05≪ 2017/06 ≫07
123456789101112131415161718192021222324252627282930
個別記事の管理-------- (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
* Category : スポンサー広告
|
個別記事の管理2011-05-17 (Tue)

ご訪問ありがとうございます☆

ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯
(2010/11/10)
クレア・キップス

商品詳細を見る

 リンクさせていただいている Mr.サンデーのピクニック気分 様と、いつもお邪魔させていただいている 風の向くまま 様でご紹介のあった本です。
 梨木香歩サンが完訳されているというのが興味持った一番の理由でしたが、お二方がご紹介されている内容にも惹かれました。以下BOOKデータベースより内容。

第二次世界大戦中のロンドン郊外で、足と翼に障碍を持つ一羽の小スズメが老婦人に拾われた。婦人の献身的な愛情に包まれて育った小スズメは、爆撃機の襲来に怯える人々の希望の灯火となっていく―。
ヨーロッパやアメリカで空前の大ベストセラーとなった英国老婦人と小スズメの心の交流を描いたストーリーを、梨木香歩が完訳。


 まず、装丁からしてとても凝っています。なんといってもイマドキ珍しいケース付き。しっかりとした作りのハードカバーで、表紙をめくるとトレーシングペーパーのような遊び紙がなんとも高級感醸し出してます。これだけでもう作品世界に引き込まれてしまいましたね。

 内容はとても淡々としてます。まるで鳥類観察日記のよう。「序」にもありますが、作者の語り口は意識的に装飾をそぎ落とし、ありのままの事実のみを伝えるように心を砕いています。決して創作でもなく、誇張でもない。作者とスズメの間に起きたあらゆる出来事と揺るぎない絆が、感情を抑えた文体で書かれているのでとても読みやすかったです。

 第二次大戦中のロンドン。作者は自宅前で障碍を持った瀕死のスズメの雛を拾う。それが、今作の主人公・クラレンスと名付けられるスズメなのですが。
 その後は、クラレンスの成長を丁寧に追って記述が展開。羽と足が不自由な彼の全ては飼い主である作者と、その自宅。ある意味閉ざされた2人だけの小宇宙で、クラレンスは作者の愛情を一身に受けて、のびのびと成長してゆく姿が微笑ましい。

 互いに互いの存在を意識しだし、大切な存在となってゆく。作者としてみれば、完全な庇護者という感情なのだが、クラレンスにしてみたら彼女の存在って一体?
 最初はきっと母親の如き存在であったはず。けれど第四章にあるとおり、彼が成長してゆくに従って、作者が母親から恋人へと意識が変化したことにちょっとビックリ。でもなんだかとっても人間らしくて途中からスズメとは思えなくなってしまいました。愛情を欲するのは人間ばかりではないのだなあと、今さらながら感慨深い。

 このクラレンスは感情面でも特化していますが、才能という面でも並みのスズメ以上。作者が教えた芸を覚え、戦時下にあえぐ人々にそれを披露してその心を癒したり、音楽に対する才能で歌を歌うことを覚えたりと、その秘めたる力はとどまるところを知らず。
 けれどそんな絶頂期を迎えた後は、やはり人間と同様にクラレンスにも老いの影が忍び寄ってきます。
 この、彼が必死に「老い」と闘い、なんとか適応しようと奮闘する姿がまた健気で愛おしい。そして、それを懸命にサポートする作者の姿もまた心打ちます。かけがえのないパートナーに忍び寄る「死」による自身の心の空白に怯えながら、必死にこの作品を書きつづった作者の心情を思うと、読んでいて辛かった。

 ちっぽけな存在であるはずのスズメのクラレンス。けれど、その存在感は圧巻。その彼の一生を克明に記述し1冊の本に完成させた作者の深い愛情に深く感銘。
 「お涙頂戴」ではない、真摯な生命への賛歌と読みました。名作です。


blogram投票ボタンにほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ人気ブログランキングへ
☆いつも応援ありがとうございます☆
スポンサーサイト
Theme : 最近読んだ本 * Genre : 本・雑誌 * Category : ある小さなスズメの記録
* Comment : (9) * Trackback : (1) |

* by 瀬川レナ
この本「週刊ブックレビュー」で紹介されたりして気になってるんですよね~
挿絵の酒井駒子さんがすごく好きなので。

「お涙頂戴」ではないということで安心しました^^

うるさくコメントしてスミマセン! * by まいまい
素敵なレビュー!
こんな風に紹介してもらえて幸福な本だと思います。
「愛情を欲するのは人間ばかりではない」
って,その通りですね。
私もクレランスと作者の絆の強さに心打たれました。


Re: まいまい様☆ * by 惺
こんばんは!
ご訪問・コメント大歓迎です!! いつもありがとうございますi-178

なんか読んでいるうちに、クレランスが人間に思えてしまって…特に男子!!
作者サンとの関係が息子であったり、はたまた年下の恋人であったり…
と、錯覚起こしそうになりました。
勝手にリンク貼らせていただきました。スミマセン!
素敵な本、ご紹介くださりましてありがとうございました☆

Re: 瀬川レナ様☆ * by 惺
こんばんは!
> この本「週刊ブックレビュー」で紹介されたりして気になってるんですよね~
なんか、今ものすごく話題の本みたいですよ!
図書館でも予約が80件近くあったので、諦めて購入しちゃいました。

> 挿絵の酒井駒子さんがすごく好きなので。
温かみがあって素敵な絵!
酒井駒子さんとおっしゃるんですね。初めて知りました!

> 「お涙頂戴」ではないということで安心しました^^
あ、もう全然。
淡々とした語り口でとっても好印象です。
一読おススメかも。コメントありがとうございます☆

* by キヨハラ
これが例の作品ですね。
惺さんのレビューで眉間が熱くなっちゃっています。

Re: キヨハラ様☆ * by 惺
こんばんは!
そうなんです~。
実際に読むともっと眉間が熱くなってしまいます!
キヨハラさんも是非どうぞ!
薄いけれど、内容充実でした☆

いいな * by 道楽猫
表紙絵がとてもいいですね。
装丁も素敵だそうで、是非手に取ってみたいです。
しかも梨木香歩さん訳とは…豪華ですねぇ。
とても気になる一冊です。
惺さんのレビューがまたとってもお上手!
ますます興味そそられました。

Re: 道楽猫様☆ * by 惺
こんばんは!
自分もまったく知らなくて…。
でも巷ではかなり有名&人気な作品のようです。
梨木サンの訳はとてもシンプルで読みやすかった!
よろしかったら一読どぞッ☆

拍手コメお礼☆ * by 惺
松永様☆
ラジオ放送されていたんですね!
奈良岡朋子さんの朗読とはなんとも豪華な!
自分も読了して、人間とスズメの固い絆に感動しました。
拍手とコメント頂きとてもうれしいです。
またご訪問ください!お待ちしております。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。