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個別記事の管理2011-04-24 (Sun)

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小説を書く猫小説を書く猫
(2011/03/15)
中山可穂

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 個人的に好きな作家サン。久しぶりの新作とあってさっそく借りてしまいました! 以下アマゾンより内容紹介。

ファン待望、幻の作家、初のエッセイ集! 恋愛、執筆、旅について…… 『猫背の王子』から近況まで、18年の作家生活を網羅 孤高の作家は日々、爪を研ぎ、肉球をみがく。
しめきり?……にゃんだ、それ? わたしはいまだに、この年になっても、ということはおそらく死ぬまで、自分のことを人間よりは猫に近い生き物だと思っているのです。 猫を見るととても他人とは思えない。 人間とは結局最後まで馴染めない。 猫には人間の言葉がわかるけれど、人間は猫語を理解できません。そこに猫の孤独があり、哀しみがある。 (「あとがき」より)


 エッセイ集とはいえ、かなり読み応えありました。ほとんどがかなり昔、商業誌に発表された作品ばかりなので、あれ? なんか読んだことあるぞ? と思ったりもしましたが。最新2作も収録されていてファンとしては嬉しい限り!
 「白い薔薇の淵まで」で山本周五郎賞を受賞したあたりのエッセイが中心となっているのかな? 初めてメジャーで高名な賞を受けた作者サンの喜びが素直に伝わってきて読んでいてとても嬉しくなりました。わりと淡々と書き綴りながらも、さりげにぽろっとユーモアを垣間見せるあたり巧いし、好きだなあ。

 この方の作品って、作中ヒロインにかなり自分を投影しているモノが多いのですが、その理由も今作でわかりました。同性愛者で有名なこの作者サン。報われない自身の現実の恋愛の苦しさを作品の中で吐露し、昇華させることで精神の均衡を保っていたとのこと。う~んなるほどな、と。この方の作品、ホントに作者サン自身を連想させるヒロインが多いので、正直食傷気味になることもあったんですが、その理由がわかるとなんとも切なくなりますね。読み方・捉え方が変わります。

 自らの恋愛遍歴とかつての恋人との出逢いと別れを赤裸々に描いているのも、好感度高いです。今はお独りのようですが、寂しくとも独りであることの気楽さ・身軽さを楽しんでいるとのこと。
 最新エッセイの、横浜から京都に引っ越されたエピソードなんかはなかなか面白い。京都という見知らぬ土地に住むための物件探しの苦労譚、とある事情で個人情報が漏れてしまったことに対する赤裸々な怒り……などなど、作家としてではない、中山可穂という個性的すぎるけれど魅力的なひとりの女性の姿を知ることが出来て、ファンには垂涎の1冊なのではないでしょうかね。

 遅筆で長編が書けずに苦労されているようですが、ぽろりと弱音を吐きだしてしまうのも人間味感じられていいなあと。
 相当な猫好きサンらしく表紙もレトロムードでとっても良いです。猫チャンがカワユイ。
 この作者サン独特の濃密な作品も良いけれど、このようなサラリとした飾り気の無いエッセイもまたオツなもの。充分堪能させていただきました!


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Theme : エッセイ * Genre : 小説・文学 * Category : 中山可穂
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* by こはる
本になるくらいの恋愛小説が書ける作家ってどんなリアル恋愛をしているのかってめちゃめちゃ気になります。
エロ小説を書くにはモテナイほうが妄想できて良いものが書けるときいたことありますけど(笑)

サラリーマンにとって、自由業小説家のライフっておおいに興味あります。

Re: こはる様☆ * by 惺
こんばんは!
この作家サン、マイノリティ恋愛をなさっているらしく、経験豊富でありながら、かなり壮絶な恋愛が多いみたいです。
なので小説のテーマはほとんど自身の経験がモノ言ってるんじゃないでしょうかね。

> エロ小説を書くにはモテナイほうが妄想できて良いものが書けるときいたことありますけど(笑)
ププッ! そ~なんだ~! 妄想の産物…いやいや賜物かあ…。笑える!!

