして!

> 昔の記事にコメントしてスミマセン(>_<)

いえいえ、とんでもないです!
とっても嬉しいです~(*´ω`*)

あきさんは純文学がお好きなのですか?
自分も以前はわりと敬遠していたのですが、
太宰や三島を読むようになってからなんだかとっても親しみやすく感じて結構読むようになりました♪
特に太宰にはビックリです。
おっしゃる通り短篇を中心に素晴らしく、実にバラエティに富んだ作品を残していてその多彩ぶりにもうもう……!
おススメいただいた「女学生」はとっても興味があって、
一度挑戦したいと思っていたのです。図書館予約入れてしまおう、この際に!

ご訪問とコメント、さらにお褒めの言葉までいただきまして
本当にありがとうございました。
これからもよろしかったら覗いてやってくださいね。

* by あき
お返事ありがとうございます^^

私も何でも読むのですが、おもに好きなのは近代文学かもしれません◎
今とは違った言葉づかいや街の描写が、分からないけれど懐かしい・・・でもどこか現代の私にとってはファンタジーのような。そんな魅力があります。

気まぐれでフランス、ドイツ、アメリカ文学にハマった時もあります^^;

太宰の短編面白いですよね~!太宰はサービス精神旺盛な作家だったと思います。「お伽草子」などを読むとよく分かります☆
「女生徒」は読み易いし、オススメです!あとは「トカトントン」もオススメです◎

惺さんの他の記事も読ませて頂きました☆
最近はあまりマンガを読まないのですが、好きなマンガ家さんが萩尾望都と吉田秋生で、レビューたくさんあったので楽しく読ませて頂きました(*^_^*)

私は「トーマの心臓」でガツンとやられまして、泣きました(笑)
世代ではないのですが、マンガも本もどこか古いものが好きなのかもしれません。どーでもいいですが映画も古いのが好きなんです◎

長文失礼しましたm(__)m
またお邪魔させて頂きますね♪


Re: あき様☆ * by 惺
こんにちは♫
あきさんも相当本を読んでいらっしゃるようですね!
嬉しいです~本読みの輪が広がってゆく~☆

マンガも最近のモノはあまり知らなくてなかなか読む機会が無いのですけど、
萩尾&吉田はもうもうハズせませんね~(笑)
トーマも良いですよね! あとポーの一族も好きなんです!
海外作品も面白いのがたくさんあって、最近は結構そっち方面が多いかも……。
太宰の女学生はぜひぜひ読んでみたいと思います!
楽しいコメント&記事を読んでくださりありがとうございました☆
いつでもお越しくださいね。お待ちしております♡

個別記事の管理2011-02-17 (Thu)

ご訪問ありがとうございます☆

太宰治全集〈3〉 (ちくま文庫)太宰治全集〈3〉 (ちくま文庫)
(1988/10)
太宰 治

商品詳細を見る

 恥ずかしながら、太宰治の作品を読んだのは今回が初めてです。
 学生の頃、教科書に載っていたかどうかも、もはや忘却の彼方。そんな自分が、何故太宰? というのは、以前読んだ「“文学少女”と死にたがりの道化」で太宰治が取りあげられていまして、ヒロイン遠子の「太宰は『人間失格』だけじゃないのよ!」というセリフにいたく心を動かされ、ならばと思い興味を持って挑戦してみました!
 しかし、まさか全作制覇などできるはずもなく、全集の中でも自分的に気になる巻数からセレクトしてみました。作品が多数あるので2回くらいに分けてUPしてみたいと思います。

