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個別記事の管理2011-08-03 (Wed)

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猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)
(2011/07/08)
小川 洋子

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 評価も高く今さら読んだ自分が恥ずかしいくらいなのですが。以下文庫裏表紙よりあらすじ。

「大きくなること、それは悲劇である」。
この箴言を胸に十一歳の身体のまま成長を止めた少年は、からくり人形を操りチェスを指すリトル・アリョーヒンとなる。
盤面の海に無限の可能性を見出す彼は、いつしか「盤下の詩人」として奇跡のような棋譜を生み出す。
静謐にして美しい、小川ワールドの到達点を示す傑作。


 かなり以前に読んだ「生きている人形」という本を思い出しました。
 その中に「自動チェス棋士人形」が登場するのですが、今作と同様その人形の中には人間が入っていたというからくりが暴露されていたのを記憶してます。←確か。
 その自動人形の「中の人」の話なんだ、とても珍しいなと思いながら興味深く読み進めました。

 タイトルからは一体どんなハナシなのだろうと想像もつかず。
 チェスをテーマにしているといえども、単なる名人級の話ではないことが冒頭からわかるうえ、時代設定はいつなのか、一体何処の国の話なのか? 
 まったく明らかにされていないので、とても不思議な雰囲気で始まる冒頭からグイグイと惹きこまれました。

 デパートの屋上から遂に下界に降りることができなかった象のインディラのエピソードが重要なモチーフとなっていて、繰り返し少年の大切な印象として脳裏に残っている。その象がいつしか大切な友として昇格し、さらに自宅と隣家との間に挟まれて圧死しミイラになったとウワサされる少女も少年の友の1人として加えられる。
 この現実と幻想との境界の曖昧さ。その間に漂う少年の危うい意識。唯一絶対的な現実であるのは、マスターから手ほどきを受けたチェスの腕前。

 少年はもしかしたらかなり病んでいるのではないのかな、という印象が個人的に強かった。
 狂気と天才は紙一重という慣用句があるように、ガラスのように繊細で脆い少年の心の現れが盤下でチェスを打つという行為に示されているような気がして。せっかくの天才的なチェスの才能を持ちながらそれを活かそうとしない。その豊かな才能を唯一発揮できる場所が自動チェス棋士人形の中でだけという……。

 少年は自動人形の中に潜み融合し、「リトル・アリョーヒン」となることによって、ようやくその存在意義が確実なものとなる、ということの皮肉さ。けれど彼は決して不幸ではない。人形を操ることによって、象のインディラ・少女ミイラ・猫のポール等、少年にとってかけがえのない友たちと愛するチェスを打つことができるからだ。
 自動人形に潜むことは、すなわち少年が胎児となって母親の胎内に泳ぐこと。終盤になるにつれて、もう自分にはそうとしか思えなかった。居心地のよいそこは少年にとって至福の場所であり、もはや聖域。

 チェスの才能に恵まれながら、奇しくも自動人形の中でしか生きられなかったひとりの少年の人生。限られた人間関係・限られた世界の中で生きつつもその生涯は幸福なものであったに違いない。
 稀に見るテーマと独特の世界観。チェスの描写は本当に詩的で文学的。清貧でありながら崇高に思える少年の生き様にしばし背筋の伸びる思いが。なので、文体もかなり硬めになってしまいました。名作だと思います!

生きている人形生きている人形
(2003/12/19)
ゲイビー・ウッド

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 昔、「ローゼンメイデン」にハマッていた時に読んだ本。←動くアンティックドールのマンガなので。
 作品中に登場するケンペルン男爵が作ったチェスマシーンについての詳細記事が。作者サン、この文献も参考にしたのでは? と思うくらいチェス人形とその中の人物とのからくりを記述してます。どちらかというと、澁澤龍彦テイスト☆ 興味ある方にはかなり面白いかも。


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Theme : 今日の一冊 * Genre : 本・雑誌 * Category : 小川洋子
* Comment : (6) * Trackback : (1) |

* by HappyFlowerPop
こんにちは。
私も「猫を抱いて・・・」とても感動しました。
ラスト泣けましたね。
TB送りました。よろしくお願いします。

Re: HappyFlowerPop 様☆ * by 惺
こんばんはー☆
読み応えありましたねー!
もうあの少年の生き方に感動です。
高評価に納得でした☆
TBありがとうございます!

* by まいまい
そうそう,この話は辛かったり切なかったりするんだけど,読後感がとても幸せな感じなんですよね。
母親の胎内に泳ぐ・・それは聖域で至福の場所・・というのがなるほどと感心しました。

「生きている人形」のご紹介ありがとうございます。ぜひ読んでみたいです。

Re: まいまい様☆ * by 惺
こんばんは!
まいまいサンも読まれましたか!!

> そうそう,この話は辛かったり切なかったりするんだけど,読後感がとても幸せな感じなんですよね。
> 母親の胎内に泳ぐ・・それは聖域で至福の場所・・というのがなるほどと感心しました。
不本意な最期だったかもしれないけれど、
自分的に少年は精一杯生きたんじゃないかと思います。
彼は母親を早くに亡くしているので
無意識下できっと母親を求めているのではないかと。
そのメタファーが「自動人形に潜むこと」だったのかなと思いっきり深読みしてしまいました。

> 「生きている人形」のご紹介ありがとうございます。ぜひ読んでみたいです。
かなり昔に読んだのでうろ覚えですが、
この小川作品読み始めた時に
こちらの著作がまず頭に浮かびました。
なかなか興味深いタイトルばかりで面白かったです。

こんにちは * by kotone
単純に タイトルに魅かれてます^^;

内容も 皆さんの感想を 拝見してると
とても 感動するよーなので
私も 仕事が ひと段落ついたら
読んでみたいと思います^^

Re: kotone 様☆ * by 惺
こんにちはー!
> 単純に タイトルに魅かれてます^^;
猫!!!☆

> 内容も 皆さんの感想を 拝見してると
> とても 感動するよーなので
> 私も 仕事が ひと段落ついたら
> 読んでみたいと思います^^
とてもとても感動しますッ!
チェス+自動人形+猫+象=感動
といったカンジでしょうか。
目立たないけれどきちんと猫ちゃんも
主人公の精神的な支えになっているんです。
是非ご一読を☆

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