> サラリーマンにとって、自由業小説家のライフっておおいに興味あります。
ホントに!! 未知の領域ですよね。凡人の自分には想像できませ~ん。
印税生活って羨ましいな~。それ相応の苦労もあるんだろうけどね。

* by 藍色
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。

Re: 藍色様☆ * by 惺
こんばんは!
TBありがとうございます!
コチラもさせていただきました。
巧く出来てるといいのですが…(汗)

個別記事の管理2010-09-27 (Mon)

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深爪 (新潮文庫)深爪 (新潮文庫)
(2003/05)
中山 可穂

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 以前、中山可穂作品、今度はどれを読もうかな~と迷っていた時、何かの書評で「偉大なるマンネリ」と評されていた今作に興味。
 期待半分・外れたらどうしよう? の不安半分で読了。以下文庫裏表紙よりあらすじ。

どうしようもなく好きになった。体がとけるほど求め合い、もう二度と離れられないと知った。運命の恋なのに、涙が止まらない。なぜならあなたは人妻だから──。
強く惹かれあい、もつれあい、傷つけあう二人の女性「なつめ」と「吹雪」。幼い子供を守るために、壊れかけた家庭を再生しようとする吹雪の夫「マツキヨ」。
相容れぬ二つの絆で結ばれた者たちが織り成す、愛と赦しの物語。


 深爪・落花・魔王の3篇収録。
 登場人物は「なつめ」・「吹雪」・「マツキヨ」の3人。
 深爪では「なつめ」・落花では「吹雪」・魔王では「マツキヨ」の、それぞれの視点から描いた連作短編集といったところです。
 深爪落花の2作はいつもながらの展開です。
 カッコよくて知的でクールな雰囲気を漂わせる女性なつめと、それなりに美人で何不自由ない人妻である吹雪が一目で恋に落ちてしまい、紆余曲折ありながら破局を迎えてしまうというもの。
 ここまで読むとああ、またなのかな? この展開……と思ってしまいます。「偉大なるマンネリ」と評されるのも無理ないな~と思いながら、最後の短編魔王に突入。

 読了後……前の2作はこの魔王の完全な前フリだったのね~と納得。今までの中山作品とはあきらかに趣が違うこの作品が一番グッときました。
 何より驚いたのが、男性視点で描かれていること。この作者の描く男性ってあまりにも創りものっぽくて酷い人物が多かったんだけど、今回のマツキヨは血が通った一番人間臭いキャラだった気がする。なつめも吹雪もイマイチ魅力を感じない人物造形だったから、余計にそう感じたのかも。

 家庭を捨て他の女の許に去っていった吹雪。その現実をなかなか受け入れることが出来ずに戸惑うマツキヨ。残されたまだ幼い息子を育てるために孤軍奮闘し、ありったけの愛情を注いでも、子供は逃げた母親・吹雪を求めてやまない。
 何故自分は捨てられたのか? 平凡だけど幸せな家庭を築いていたのにそれが何故突然壊されなければならなかったのか?
 時に嗚咽し嘆き、葛藤するマツキヨ。
 けれど母親を慕うあまり吃音症になってしまった息子のため、彼は潔く自分を捨てた妻を赦すのだ。

 葛藤する男性心理はもとより(イマイチ理解不能の部分もあったけど)、父親心理を描いた今作はとっても読み応えがありました。前2作は流し読みでも構わない! 息子に対する、父親の惜しみない愛情を描いたこの最後の1作だけでも読む価値はあるかも。
「偉大なるマンネリ」……とんでもないゾ! 自分的には小出しの新境地? といった印象でした。


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Theme : ブックレビュー * Genre : 本・雑誌 * Category : 中山可穂
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個別記事の管理2010-06-23 (Wed)

