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個別記事の管理2011-03-29 (Tue)

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新訳メトロポリス (中公文庫)新訳メトロポリス (中公文庫)
(2011/02)
テア・フォン ハルボウ

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 図書館で新刊本のコーナーにあった1冊。すかさず借りてしまった! 
 映画でも有名だそうですね。新訳ということで、とっても読みやすかったです。以下文庫裏表紙よりあらすじ。

バビロンタワーがそびえたち、歓楽街ヨシワラの灯がきらめく巨大都市メトロポリス。その全ては労働者たちがかしずく偉大な機械で支えられていた。
ある一体の女性ロボットが誕生するまでは。

 予想に違わず面白かったです! 未来の大都市メトロポリスが舞台。すべてが機械仕掛けの巨大都市は、労働者と支配者階級とにくっきりと分かれたこれまた階級社会。
 煌びやかなその魔都を創りあげた支配者の名はヨー・フレーデルセン。彼はメトロポリスの中枢でもあるネオ・バビロンタワーに住み、すべての権力を掌中に収めている。で、その彼の息子であるフレーダーが今作のヒーロー。

 権力者の息子でありながら、正義感溢れる清廉な青年。その彼がとあるきっかけで労働者階級の娘・マリアと恋に落ちたことから、自分の身分に、さらにはこの街の格差社会に疑問を抱き始めてしまう。そのフレーダーとマリアの階級差を超えた愛情と、労働者達の反乱、さらに、ヨー・フレーデルセンの恋敵である天才発明家・ロートヴァング、その彼が創りあげたロボット…というか、アンドロイド・マリアが絡んで壮大な一大革命的ストーリーが展開。

 タイトルでもある魔都メトロポリスがとてもリアル。まるで聖書のソドムとゴモラのような禁忌の都市。退廃的、享楽的で極彩色を感じさせる描写と、労働者の過酷な犠牲の描写が鮮やかな対比を成して見事。作品の発表が1920年代なのに古さをまったく感じさせない世界観が素晴らしい。
 特に印象に残ったキャラがアンドロイドのマリア。「未来のイヴ」のハダリーを彷彿させるけれど、性格はまったく正反対。人間のマリアを聖とするなら、アンドロイドマリアは完全なる悪。その彼女の創造主・ロートヴァングの思惑どおり、メトロポリスを破壊させるために労働者達を扇動するシーンは圧巻!

 この作品のテーマは作者が冒頭でも書いている通り、「頭脳と手を繋ぐものは心でなければならない」とのこと。
 ここでいう頭脳というのは支配階級者。手は労働者階級。そして双方を結ぶ重要な心というのは、支配階級でありながら、労働者階級に心を砕くまさにフレーダーに他ならない。この配役がね、とても巧い!!

 新約聖書のヨハネの黙示録がかなり重要なベースとなってます。
 その中に登場する悪徳の都であり大淫婦・バビロンがまんまメトロポリスとアンドロイドマリアのモデル。その他内容的にもそれがほとんどモチーフとして使われているので、黙示録を知っているとさらに面白く読めるかも。あ、でもまったく知らなくても丁寧な注釈があるので助かります!

 ラスト、廃墟と化したメトロポリスで、艱難辛苦を乗り越えたフレーダーとマリアがようやく結ばれる清澄なシーンがとても印象的。さらに、労働者を支配しつづけたフレーデルセンも、自分の愚かさを悔い改め、さらに今は亡き妻の手紙によって救われるという、意外なハッピーエンドに読後感も爽やか。
 女性作家だからなのか、SFという形態をとりながらもかなり宗教色・ラブロマンス度高し。いやいや、SFと黙示録の見事なコラボレーションというべきか。
 父と息子の葛藤の物語としても、ひとりの女性をめぐる三角関係の物語としても読める、なかなか多彩な読み方のできる1冊でした!


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Theme : SF小説 * Genre : 小説・文学 * Category : メトロポリス
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