畜犬談
 激しい犬嫌いであるはずの「私」の、逆説的な犬への愛情を語った1篇。序盤のあまりにも激しい犬嫌悪の描写がものすごくユーモラス。年月を経て徐々に飼い犬へ愛情を抱いてゆく「私」の、素直ではないけれど滲みでるような優しさがとても良い。
おしゃれ童子
 今で言うファッションに熱を上げる「少年」の滑稽さを冷めた文体で。揶揄をこめながらもユーモラスに描いていて爆笑!「少年」の詳細なちくはぐコーディネート描写に笑えます。
皮膚と心
 バツイチ男子と婚期逃し女子(でも28歳なんだよ~!それでおばあちゃん呼ばわりとは!)とのほのぼの夫婦譚。夫になかなか信頼をおけなかった新妻の心の葛藤と前妻への嫉妬。その精神的なストレスが元で全身に出来た吹き出物をめぐって、夫婦が真に理解してゆくという結末にほんわか! 
兄たち
 おそらく作者の実体験を基にしていると思われる1作。
 3人の兄達の、なかでも3番目の兄にまつわる短篇。独自の美学を持っていながらも周囲に打ち解けず、孤高の薄命美青年だった彼への思慕を物悲しい余韻で描写。
駆込み訴え
 斬新な手法で描く、裏切り者・イスカリオテのユダ。彼の一人称で展開される、イエス・キリストへの惜しみない愛情と、激しい嫉妬。その複雑に交差する心理描写が素晴らしい! 新約聖書に詳しい人なら序盤でわかるけれど、なんといっても最後のオチが巧すぎる!
誰も知らぬ
 41歳の「安井夫人」の回想録。女学校の友人の恋愛に触発された少女時代の彼女の秘められた恋心とほんのちょっとした冒険。オトメゴコロの微妙な揺れを絶妙に描いた1作。
走れメロス
 元ネタとして、「古伝説とシルレルの詩」が挙げられています。言わずと知れた有名作。小学校の教科書以来でした……が、オリジナルを読んで不覚にも思わず涙。
 「メロスは激怒した」の1文からして既に惹きこまれます。こんなに劇的な感動作だったのかと目からウロコでした。ハナシとしては単純なんですが、リズムの良い文体、簡潔なストーリー、ラストに向かっての盛り上げ方、確固たるテーマ等々、完璧な短篇かと。
パンドラの匣
 全集第8巻の収録作なんですが、感動作です!! 
 喀血して「健康道場」で療養することとなった通称「ひばり」の淡い恋愛と精神の変遷を書簡形式で。
 「道場」での看護師的存在の助手と患者達の触れ合いや小競り合いなどを活き活きと描写。「ひばり」と同室となった個性豊かな仲間たちのキャラ造形が秀逸!!
 有能な美人助手・竹さんと「ひばり」、そして今で言うちょっと小悪魔系の助手・マア坊。この3人の失恋の2重構造がとても巧い。
 厭世的で理屈っぽかった「ひばり」が、「道場」でのさまざまな人間と関わり失恋を経験してゆく中で、生きる希望を見出してゆく姿が感動的。越後獅子こと花宵先生の「献身」をテーマにした講話で締めくくるラストも泣けます!

 ちくま文庫の全集・第3巻(昭和14年~15年の作品収録)を中心に読みましたが、とてもとても自殺願望の強かった作家の作品とは思えませんでした。これっぽっちの片鱗もうかがえません!!
 適度なユーモア・優しさ・生への希望に満ちた作品。あるいは、西洋文学や聖書からヒントを得た作品等々、とてもバラエティに富んでいてまったく飽きなかった!
 この先作者の作風・テーマがどのように変化してゆくのかとても楽しみです。続きは次回で。←続くかなあ?


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ人気ブログランキングへblogram投票ボタン
Theme : 今日の一冊 * Genre : 本・雑誌 * Category : 太宰治
* Comment : (4) * Trackback : (0) |

文学 * by こはる
文学が実は苦手なのです。
理由はアドレナリンが出ないから(笑)

しかし、フシギですね~
苦手な文学もこうやって解説していただくと
読みたくなってきます。

学生の時、ライ麦畑を読んで、
どんどん気分が滅入ってきて、
何度も再チャレンジするも、挫折。

昔の日本文学に同じものを感じてしまうのは
私だけでしょうか。。

図書館で予約して読んでみます。
(買って読み切る勇気なし)


Re:こはる様☆ * by 惺
こんばんは☆
自分もいわゆる文豪が書いた「文学」はどっちかというと苦手。
いいトシして初めて読みましたもん!
まあ、何ごとも経験で、とりあえず読んでみようかな~的なノリです。
ハズレもありますが、逆に意外とアタリもあったりして。
なかなか面白かったです。太宰クン。
コメントありがとですi-178

太宰祭りですね! * by チルネコ
文学少女を読んだら読みたくなっちゃいますよね~太宰^^
僕の中では漱石とか太宰は今でこそ文豪なのは間違いないですが、普通に大衆作家としても認知できる読み易さもあるのでそこも好きなのかも(笑)
この収録作の中では既読が駆け込み~とメロスだけです^^。でも駆け込み~は今まで読んだ太宰作品の中でも指折りのお気に入りです。最初ユダの一人称が誰の描写かわからなくて少なからず驚いた記憶があります。

Re: チルネコ様☆ * by 惺
こんばんは♪
> 文学少女を読んだら読みたくなっちゃいますよね~太宰^^
ハマりましたね~。単純ですね、自分。

> 僕の中では漱石とか太宰は今でこそ文豪なのは間違いないですが、普通に大衆作家としても認知できる読み易さもあるのでそこも好きなのかも(笑)
> この収録作の中では既読が駆け込み~とメロスだけです^^。でも駆け込み~は今まで読んだ太宰作品の中でも指折りのお気に入りです。最初ユダの一人称が誰の描写かわからなくて少なからず驚いた記憶があります。
そうそう、ものすごく読みやすかったのにビックリ!
特に「駆け込み~」は斬新~!
こんなハナシも書くんだ!! と目からウロコの作品でした。
その他にも面白い作品たくさんあって、借りた全集充分堪能しました~☆

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。