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個別記事の管理2012-10-08 (Mon)
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猫語の教科書 (ちくま文庫)猫語の教科書 (ちくま文庫)
(1998/12)
ポール ギャリコ、スザンヌ サース 他

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 優しい作風が好きなポール・ギャリコの作品であることと、ジャケットのタイプを打つ猫ちゃんのあまりの可愛さに即買いしてしまった1冊。以下BOOKデータベースより内容。

ある日、編集者のもとへ不思議な原稿が届けられた。文字と記号がいりまじった、暗号のような文章。“£YE SUK@NT MUWOQ”相談を受けたポール・ギャリコは、それを解読してもっと驚くはめになる。原稿はなんと、猫の手になる、全国の猫のためのマニュアルだった。「快適な生活を確保するために、人間をどうしつけるか」ひょっとしてうちの猫も?描き下ろしマンガ(大島弓子)も収録。

第1章 人間の家をのっとる方法 / 第2章 人間ってどういう生き物? / 第3章 猫の持ち物、猫の居場所 / 第4章 獣医にかかるとき / 第5章 おいしいものを食べるには / 第6章 食卓でのおすそわけ / 第7章 魅惑の表情をつくる / 第8章 ドアをどうする? / 第9章 クリスマスのおたのしみ / 第10章 旅行におともするコツ / 第11章 母になるということ / 第12章 じょうずな話し方 / 第13章 猫にとっても正しいマナー / 第14章 愛について / 第15章 別宅を持ってしまったら / 第16章 これはしちゃダメ / 第17章 じゃまする楽しみ / 第18章 子猫のしつけと子猫の自立 / 第19章 終わりに

 可愛いー! 読了後の感想はコレしかありません。「猫語の教科書」っていうタイトルも洒落てていいよね。さらに各章のタイトルもなんて猫っぽくて可愛いの!と興奮しきり。
 ちょっと凝ったノンフィクションらしいイントロだけれど、もちろん全編ギャリコによるフィクション。創作なのですね。かわゆくて賢い雌猫の一人称語りがとってもキュートで素敵。その雌猫による「人間とその家庭の攻略法」というのが本書のメインテーマ。

 猫を飼いならしていると思いこんでいる人間が実はその逆で、賢い猫に人間が飼いならされている、支配されているんだよ。という作者のメッセージがじわじわと伝わってきます。その猫に対する作者の視線はとっても暖かくて愛情に溢れていて優しい。ペットと人間との共存とはいかなるものか? 人間の傲慢さやちょっとした愚かさなどが揶揄されていてハッとさせられたりして。
 さらに猫を暗に女性に例えていたりする描写もなるほどね、とニヤニヤ。男性心理・女性心理の機微のようなものがさらりと書かれていて、これはある意味大人のというか夫婦生活の指南書でもあるのかなと。

 猫を通して語られる人間社会。というか、家庭生活。
 猫視点で語る人間の傲慢さ愚かさ愛おしさ、さらに滑稽さも感じてくすりと笑ってしまったり。洞察力が素晴らしいなと感心したり。
 そしてそれ以上に感じる猫への愛情にとても心癒されました。モデルとなっている猫のツィツァの愛らしいこと! 自分は猫好きではないのだけれど、本書とところどころに散りばめられている、スザンヌ・サースによるツィツァの写真を見ると、一瞬でも一緒に暮らしてみたいなあと思ってしまったりして。猫って不思議な魅力を感じるな。その魅力に憑かれて作者はこの小説を書いたのだろうなとしみじみ。

 さらに美味しいおまけというか、素晴らしい特典が。巻末に、あの大島弓子さんの描き下ろしマンガが掲載されているというとても豪華な1冊。
 猫に、というか作者の猫に対する愛情に癒され笑い心がほっこりする。そんなとても素敵な小説でした。


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個別記事の管理2011-12-03 (Sat)

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雪のひとひら (新潮文庫)雪のひとひら (新潮文庫)
(2008/11/27)
ポール ギャリコ

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 本屋に行って例のごとくジャケ買いです。素敵なジャケットに一目ボレしてしまいました。以下BOOKデータベースより内容。

