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個別記事の管理2014-01-03 (Fri)
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アルモニカ・ディアボリカ (ミステリ・ワールド)アルモニカ・ディアボリカ (ミステリ・ワールド)
(2013/12/19)
皆川 博子

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あの!「開かせていただき光栄です」の続篇。待ちに待ってました!以下BOOKデータベースより内容。

18世紀英国。愛弟子エドらを失った解剖医ダニエルが失意の日々を送る一方、暇になった弟子のアルたちは盲目の判事の要請で犯罪防止のための新聞を作っていた。ある日、正体不明の屍体の情報を求める広告依頼が舞い込む。屍体の胸には“ベツレヘムの子よ、よみがえれ!アルモニカ・ディアボリカ”と謎の暗号が。それは、彼らを過去へと繋ぐ恐るべき事件の幕開けだった。『開かせていただき光栄です』続篇!

ちょっともう読む前から興奮して…。
本作を読む前に復習として「開かせていただき~」を読めば良かったと読了後にちと反省。かなり忘れている部分もあって残念な思いもしましたが。
しかし!読み始めてしまえばもう独特の皆川ワールド。多少前作を忘れていても大丈夫。しっかり楽しめました。
評判で傑作と名高い作品の続編というとなかなか難しいものがあるかと思うのですが、あの、重厚で華麗でグロい世界観は変わらず。
前作では外科医・ダニエルがメインキャラのようでしたが、今回は判事サー・ジョンが紛れもない主役。
その存在感は圧倒的でキャラも全然ブレていない。そしてミステリーとしても導入部の殺人事件からしてもう一気に読者のハートをガシッと掴んで放さない。なんたって前作で主要キャラだった彼が犠牲者になってしまうという、意外なイントロにもう自分的には嘘だろ? 嘘であって欲しい!と思いながらもグイグイと作品に飲み込まれてしまって一気読み。

実在した人物と楽器アルモニカに絡めたミステリー。なかなか複雑でトリックに関しては自分的には前作の方が(どうしても比べてしまうのだけど)わかりやすくてよかったなあと(あくまでも個人の感想!)思うのだけど。中盤から後半にかけては前作でエドと共に消えたナイジェルの生い立ちがメインストーリー。その出自はなんとも悲惨で切なく哀しい。同性愛を彷彿とさせるエドへ向けてのメモがより哀愁を感じさせて読んでいて辛かった。

そして判事サー・ジョンの法に順守するか仲間を庇うか苦悩する心情。二者択一の辛い選択に逡巡する姿も心にグッとくる。
さらに当時のイギリスの警察組織の不備や法曹関係者の堕落などと対比させて、サー・ジョンの清廉潔白さがさらに強調されているのもなかなか巧いなと。

新大陸アメリカという新たな舞台を設けて仄かに明るい前途を感じさせる反面、ナイジェルのエドに向ける切ない心の裡の吐露によって余韻を残すラストは心憎いほどに巧い。
ただ残念なのがあのユニークキャラの外科医ダニエルの活躍が少なかったところ。ユーモア&グロテスクに徹していた前作よりもミステリー重視の今作。巧く史実と絡めている作者様の手腕にただただ脱帽なのでした。


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HAPPY NEW YEAR * by まいまい
遅ればせながら
明けましておめでとうございます。

ちょっとご無沙汰してしまいました。
皆川さんのお話もなかなか読めずにおりますが、
今年も楽しい本の紹介、
楽しみにしています。

でもブログはマイペースの更新が一番ですよね。
体に気をつけて、
お互いぼちぼち行きましょう(笑)

まいまい様☆ * by 惺
こちらこそ遅ればせながらあけましておめでとうございます。
今年初が大好きな皆川さんの御本で、久しぶりに読書の醍醐味を味わいました。
なかなか以前のペースに戻せないですが、まいまいさんの仰るとおり、
楽しくマイペースで読書していきたいと思います。
突然降ってわいたようにブログ上げるかもしれませんw
今年もどうぞよろしくお願いします。