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花伽藍 (角川文庫)花伽藍 (角川文庫)
(2010/05/25)
中山 可穂

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 先日例の如く書店をフラフラしていたら、突然視界に飛び込んできたこの本。おお~中山可穂! 素敵な表紙!(切り絵だそうです)  しかも文庫でおトクなお値段! もちろん即買いでした。以下文庫背表紙よりあらすじ。

夏祭りの夜の出会いから別れまでの濃密な恋の顛末を描いた「鶴」、失恋したばかりの一夜の出来事「七夕」、離婚した夫が転がり込んできたことから始まる再生の物語「花伽藍」、恋人とともに飼い猫まで去られてしまった「偽アマント」、未来への祈りを託した「燦雨」。
結婚という制度から除外された恋愛の自由と歓び、それにともなう孤独を鮮烈に描いた、彩り豊かな短編集。


 こなれてるな~というのが読了後の素直な感想。今までの中山可穂の激しさをかろうじてとどめているのは、最初の「鶴」だけ。あとの4作は手を変え品を変えの変化球! いつものように作品世界に引き込まれて一気に読んでしまいました。
 今作の特色は、男性がたくさん描かれているということ。しかも従来の徹底的な悪役という型どおりの人物造形ではなく、ホントに普通のイイヤツ系男性から情けな~い中年男性、イケメンの爽やか系、などなどバラエティに富んでいて、やられたッ! と心の中で唸りました。

 特に巧いなあと思ったのが、「花伽藍」に登場するヒロインの別れたダンナであるヒロシ。バリバリ関西弁を使い、吉本お笑い系キャラ。作者サンの作品の中で未だかつてお目にかかったことの無い、こんな個性的男性キャラも描けるんだ~と目からウロコ状態で食い入るように読み耽る。
 「七夕」では失恋した(もちろん女に)ヒロインを優しくなだめる孝太郎の存在が秀逸。傷心の時、こんなオトコいたらいいな~と思わせてしまう、ある意味理想的な人物造形。そして「燦雨」では介護ヘルパーとして登場するおネエ言葉を話すイマドキ青年のマルちゃん。
 登場する男性キャラがみんな魅力的で作品に奥行きをもたせていて、今までの中山可穂とはひと味もふた味も違う!

 5篇中一番しんみりした話はラストの「燦雨」。老女二人の愛と死を描いたこの短編は、認知症と老人介護という大きく、重いテーマを盛り込んでいて考えさせられた。
 いつものあの、激しすぎて読むのがしんどい、という読後感はまったくなし。却ってしっとりとした穏やかな気分になってしまったのは何故なんだろ?
 ビアンという根幹テーマは変わらずに、それでも万華鏡のように様々な作品を魅せてくれる中山可穂。
 残すはあと1作「悲歌」だ~! あ、まだ「弱法師」があるか。


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Theme : 今日の一冊 * Genre : 本・雑誌 * Category : 中山可穂
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個別記事の管理2010-06-03 (Thu)

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感情教育 (講談社文庫)感情教育 (講談社文庫)
(2002/05/15)
中山 可穂

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 フローベールではありません。中山可穂です。フローベールの方も面白そうだったんですが、自宅には上巻しかなくて諦めました。以下文庫背表紙よりあらすじ。

前世から契りあった恋人はあなたですか? 今度こそ永遠に契りあうために、あなたはそこで待っていてくれたのですか? 那智と理緒。傷つくことにすら不器用な二人が出会ったとき、魂がふるえ、存在の根源をゆさぶる至高の恋が燃え上がる。

 ものすごく劇的なあらすじですが、内容はとっても淡々としています。
 まず第一章でヒロイン那智の生い立ちを。そして第二章では那智の運命の恋人である理緒の生い立ちを。そして第三章では二人が出会って恋に落ちて、修羅場があって別れて、そして再会するまでが描かれてます。