ある寒い日、雪のひとひらは生まれた。地上に舞いおりたときから、彼女の長い旅がはじまった。
伴侶となる雨のしずくとの出会い、新たな命の誕生。幸福なときも試練のときも、彼女は愛する者のために生きた。やがて訪れた、夫との永遠の別れ、子どもたちの門出。
雪のひとひらは、その最期の瞬間、自らの生の意味を深く悟る―。自然の姿に託して女性の人生を綴る、優しく美しい物語。

 最初パラパラと読んだ時には子供向けのファンタジーなのかな? と思うほど。素敵な挿画入りで作風も童話っぽい。読みやすくてするすると読んでいたら、子供向けとはとんでもない! 女性の一生を描いた作品なのでありました。

 とある寒い日、地上を何マイルも離れたはるかな空の高みで生まれた雪のひとひら。女性なんですね、これははっきりと強調されてます。
 その彼女が地上にはらはらと舞い降りてきたことから、「人生」という長い長い旅が始まる。
 生まれたばかりの彼女の目に映るものはすべて優しく感動的なものばかり。夜明けの素晴らしい景色と暖かい太陽の光。元気に学校に通う少女──などなど、人生は彼女を優しく受け入れてくれるかと思いきや、成長とともにさまざまな試練に遭遇してゆく。

 降り積もる雪の下敷きとなり、奥深く閉じ込められる日々。それは人間に例えればあたかも困難に遭ってじっと耐え忍んでいる日々のようでもある。そしてようやく春の訪れとともに固く降り積もった雪も融け始め、彼女は川の流れと共にさらに速度を増して遠く旅立つこととなる。
 人生を川の流れに例えて遭遇するさまざまな出来事。運命の相手「雨のしずく」と出逢い、4人の子供をもうけることによって、「雪のひとひら」の人生はさらに豊かなものへと変化してゆく。それはそのまま人間の女性の人生をなぞらえたものであって、同じ女性として読んでいてとても共感する部分があった。

 普通、女性の一生を描くとなると、どちらかというと教訓的でステロタイプなものが多いと思うのだけれど、ギャリコはやっぱりひと味違った。男性であるのに、どうしてこうも女性視点で描くことができるのか? 女性そのものを描くことが巧いのか? ファンタジーという衣を着せて巧みにさらりと女性の不変的な一生を描く手腕にはちょっと衝撃的でもあり、正直唸った。
 小説において男性視点で女性を描くとどうしても理想形が強調されてしまうケースが多々あって自分はあまり好きではないのだけれど、ことギャリコにおいてはそんな嫌悪感がまったくなかった。

 そしてこの作品にはもう一つ「神とは何か? 自分の存在意義とはなにか?」という隠されたテーマも孕んでいると思った。
 ラスト、彼女が灼熱の太陽に照らされてその一生を終えようとする瞬間に自分の生まれた意味を知り、さらに、自分の生涯に対して優しいねぎらいの言葉をかけてくれた大いなる存在の声──これらのシーンがとても象徴的で胸に迫りましたね。
 ホント、短篇であり、平易な文章でありながら深く不変的な内容の上質なファンタジーでありました。おススメ。


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ブルー! * by 読書系女子
表紙がキレイなブルーで吉本ばななのブルーだ!と思ったら、ばなな作品の絵を担当していた原マスミさんの手によるものだったので(←アマゾンレビューで知りました)、おおおぉぉ!やっぱり、と思いました。
ジャケ買いしちゃいますね~これは。

Re: 読書系女子様☆ * by 惺
こんばんは!
よしもとばななのブルーとは!
さすが詳しいよ、読書系女子サン。
原マスミさんとは…ばななサンの絵とはまた全然違った雰囲気だよね…。
もう素敵すぎて即買いしちゃいましたー!
話も面白かったよ☆

ギャリ子さん * by 道楽猫
いいよねぇ。
この人は本当に人の心を掴むお話づくりが上手い人だなぁと思います。
存命であれば「ネコだったことがあるの?女の人だったことがあるの?」とか聞いてみたい(笑)。

Re: 道楽猫様☆ * by 惺
こんばんは!
> 存命であれば「ネコだったことがあるの?女の人だったことがあるの?」とか聞いてみたい(笑)。
あー、わかる!
まったく違和感ないよね。女性描くのも嫌味じゃないし。
ハズレがない貴重な作家サンだと思うなー!