個別記事の管理2013-08-01 (Thu)
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皆川博子コレクション1ライダーは闇に消えた皆川博子コレクション1ライダーは闇に消えた
(2013/03/08)
皆川 博子

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以前から読みたかった本。期待しつつやっと読了。以下BOOKデータベースより内容。

本年度、第16回日本ミステリー文学大賞受賞の著者の幻の未刊行作を含め、収録作全て文庫未収録作のみ集めた比類なき豪華傑作選、刊行開始!
モトクロスに熱狂する若者たちの群像劇を描いた青春ミステリーの表題作ほか13篇収録。


 皆川博子さんというと自分は幻想文学!というイメージなのだけれど(あ、もちろんミステリーもね)、これはもう全然違った一面を見せて頂いたというか。タイトルロールの「ライダーは闇に消えた」は長篇、あとの13作は中短篇。どれも今の作風からは想像できない(あくまで自分的に)テーマを扱っていて目からウロコ。雰囲気としては「ペガサスの挽歌」に似た感じかな。

ライダーは闇に消えた
 最初どういうジャンルのストーリーなのか皆目想像つかず。ただ、バイク描写がものすごくてリアルで秀逸。まさにバイク通の方が書かれてるかのよう。しかし、皆川博子さんご自身は自転車にも乗れないとのことなので、余計驚き!
 読み進めるにつれ、ああ、これはミステリーなんだとわかってなるほど!
 バイク仲間内で次々と起こる殺人事件。ガジェットとトリックはもちろんバイク。ちょっとわかり辛い個所も多々あったけれど、本格ミステリーで楽しめた。70年代っぽい雰囲気がそこはかとなく感じられるのだけれど、全然陳腐じゃない。ラストのどんでん返しがちょっと意外な気がした。

地獄の猟犬
 タイトルがね、いかにも作者サンっぽいなと。
 西洋を舞台にした幻想ストーリーを彷彿させるけれど、これも純和風ミステリー。
 芸能界を舞台にした、地獄の猟犬=ヘル・ハウンドというバンドのメンバーが繰り広げる愛憎と打算と殺意。
 ヒロインの一人称語りが特徴のなかなか印象的な作品でした。

孤独より生まれ
 衛と朝子はごく普通の夫婦。しかし衛は八穂と浮気をしており、薄々朝子もそのことを感づいている──というよくある不倫がベースのミステリー。
 朝子の衛と八穂への嫉妬の心理描写がさすがの巧さ。こう、じわじわと憎悪しあうような、殺意が身体から滲みでてくるような女の情念が凄まじい。
 ラストの意外なオチにもちょっと驚いた。

 印象的な作品をいくつか挙げたけれど、どれも読み応えあり!の内容。
 派手さ華麗さはないけれど、硬質な人間の奥底にある負の部分が炙りだされてくるような怖さがあるかなあと。
 文庫未収録の作品ばかりのコレクションということなので、続巻も超絶楽しみです。

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個別記事の管理2013-04-13 (Sat)
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少年十字軍 (一般書)少年十字軍 (一般書)
(2013/03/07)
皆川 博子

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 皆川博子の最新作(おそらく)。意外にも早く予約の順番が回ってきたので読了できました。ジャケ画といいタイトルといい雰囲気抜群です。以下BOOKデータベースより内容。

13世紀、フランス。“天啓”を受けた羊飼いの少年・エティエンヌの下へ集った数多の少年少女。彼らの目的は聖地エルサレムの奪還。だが国家、宗教、大人たちの野心が行く手を次々と阻む―。直木賞作家・皆川博子が作家生活40年余りを経て、ついに辿りついた最高傑作。

 史実を巧みに取り入れているのですね。「少年十字軍」というのも歴史的に実在したようで。そこのところの知識があればより楽しめたかも。自分は全く知らずに読了後に知ったのでなるほど!とちょっと感慨深かったです。あ、もちろん知らなくても充分楽しめますが。