 中山可穂の初期作品のように、激しい暴走?感は全くありません。むしろ、ヒロイン2人の人間像が重厚な語り口でしっかりと描かれていて、かなり読み応えがアリ。
 おそらく理緒=作者サマ、那智=作者サマの当時の恋人がモデルになっていると推測できるので、人物像にかなりリアリティ感じるし、人間ドラマとしても充分通用する作品だと思う。
 とくに第三章で、二人で那智の行方知れずの母親を捜すエピソードなんか探偵小説顔負けで、後の「ケッヘル」にも繋がるものがあるなァと思ったし。那智が家庭を捨てて理緒と一緒になるために、離婚するしないの修羅場での二人の心理描写なんか壮絶で、ついつい食い入るように読んじゃうし。

 ただ、中山可穂好きな自分としては、ちょっとイマイチな作品なのです……。
 作者サンはやたらと運命の恋人っていうのにこだわってるけど、このカップルにそれほど(まったく)運命的なモノは感じないし、魅力も感じない。ちょっと自己陶酔入ってる~? 的な印象が拭えない
 作品としては、今までと少し傾向が違ってよく出来てるな~と思うけれど、はっきり言って作者の自己満足な小説じゃん? と思ってしまったのでした。
 まあ、あとがきにも「これは個人的な小説である」とことわってはいるけれど。

 う~ん、好きだからこそ厳しい目で読んでしまうのだろうか? 結構大絶賛ぽく書かれているんだけど、そうかなァ? の感が否めない~!
 とは言いつつ、毎度読んでしまう中山可穂。全作品読破まであともう少し! 頑張るゾ!


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Theme : ブックレビュー * Genre : 小説・文学 * Category : 中山可穂
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こんにちは! * by 伊織
ご無沙汰しております。
中山さん、ブロともさんの記事で珍しくも家族をテーマに書いてあるものがあるとレビューがありまして、今の積読本が片付いたら読みたいな~と思っています♪


自分的に中山さんの作品はコンディションがいいときを選んで読まないと、そのパワーに引き攣られてしまいそうなので、読むタイミングが重要な気がしてます^^;


Re: いらっしゃいませ☆ * by 惺
> 伊織様e-339

家族モノは多分「サグラダ・ファミリア」だと思います! ちょっと一風変わった家族モノなんですけどね~。

自分的に中山さんの作品はコンディションがいいときを選んで読まないと、そのパワーに引き攣られてしまいそうなので、読むタイミングが重要な気がしてます^^; ← コレわかります。読むのにえらくパワー使いますよね! 気力・体力充分の時じゃないと読んだ後何も出来なくなる自分ですe-263

コメントありがとうございますe-414 後ほどお邪魔させていただきますッ!

あれれ * by こはる
リニューアルしたんですね!

素敵v-353
おめでとうございますv-238

とっても見やすくて心も和みますね~~

バックが白ってやっぱり見やすいんですね。

って、また記事と関係ないコメントですみませんv-356

それにしても、凄い勢いで記事アップしてますね。
素晴らしいです~~!見習いたくても見習えない~~

Re: いらっしゃいまし~☆ * by 惺
> こはる様e-339

そうです、白はやっぱりいいです~。見やすいですよね。さらにこれで視力も回復するといいんですが。
スゴイ勢いで記事アップはできますが、内容のあるモノはまったく書けませんe-263
ほとんど自己満足ブログなので、こはるサンを含めて読んでくださる方々に、足を向けて寝られません! ← とうとう日本語もヘンです。

もっとかしこくなりたいので、近々にもこはるサンのトコロにもお邪魔させていただきますe-466
いつも楽しいコメントありがとうございます☆

こんばんわ * by のびんこ
中山可穂、大好きです。
感情教育は、再読してまたちょっと好きになりました。

中山可穂の小説は、惺さんが言うみたいに自己満足の世界が多いと私も思います。
でも、可穂さんなら許される!ような感じ。
大好き、ってことです。

でも、本当に元気なときに読まないと引きずられるというのはよく分かりますね~
調子悪いときに読むと、本当に生活できなくなりそうな・・・
「マラケシュ心中」を読んだときは、ほんとにしんどかったです。