個別記事の管理2011-06-07 (Tue)

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ジェニィ (新潮文庫)ジェニィ (新潮文庫)
(1979/07)
ポール・ギャリコ、古沢 安二郎 他

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 本屋で見つけて即買い。「7つの人形の恋物語」でギャリコの作品世界がとても好きになったので。以下文庫裏表紙よりあらすじ。

突然真っ白な猫になってしまったピーター少年は、大好きなばあやに、冷たい雨のそぼ降るロンドンの町へ放り出された。
無情な人間たちに追われ、意地悪なボス猫にいじめられ──でも、やさしい雌猫ジェニィとめぐり会って、二匹の猫は恋と冒険の旅に出発した。
猫好きな著者ギャリコが、一匹の雌猫に永遠の女性の姿を託して、猫好きな読者たちに贈る、すてきな大人の童話。


 ギャリコって好きだなあ。ファンタジックでありながら、鋭い諷刺・洞察を作品に投影していたりして。寓話的な作風がなんとも良い味だしているかと。
 で、この作品。もう~、泣きました。感涙の嵐でした。自分的に面白い作品・そうでない作品の見分け方がつい最近わかったんですが、それは読んでいる最中に居眠りしないこと。面白い作品はうとうとしているヒマなんか無い! グイグイと作品世界に惹きこまれていってしまうッ! ということですね。
 なので、この作品も居眠りどころじゃありませんでした。一気に読んじゃいましたよん!

 まず主人公のピーター少年が交通事故で意識不明の重体に。そして気がつくとその身体は純白の毛に覆われた猫に変わっていた!!
 ここからが猫化したピーター少年の辛く過酷な冒険の始まり。人間からは邪険に扱われ、路頭に迷い、ボス猫からは瀕死の暴力を受ける──ある意味猫社会の洗礼をいきなり受けてしまった訳ですが……そんな彼を助けるのは、心優しい雌猫ジェニィ。
 このジェニィのキャラ造形がもうもう、サイコーでしょッ!! かつて人間に捨てられたことがトラウマとなって、決して人間に心許さない。強靭な心と体力を持った素敵な彼女が、人間の心を宿したままのピーターに猫社会で生き抜く術を伝授し、そして始まる新たな冒険。

 その冒険譚もものすごく読ませます。ジェニィのルーツであるグラスゴウへ行くため、船に密航する件が楽しい!
 ここでもピーターはジェニィからネズミの捕獲の仕方を教わったり、人間とココロを通わせたり……そして何と言っても白眉のシーンが、海に落ちたジェニィをピーターがなりふり構わずとび込んで救出するトコロ!! その姿に感動した船員たちがたった2匹の猫のために救出ボートを差し向ける……というココロ温まるエピソードがね~、もう読んでいて泣きそうでした。

 その出来事がきっかけとなって人間に対して信頼を回復し、自分を助けてくれたピーターに対して愛情を寄せてゆくジェニィ。対するピーターもジェニィという愛すべき・守るべき存在を得たことによって心身ともにめざましく成長してゆく様が読んでいてものすごく心地良い。
 お互いがお互いにとって唯一無二のかけがえの無い存在となって絆を深めていくあたり、ああ~、こんな純粋な関係っていいなー! とココロの中で叫んでました。

 が、あくまでもこの作品はファンタジーです。まったくの個人的見解ですが、作者がもっとも痛烈に作品に込めたメッセージはラストの章「大団円」にあるのではないかと。
 それまでのファンタジー色は一気に払しょくされ、ピーターはお約束通り人間の姿へと戻ってしまいます。
 彼の大切な存在であったジェニィは、そのまま普段あまり接点の無かった彼の母親への愛情と限りない思慕の情が具現化された姿だったのだと思い知らされると共に、人間に対する愛玩動物への接し方の痛烈な批判・皮肉も込められており、少年ピーターの見事な成長譚として極上のラストだと思った。唸った&泣いた&感動的結末でした。

 あああ……久しぶりにアツくなってしまいました。脈絡ない箇所がありましたら謹んでお詫び申し上げます。
 猫好きな作者サン・猫好きサンを狙って書かれた本書とのこと。自分は特に猫好きでも(愛玩)動物好きでもないのですが、この作品を読んで生きとし生けるものに捧げる無上の愛情の素晴らしさ、逆に彼等から享受する計り知れない癒しや慰めを羨ましく思ってしまいましたね!で、この作品、もっと子供向けバージョンがあっても良いと思う。オトナだけが楽しむのはもったいないゾ!