 一応主人公は12歳の少年エティエンヌ。ある日天使ガブリエルの啓示を受けた彼が聖地エルサレムを目指す──というのがおおまかな内容。
 彼に付き従うのがやはり年端もいかない純真な少年少女達。ひとり毛色が変わった武闘派?のルーという少年が自分的にお気に入り。エティエンヌ達を庇い護って共にエルサレムを目指してゆくというね。エティエンヌとルーの真逆のキャラの対比が面白い。

 その彼等が長い旅路で出会う大人達。彼等は神がかったエティエンヌを利用し策略を仕掛けてゆく。さらに中盤に登場する領主の息子レイモン。自分こそが神に選ばれし者だと言い張りエティエンヌをその配下に置き、その名を騙り聖地を目指すという、幾人もの思惑と陰謀が絡んで波乱万丈のエルサレムへの旅路となるのだが──。
 果たしてエティエンヌは本当に神秘の力を所有しているのか。それともただ病んだ子供なのか。少しだけミステリー要素も含んで一気に読み進むことができるのだけど、自分的に残念だったのがラスト。壮大な結末を期待していたのでちょっと肩すかしを食ったかなと。
 実在した事件を絡めているということを読了後に知ったので、事前に史実を把握していたら違った楽しみ方が出来たかもです。
 エティエンヌも実在の人物らしく。今作ではまるでキリストを模しているかのようなキャラ設定&展開に思わずニヤリ。
 ただ全体的には正直ちょっと消化不良な感が否めなかった。エティエンヌを取り巻く個性豊かな少年少女達がうやむやになってしまったのも残念だったし、彼等が無事エルサレムへたどり着くことが出来たのか、その結末も判然としなかったし。
 読了して少し経った今思うに、歴史的事実としての少年十字軍を襲った悲劇、として読めば良かったのかな?と。無垢な子供達を餌食にしてゆく大人たち。という読み方もできるなと。などといろいろ考えされられた1冊でした。

 で、作者サンが解説で言及していた、同じテーマを扱った古屋兎丸氏のマンガ「インノサン少年十字軍」にも俄然興味が!
インノサン少年十字軍 上巻 (Fx COMICS) (F×comics)インノサン少年十字軍 上巻 (Fx COMICS) (F×comics)
(2008/10/21)
古屋 兎丸

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 類似している点もあるそうですが、同素材異調理法なので読んでみたいです!

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個別記事の管理2012-11-21 (Wed)
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ペガサスの挽歌 (シリーズ 日本語の醍醐味 4)ペガサスの挽歌 (シリーズ 日本語の醍醐味 4)
(2012/10)
皆川 博子

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 新刊が出ると聞いて即借りました。購入するにはうーん、お値段が…!超絶好みだったのでいずれ購入したいなあ。以下BOOKデータベースより内容。

燦爛たる幻想。自由への憧れ。性の冒険。狂気と孤独。貴重なデビュー前の児童小説を含む、待望の1970年代単行本未収録作品集。皆川文学誕生の秘密がここにある。

花のないお墓 / コンクリ虫 / こだま / ギターと若者 / 地獄のオルフェ / 天使 / ペガサスの挽歌 / 試罪の冠 / 黄泉の女 / 声 / 家族の死 / 朱妖