Re: こんばんわ * by 惺
>のびんこ様e-339

中山可穂いいですよね! のびんこさんも愛読者と知って嬉しいです。

「でも、可穂さんなら許される!ような感じ。
大好き、ってことです。」 ← わかります! どんなにえ? って思う展開のある作品でも、やっぱり次の作品が読みたくなってしまうんです。
う~ん、語彙が無くてもどかしいのですが、結局中山可穂が大好きなんです~。

「白い薔薇の淵まで」を読んだ後はしばらく何も出来ませんでした。それくらい衝撃的あんど感動的な作品と作家サンとの出会いでしたッ☆
「マラケシュ心中」も自分的には評価は分かれますが、基本作者サンらしくて素晴らしい作品だと思ってます!

ちょっとマジメに語ってしまいましたが、好きな作家サンの事を語れて嬉しいです♪
コメントありがとうございましたe-466

個別記事の管理2010-05-14 (Fri)

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サグラダ・ファミリア [聖家族] (集英社文庫)サグラダ・ファミリア [聖家族] (集英社文庫)
(2007/10/19)
中山 可穂

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 タイトル見て建築家のハナシ? と思ってしまいました。ところがどっこい、ちゃ~んと意味があったんですね。無知でした。
 自分にとって「白い薔薇の淵まで」の次に好きな作品です。なんたって、珍しく読後感爽やかなので。以下裏表紙からあらすじ。

将来を嘱望されながら、ある事件をきっかけに落ちぶれてしまったピアニスト響子。酒に溺れながら孤独に生きる彼女のもとに、かつて恋人だった透子が戻ってきた。ある日突然、赤ん坊を抱いて。しかし、女同士のカップルと赤ん坊の不思議な関係は、突然の透子の死によって壊れてしまう。希望を失いかけた響子の前に一人の青年が現れた──。

 ヒロイン響子はまたえらくカッコいい。落ちぶれたピアニストであるけれど、その技術は確か。酒には強くタッパがあって、颯爽とバイクを乗りこなす。もちろんビアンで同性にモテるのは当たり前。
 紆余曲折あった後、響子は独り残された最愛の透子の遺児桐人を引き取る決意をするのだけれど、子供嫌いな彼女に子育てが出来るわけがない。そこで現れたのが、ゲイのテルという、この作品の中ではなくてはならないキャラクター。まるで天使のように慈悲深くて、子供の扱いも上手い。桐人を施設に送ろうとする親戚達と必死に戦う? 響子に様々な救いの手を差し伸べてくれる。当然のごとく彼女も桐人も次第にテルに心を開いてゆく。

 この3人の心の交流・魂の交感がさりげなくてほのぼのしていてなんだかとってもイイ。桐人は一体どうなるのか? 施設に送られてしまうのか?
 やきもきするところで、なんと響子とテルは偽装結婚という決断を下すのでした。
 ビアンの響子とゲイのテルが世を欺いて? 夫婦となり、桐人を育ててゆくという決意。たとえ血のつながりは無くとも、心が固くつながっていれば家族としてやってゆけるという確固たる想い。
 新たな家族の誕生と、響子のピアニストとしての再生エピソードも絡めたハナシの進め方はやっぱり巧いです。

 今までとは違うちょっと斬新な展開に深く感動。
 サグラダ・ファミリア → 聖家族  という意味だったんですね。ナイスなタイトルにもやられました。


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個別記事の管理2010-04-24 (Sat)

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 このプログを覗いてくださる方々、応援ぽちしてくださる方々、楽しいコメントを残して下さる方々、リンクして下さっている管理人の方々、本当に感謝しています!
 