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わわわわわ * by 道楽猫
表紙に超超超そそられます!
表紙絵だけのために買ってもいいなぁと思うほど。
お話もとっても良いんですね。
これはゼヒ読みたいと思います。

Re: 道楽猫様☆ * by 惺
こんばんは!
> 表紙に超超超そそられます!
> 表紙絵だけのために買ってもいいなぁと思うほど。
> お話もとっても良いんですね。
> これはゼヒ読みたいと思います。
全部良いです!キッパリ!
楽しくて切なくてそれでも読後感爽やか。
プラス人間への痛烈な皮肉も込められてました。
機会があればぜひご一読を☆

永遠のジェニィ・・ * by nao
オッサンの身でありながら、かの「ジェニィ」について
コメントなどするというのは、どうかと思いましたが・・短く。
自分などは、ジェニィに対して、「ティファニーで朝食を」のホリーを連想してしまい、
ほとんど憧れの女性像を重ね見るおもい・・となるのでありました・・。

カンガルーの話「マチルダ」(長編)、かなり永く放置状態にあるなぁ。
もうそろそろ読まなニャくてはいかんニャ・・。

こんー^^ * by チルネコ
おぉ~ジェニィは猫小説の傑作のひとつですよね~。あまり子供の頃読書縁がなかったんですが、これだけは読んで本に涙のあとはついてたくらいです(苦笑)
ギャリコは他にも『猫後の教科書』も猫好きにはたまらなかったですし、『トマシーナ』も猫の話でジェニィの○○ですから読んで見てください(笑)

Re: nao 様☆ * by 惺
こんばんは!
> オッサンの身でありながら、かの「ジェニィ」について
> コメントなどするというのは、どうかと思いましたが・・短く。
いえいえ、好きな作品を語るのに年齢・性別は一切関係ない!
というのが自分のスタンスです。

> 自分などは、ジェニィに対して、「ティファニーで朝食を」のホリーを連想してしまい、
> ほとんど憧れの女性像を重ね見るおもい・・となるのでありました・・。
なるほど、わかりますね~! 
自分は憧れの女性プラス母親の面影を重ねてしまいました!

> カンガルーの話「マチルダ」(長編)、かなり永く放置状態にあるなぁ。
> もうそろそろ読まなニャくてはいかんニャ・・。
ギャリ子サンはいろいろ名作が多いようで。
自分もこれからゆっくりと読んでいこうっと!
超・面白いですよね~☆

Re: チルネコ様☆ * by 惺
こんばんは☆
> おぉ~ジェニィは猫小説の傑作のひとつですよね~。あまり子供の頃読書縁がなかったんですが、これだけは読んで本に涙のあとはついてたくらいです(苦笑)
子供の頃からこんなブ厚い本を??
す、スゴイです~(尊敬!)

> ギャリコは他にも『猫後の教科書』も猫好きにはたまらなかったですし、『トマシーナ』も猫の話でジェニィの○○ですから読んで見てください(笑)
「トマシーナ」は他のプロ友サンから情報がありまして……なかなか、面白そうですよねえ……フフフ。
「猫後の教科書」もチェックしますね☆
情報ありがとうございました!

個別記事の管理2011-05-08 (Sun)

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七つの人形の恋物語 (角川文庫)七つの人形の恋物語 (角川文庫)
(2008/08/23)
ポール・ギャリコ

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 初・ギャリコ。以前ラノベの「“文学少女”と死にたがりの道化」でこの作家がチラッと登場していて、気になってました。先日本屋に行ったらちょうど文庫があったので、即購入。もうもう、感動の嵐!! 買って正解な1冊でした!! 以下文庫裏表紙よりあらすじ。

お金も仕事も失った孤独な少女ムーシュは、言葉を話す七つの人形と出会い、謎めいた一座の長キャプテン・コックと旅と舞台を共にすることに。
人形という存在を通して二人の間に芽生える深く純粋な愛の物語を、ストーリーテラーとしての抜群の才能で描いた表題作に加え、著者の名声を国際的にゆるぎないものにした名作「スノーグース」を、矢川澄子による静謐で感受性豊かな名翻訳で贈る、ギャリコ・ファン必携の豪華版。