 児童書時代を含む初期短篇集ということで、もう期待して読みましたが、裏切らず。どの作品も面白かったのだけど、特に印象に残ったものをいくつか。

花のないお墓
 解説によると今作がインディーズ・デビュー作ということで。
 でも全然初々しくないというか(あ、良い意味で)、児童文学っぽくないというか。
 自分的に児童文学って平易であるけれど華やかなイメージがあって。けれど、今作はどちらかというと暗くかなりメッセージ色が強い。児童文学と言われればそうだけれど、違うと言われれば充分大人の鑑賞にも耐えうる作品だと。
地獄のオルフェ
 珍しく音楽シーンを舞台にした作品。
 かなり時代感じます。60~70年代のフォーク全盛の頃という感じ。とある新人グループを発掘したプロデューサーと、エキゾチックな兄妹にまつわるストーリー。近親相姦・家出・自殺等々、当時の流行りの風俗と独特の世界に圧倒された。これぞ真骨頂という感じ。後の皆川テイストを彷彿とさせる。
ペガサスの挽歌
 タイトルロールの今作はやはり皆川博子!というあの世界(どの世界よ)。
 とある裕福な独身男性の許に嫁いだひとりの女性。男性には十代の年頃の兄弟がおり、なんと女性はその兄弟と関係してしまうという。若い継母をめぐる兄弟間の葛藤。特に兄の怨念にも似た黒い感情にはゾクッとさせられる。ラスト泥沼の悲劇がなんともいえず。かといって読後感はそんなに悪くないのが不思議。少年達=兄弟をペガサスに例えたタイトルも秀逸。
試罪の冠
 これも独特の世界。70年代の作品ということで当時の風俗であったヒッピーを取り入れているところがやはり時代を感じるところ。
 そのヒッピーであるひとりの少年のエピソードを冒頭とラストに配して、メインストーリーはとある主婦同士の奇妙な関係が綴られる。夫の特異な呪縛に苦しむ妻の苦しみと謎めいたヒッピー少年との絡みがなんともやるせない。

 これは少しホラーテイスト。新婚の夫視点で語られる妻の異様さ。結婚生活に希望を見出せない夫の鬱屈した思いと、妻の微妙な変化。電話を通した「声」がポイント。ラストのオチが少し怖いかも。

 と、どの作品も粒ぞろいの面白さ。特に児童文学は貴重作品だと。児童向けとはいえ、あの皆川色は健在で。かなり個性的な作品ばかりで堪能できた。
 中には妻あるいは夫の浮気というありがちなテーマの作品もあるのだけど、そこは皆川博子。ホラーまたは幻想的なアレンジを施してあるところがさすが。バラエティに富んだ一冊。読んで損はなかったです。


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個別記事の管理2012-05-06 (Sun)

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 自分的に期待値最大。ジャケ画もタイトルも渾然一体となった素晴らしさ。一気読みでした。以下BOOKデータベースより内容。

爛熟と頽廃の世紀末ウィーン。オーストリア貴族の血を引く双子は、ある秘密のため、引き離されて育てられた。
ゲオルクは名家の跡取りとなって陸軍学校へ行くが、決闘騒ぎを起こし放逐されたあげく、新大陸へ渡る。一方、存在を抹消されたその半身ユリアンは、ボヘミアの「芸術家の家」で謎の少年ツヴェンゲルと共に高度な教育を受けて育つ。
アメリカで映画制作に足を踏み入れ、成功に向け邁進するゲオルクの前にちらつく半身の影。廃城で静かに暮らすユリアンに庇護者から課される謎の“実験”。交錯しては離れていく二人の運命は、それぞれの戦場へと導かれてゆく―。
動乱の1920年代、野心と欲望が狂奔する聖林と、鴉片と悪徳が蔓延する上海。二大魔都を舞台に繰り広げられる、壮麗な運命譚。


 面白くてあまりの厚さに最初は戸惑っていましたが、読み始めたら俄然ページをめくる手が止まらず。皆川博子ワールド全開の重厚かつ豪華絢爛な世界観に圧倒されっぱなしでした。
 まずイントロが秀逸。汚穢の悪臭・腐乱した死体・鴉片中毒者等がうごめく上海の貧民窟で発見される華美な衣装をまとった役者の謎めいた屍骸──そこから一気に舞台はウィーンに飛んで運命的な双子のストーリーが展開。
 結合双生児であった彼らは分離手術を受けて、ゲオルクは貴族の嫡子として、ユリアンはその存在を抹殺され人知れず顛狂院に匿われる。光と影のように生きる2人の運命を交互に、さらに重要なサブキャラであるツヴェンゲルとパウロを交えた視点で進むストーリー。