 え~さてさて、ゴールデンウィークももうすぐですが、自分は近場しか行き(け)ません。横浜中華街とディズニーランド。← どっちも殺人的な混み具合になりそう……。経済的に旅行なんて到底ムリ、海外旅行なんてもってのほか!
 と言う訳で、少しでも旅行気分を味わいたくて、発作的に読んでしまったこの本。

熱帯感傷紀行―アジア・センチメンタル・ロード (角川文庫)熱帯感傷紀行―アジア・センチメンタル・ロード (角川文庫)
(2002/09)
中山 可穂

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 中山可穂です。旅行記です。紀行文です。小説ではないです。でもやっぱり面白くて一気読みしてしまいました。
 まだ作家になりたての頃の作者サンが、終りが見え始めた恋とスランプから逃げるようにしてアジア各国を旅するという内容。

 あの中山可穂にバックパッカーという一面があったとは読んでビックリ! 親近感湧きまくりです。
 タイを皮切りに、マレーシア・インドネシアのスマトラ島・同じくインドネシアのジャワ島・シンガポールと見開きにある地図を見てもかなりな距離。それを独りでリュックを背負い、宿は日本円で1000円以内と厳しいルールを設けて旅をする。食事はもちろん現地の人間が溢れかえる屋台で摂るのは当たり前。その描写を読んでいるだけで思わず涎が出そうになる自分がなんとも情けない。けれど、それほど美味しそうに書かれているのだ~。

 現地人にボラれないように必死こいて値段交渉するトコロ、運悪く体調を崩してホームシックにかかってしまうトコロなど、ちょっとしたトコロに中山可穂の愉快な人間味が垣間見られてニヤリとしてしまう。
自分は恥ずかしながら海外旅行などしたことが無いので、普通の旅行飛び越して絶対バックパッカーになりたい~! と強烈に思ってしまいました。単純です、ハイ。

 どんなに安宿が汚かろうが、異国の地で右も左も判らず途方に暮れようが、現地人と喧嘩をしようが、作者サンは心底自称貧乏旅行を楽しんでいる。その逞しさ、無邪気さが心底羨ましいな~と、自分は思ってしまう。
 この本を読んで中山可穂という作家のイメージがガラッと変わったし、彼女のどの作品を読んでもそのルーツはこの「熱帯感傷紀行」にあるのだ~と思うと、何だかクスッと笑いたくなってしまうのはきっと自分だけでしょう。


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個別記事の管理2010-04-12 (Mon)

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ケッヘル〈上〉 (文春文庫)ケッヘル〈上〉 (文春文庫)
(2009/05/08)
中山 可穂

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ケッヘル〈下〉 (文春文庫)ケッヘル〈下〉 (文春文庫)
(2009/05/08)
中山 可穂

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 読了後の素直な感想は、「面白かった」の一言です。それまでの中山可穂テイストをきちんと残しつつ、新境地を見せつけてくれた圧倒的な筆力にもうぐうの音も出ませんでした。
 あらすじがどこの資料にもなく自力で書く気力も無いので割愛させていただきますが、タイトルからしてモチーフはずばりモーツァルト! その大作曲家に魅入られた親子を絡めての、日本とヨーロッパを舞台にした骨太なミステリーとでも申しておきましょう。

 彼女の作品にしてはまるで異色。男性キャラがうんざりするほど登場します。悪人からノーブル系、九州の気のいいおじちゃんから今ドキの若者まで、その書き分けが当然ながら巧すぎる。女性キャラも今までとは雲泥の差。はかなげな夫人から島に住むたくましいおばちゃん系、美しい女性は従来どおりに極上の表現をもって描かれているし。
 主人公2人の語り手、遠松鍵人と木村伽椰の印象的な出会いから、否応なく小説世界に引き込まれてゆきます。以後伽椰と鍵人の一人称が交錯する形で物語は展開。
 伽椰は現在を、鍵人は己の過去を語り、終盤になるにつれそれが見事に融合し、謎が解けてゆくという構成も見事。いつものごとく一気に読ませます。そして何よりあの中山可穂が男性一人称で物語を展開させている! ということにまず驚きでした。