 個人的に感じた収録の2作品に共通するテーマは純愛と本質を見抜くココロかなと。
 まずは「スノーグース」
 せむしで左手に障碍を持つ孤独な男・ラヤダーと少女との、スノーグースを介した純愛譚。
 初めはラヤダーのことを恐れていた少女も、恐ろしい外見とは真逆の、心優しく慈愛に満ちた彼の人柄に接してゆくうちに、次第に心を許してゆく。けれど穏やかな交流続ける2人に、戦争の足音がひたひたと近づいてくる……。

 自分の分身である「スノーグース」を介して少女との絆を深めてゆくラヤダー。成長してゆく少女にほのかな恋心を抱くけれど、自分の障碍を思うと告白などもってのほか。そして迫りくる戦争の足音。戦地にいる自国の兵士のために自分を犠牲にする献身的なラヤダーの生き様がなんとも男らしい!
 そしてラヤダーを失って初めて自分が彼を愛していたことを知る少女。愛を知った少女はもはや子供ではなく、ひとりの大人の女性へと成長していた……という、成長譚も絡めたある意味ファンタジックな悲劇。自分の過酷な境遇を悲観することなく、悔いることなく生を全うしたラヤダーの生き様と少女に捧げる哀しい純愛に涙。

 そして「七つの人形の恋物語」
 こちらも純粋な少女ムーシュと冷酷な男キャプテン・コックとの愛憎劇。
 職もお金も無く、将来に悲観したムーシュ。自殺をしようとするが、ひょんなことからとある人形劇団と行動を共にすることとなる。そこには7体の個性豊かな人形が絶えずムーシュに語りかけ、彼女の傷ついた心を癒してくれる。その人形と彼女の交流がそのまま人形劇となって世間に好評を博し、その人気は不動のものとなる。
 が、座長のキャプテン・コックは非道な性格の持ち主。ムーシュに対して言葉の暴力から果ては性的暴力にまで及んでしまう。それでも行き場の無いムーシュは、人形達に励まされ癒されながら、必死に生きてゆく。

 ムーシュを励ます7体の人形達がまたユニークで出色のキャラ!その人形達とムーシュの交流がとっても心温まる。キャプテン・コックに虐げられたと知るや、人形達はさらに優しく彼女をいたわる。そんな健気なやりとりが読んでいてついほろりとさせられてしまう。
 けれど、その人形達を操っていたのは一体誰なのか? ある時ムーシュはふと気付く。それは紛れも無い自分を虐待したキャプテン・コックに他ならないのだと。

 紆余曲折あって、ラスト、その真実を知ったムーシュの混乱が手に取るように辛く、痛い。そして幼少時の過酷な生い立ちのため、自分の感情に素直になれず屈折した性格(二重人格?)のキャプテン・コック。その彼の愛情を知るムーシュの心の変遷が見事に描写されていて唸ります。
 さまざまな個性を持つ癒しと愛情に満ちた人形達は、すなわちキャプテン・コックが併せ持つさまざまな一面であると同時に、彼の本質でもあり、人形を介して陰ながら自分を愛していてくれたのだと知るムーシュ。真の愛情を知り、彼を救おうと手を差し伸べる、子供から大人へと変わるムーシュの畳みかけるような心理描写も見事です。
 ある意味、人間の多面性を描いた作品かと。そこはかとなくファンタジックな作風で読ませます!

 そして、ギャリコ作品がこんなに面白いなんて! 思いがけずこのような小説に出逢えるので、やっぱり読書はやめられないです。
 あーあ、またもえらい長い(ウザい)駄文になっちゃったよ~! ここまでお付き合いくださいまして、本当にありがとうございました!


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こんですー^^ * by チルネコ
僕もこれ読みましたー。でももうスッポリ記憶から抜け落ちちゃってますが^^;;;でもギャリコはやっぱりジェニイとか猫語の~とか面白いものも多いですよね^^

Re: チルネコ様☆ * by 惺
こんばんは☆
> 僕もこれ読みましたー。でももうスッポリ記憶から抜け落ちちゃってますが^^;;;でもギャリコはやっぱりジェニイとか猫語の~とか面白いものも多いですよね^^
ギャリコ、面白すぎました。
作風がちょっと女子向き? と思ってしまいましたが。
他にもまだまだたくさん面白い作品あるんですね!
チルネコさんおススメの作品もいずれ挑戦したいです!

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