 ゲオルクはその放蕩ぶりから廃嫡され新大陸・アメリカで映画監督として成功する。時代的に映画の黎明期を重ね合わせているところがかなり読み応えがあった。ゲオルクが創り出す映画の数々、プロデューサーとの対立・葛藤等こまごました内情がリアルに描写されていて一種の成功譚としても楽しく読める。
 平行して不幸な出生のためにやむを得ず影の存在となったユリアンの生い立ちもまた耽美的な語り口で酔わせる。彼の引き取り手となったヴァルターとの親子の情、幼馴染であるツヴェンゲルとの切っても切れない固い絆。それらを育んでゆくユリアンの姿は、華やかで豪胆なゲオルクとは対照的に哀切に満ちてはかなすぎる。特にユリアンの章はゲオルクとの感応力、ツヴェンゲルとの密接な関係等々、ミステリアス&耽美的なテイストが盛り込まれていて皆川博子の真骨頂かなと。

 しかしミステリーとして読むとかなり弱いなという印象が。
 さらにもう少しゲオルグとユリアンとの濃密な葛藤や苦悩が描かれるのかと思っていたら、意外にもあっさりとしていて個人的に物足りなさも。それにどちらかというとゲオルクの映画人としての成功譚と、ユリアン・ツヴェンゲルそしてヴァルター3人の運命譚が程よく絡み合った絢爛豪華な作品といった印象が強い。

 個人的に魅力的だったキャラは何と言ってもツヴェンゲル。ゲオルクとユリアンが肉体的な双生児ならば、彼はユリアンと精神的な双生児だったのだと解釈。さらに読んでいて思わず眉を顰め鼻をつまみたくなるような醜悪な上海の貧民窟の描写も極上かと。
 皆川作品を読むにつれ思うのは往年の少女マンガ。特に萩尾望都作品を彷彿させる。作品の根底に流れる優雅さ華麗さ切なさが類似しているせいなのかなと。
 まるで劇的な映画を観ているような作品。まさに映画的な上海貧民窟イントロの仕掛けにもやられました。ラストまで読んでわかる、こうきたか!と。期待に違わぬ自分的に大満足な1冊でした。


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蝶 (文春文庫)蝶 (文春文庫)
(2008/12/04)
皆川 博子

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 名作揃いの短篇集という噂を聞いて図書館で借りました。ジャケ画がとても綺麗です。以下BOOKデータベースより内容。

インパール戦線から帰還した男は、銃で妻と情夫を撃ち、出所後、小豆相場で成功。北の果ての海に程近い「司祭館」に住みつく。ある日、そこに映画のロケ隊がやってきて…戦後の長い虚無を生きる男を描く表題作ほか、現代最高の幻視者が、詩句から触発された全八篇。夢幻へ、狂気へと誘われる戦慄の短篇集。

空の色さえ


想ひ出すなよ
妙に清らの
龍騎兵は近づけり
幻燈
遺し文


 独特です。圧倒的な世界観に幻惑されっぱなしです。
 8篇の短篇はすべて日本が舞台となっているのですが、なぜだろう、この作者が描くとどうしても異国の雰囲気が醸し出されている気がする。時代設定が戦時中~戦後という尋常ではない特異な時空のせいだからなのか?

 今作の特徴はそれぞれの短篇がすべて名詩句より引用、あるいはモチーフとなっているところ。
 上田敏・西條八十・ハイネ等々。それらの詩句が効果的に作用していて、独特な雰囲気をさらに奥深いものにしているかと。
 すぐに読めてしまう作品群なのに、とても濃密内容。どの作品にも「死」がすぐ隣り合わせにあり、それが日常に何の変哲もなく溶け込んでいるというのが恐ろしくもある。
 何のわだかまりもなく半身だけが「そちら」の世界へ行ってしまう少女、夫の眼球の無い眼窩に花を生ける妻の幻想的な狂気、夫人とそれに仕える女中との背徳的な絆、戦争の犠牲になった女性と少年との魂の交感──一筋縄では読みとれない、ある種の官能的で濃厚な世界が繰り広げられてゆく。