 自分は悲しいことにモーツァルトに全く精通していないので、すべてにおいてモーツァルトやケッヘル番号に関連する件がちょっとくどく感じましたが、きっとファンであれば、そこもたまらない魅力なのかなと。
 ヨーロッパを舞台にした日本人の連続殺人事件。美人ピアニストも登場し、フリーメーソンの影もちらつかせ、主人公巻き込まれ型のサスペンス仕立て! しかしその裏には一人の男の数奇な半生と、悲しくもおぞましい過去と因縁が絡む……そして作者お得意のビアンテイストもちりばめてます。もう舌を巻くしかないです。

 と、ベタ褒めですが、ちと弱点も。
 やっぱ犯人がね……一人はああなるほどと納得できたんだけど、もう一人がね……。え? ウソでしょ? 感が否めませんでした。謎解き部分が弱いというか。犯人の動機が弱いというか。後は一部のキャラ設定があまりにも……悪役はあくまでも極悪人で、雑魚キャラの扱いはあくまでも酷いです。でもでもそんなトコを差し引いても中山可穂サマ、充分ミステリー作家としても楽しませてくれるんじゃないかと期待しました。正直面白かったですもん。

 ミステリー部分だけでなく鍵人の半生独白部分も唸ります。少年時代の父との漂泊の年月はモーツァルトとその父のエピソードをそのままなぞらえているのも巧いと感じたところ。なんとなく松本清張の「砂の器」を重ね合わせてしまいました。鳥海武のハチャメチャな人物造形がまた破格な面白さ。
 そして探偵役と犯人が結果的に恋人同士になってしまったというのもまた洒落た演出かと。
 次から次へとてんこもりの作者サマのサービスを充分堪能させていただきました。



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こんばんは~ * by 伊織
中山さんの小説を読破される勢いですね~!
私もケッヘルを読みたくて書店に行ったものの、在庫がなく、図書館でも下巻しかなくって今はお預け状態です。
積読中の「サイゴン~」も読めてないし…(泣)


でも、「白い薔薇の~」はやっとこさブログに上げることが出来ました!
あれは最高傑作と言っても過言ではないですよね!?
見事はまってしまいました♪

Re: こんばんは~ * by 惺
> 伊織様♪

おおおっ「白い薔薇~」ついに読みましたか~! 是非是非レビュー拝見しに遊びにいきますッ! 塁クンの小悪魔ッぷりというか野良猫っぷりがなんともツボです。

自分にとって読むモン無い時、困った時の中山可穂頼みで~す。

個別記事の管理2010-03-30 (Tue)

ご訪問ありがとうございます☆

サイゴン・タンゴ・カフェ (角川文庫)サイゴン・タンゴ・カフェ (角川文庫)
(2010/01/23)
中山 可穂

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 読了後真っ先に頭に浮かんだ言葉は「あ~やっぱ買ってよかった~・読んで良かった~・中山可穂サイコ~」でした。
「マラケシュ心中」はきっと作者の一時の気の迷いだったんだな。もうもうこんなに洗練されたたくさんの変化球持ってるんじゃん! と思わず電車の中で独りごちてしまいそうでした。ハイ、今回も揺れる車内で読みました。あっという間でした。最近では通勤時間が貴重な読書の時間と化してます。家で読むとすぐ爆睡状態となる自分て一体……。

現実との三分間   
フーガと神秘
ドブレAの悲しみ
バンドネオンを弾く女
サイゴン・タンゴ・カフェ
の5編収録。

 もう、やられましたッ! 参りましたッ! と顔は知らぬ間にニヤついていたと思う。同性愛関連はかなり薄まっていて、扱うテーマはホントにもう様々。脱帽です。
「現実との三分間」では業務上横領を扱ってます。硬派な社会派ドラマを連想しましたが、う~んそうでもなく、恋愛主体でもなく、これはちとイマイチでした。

「フーガと神秘」では嫁ぐ娘を想う母親の心情をきめ細やかに。たとえば、娘のダンナとなる男に対して抱く不満とか、娘の刹那的で楽観的な生活設計に気を揉むところとかが非常に巧く表現されている。と同時に、決して母親に成りえないであろう作者の心情も併せて思い量ってしまい、読んでいるこちらが何とも複雑な心境になってしまいました。 このハナシは一見ほのぼのしているようでありますが、実は近親相姦という暗く重いテーマもはらんでいます。終盤、トラウマから脱却を図ろうとする、ヒロイン典子の実父への激しい心情の吐露が痛快。

「ドブレAの悲しみ」は、自分的に「レオン×猫猫ファンタジー」だな~と。← ワケ判りませんよね。スミマセン。
 ブエノスアイレスを舞台にした暗殺者にまつわる話。語り手は猫。ちょっとしたサスペンスか? と思いきや、ラストはファンタジーとギャグ? のオチ付き。こう来るか~? と笑いをこらえるのに必死でした。こういう話も書かれるんですね。

「バンドネオンを弾く女」は中年期にさしかかった女の焦燥感を。ヒロイン鈴子の、ダンナの浮気に加え平凡な主婦として在ることの虚無感の描写が恐ろしく上手いです。作者はこんな想いとは無縁の、真逆の境遇にいるはずなのに。正妻と愛人という現実にはあり得ないコンビがタッグを組んで? 一時の現実と日常からの脱出という発想が面白かった。

 そして大トリ。表題作でもある「サイゴン・タンゴ・カフェ」はやはり中山可穂テイスト満載! 初期作品のような激しさは無いけれど、落ち着いた、よく練り込まれた上質の同性愛短編となっております。読んでいてなぜか吉屋信子と門馬千代の関係を連想。
 切っても切れない固い絆で結ばれた恋人同士の、年老いても変わらぬ穏やかな愛情がヒロイン穂波のモノローグ形式で展開していきます。この穂波サン、ドブレAの猫ちゃんと同じく強烈に作者が投影されてるよね。

 どの作品もスパイスはタンゴ。タイトルは総て曲名らしい。1つも聴いたことがないので、なんだか無性に聴きたくなった。その気にさせる中山可穂。巧いです。テクニシャンです。



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* by 伊織
コレ、私も買いましたよ~!!
まだ未読でいつになったら読めるかわかりませんが^^;

同性愛ものではないんですね~。中山さんの著書だからてっきり思い込んでました。
あ~、早く読まなきゃ☆

とっても参考になりました♪


Re: タイトルなし * by 惺
> 伊織様☆

最後の「サイゴン~」だけは少し同性愛テイストですが、あとは違いますよ~。なかなかに面白かったです。短編集なんで読みやすい♪ 他ブログさんでも評判よろしいようで。 

もうすぐ3月も終わりですね……またまた来月からもヨロシクお願いします!

面白そう * by Friday
面白そうですね.
実は中山可穂さんの本って読んだことがないので,
これをきっかけにご紹介の本を買ってみようかな.
でも,気に入ってしまうと,また積読本の山が増えてしまうかも...

Re: いらっしゃいませ♪ * by 惺
> Friday様

同性愛がメインテーマの作家さんなんで、それをふまえて読むといいかもです。
とはいえ、男性のファンや読者もいらっしゃるみたいです。おススメは「白い薔薇の淵まで」ですが、かなりディープなので(作品はとてもいいですョ)、この「サイゴン~」が比較的読みやすいと思います!

そうそう、Friday様のレビューを拝見したら、「神曲」懐かしくなって再読するつもりです!でもブログにUPするのはいつになることやら。

またお越しください!

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