 残酷でありながら幻想的。濃厚でありながら清冽な印象を受ける作品の数々。
 どちらかというと大人の短篇集。サクッと読めてしまうけれど、あえてじっくり時間をかけて作者の創りあげた小説世界を堪能すべきかなと。


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 タイトルがね、好きです。でも内容は自分が思っていたものとは違ってました。以下BOOKデータベースより内容。

この感覚は、決して悟られてはならない。
人には言えない歪みを抱きながら戦前~戦後の日本をひとり生きた女性を描く表題作のほか、ラスト一頁で彼岸と此岸の境を鮮やかに越える「巻鶴トサカの一週間」など、名手・皆川博子の傑作短篇七篇を収録。

少女外道
巻鶴トサカの一週間
隠り沼の
有翼日輪
標本箱
アンティゴネ
祝祭 
 …どれも極上の7篇収録。

 短篇集だったんですね。自分はてっきり表題作のみの長篇だと思ってました。
 端的に言うと和テイストの幻想小説と位置付けて良いかな。各ストーリーに何かしら共通しているモチーフが生・死・戦争。
 それから登場人物の強烈な、或いはそこはかとない死への願望というのも読みとれたような。

少女外道
 少女・久緒の少年・葉次に対する複雑で歪んだ想い。それは彼女の生涯を通して心の裡に棲み続ける。自分的にはそれは久緒の伝えきれず、押し殺し続けた葉次への密かな愛情だと思ったり。
巻鶴トサカの一週間
 巻鶴トサカという奇妙な老女の死をきっかけとして、急速に寄りそい深まる男女の愛。ラストが余韻に残る。
隠り沼の
 生まれる前から業の深い一人の少女。その彼女の内面と心理がとても怖くて謎。鮮やかな場面転換、無意識下の自殺願望の少女の死の情景がなんとも幻想的。
有翼日輪
 自分的に一番印象に残った作品。とある一人の男性の回想形式で綴られる。戦時下での子供時代。友人の兄に憧憬の念を抱く自分の強烈な願望。それはその兄の死。
 果たしてその兄は事故で片脚を失い将来を悲観して自殺。そのきっかけとなったのが、何を隠そうその少年だった──少年の歪んだ愛情が凄まじい。
標本箱
 たくさんの鉱石が収められた標本箱にまつわる叔母の過去。少女・倫は謎めいた叔母の真の姿を知ろうとする。ラストは幻想的ともちょっとホラーとも。
アンティゴネ
 戦時下、地方の少女と東京から疎開して来た少女との友情譚。戦争によって引き裂かれた友情を再び取り戻そうとするヒロインの決意が力強い。
祝祭
 ひとりの女性の幼少期の回想。出征して亡くなった青年への追憶と自らのそう遠くない死への畏怖。荘厳な生と死の想いを描写したラストが秀逸。

 どれもこれも一筋縄ではいかない秀作ばかり。どの作品も背景には「戦争」が見え隠れしていて、重要なモチーフとなっている。声高に反戦を訴えるのではなく、静かにともすれば分からないくらいに、それほど微かではあるけれど争いの愚かさをも描いているなあとしみじみ。
 お得意の別の時系列のエピソードを最後に巧く収斂させてゆく、という構成も健在。プラス幻想性もミックスさせたりと、作者サンの魅力溢れる品ぞろえです。
 長篇・外国モノも良いけれど、真逆の和モノ・短篇集も堪能させていただきました。

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個別記事の管理2011-12-20 (Tue)

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死の泉 (ハヤカワ文庫JA)死の泉 (ハヤカワ文庫JA)
(2001/04)
皆川 博子

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 お気に入り作家の皆川博子サン。あまりのブ厚さに萎えていたのですが、やっと読了。以下BOOKデータベースより内容。

第二次大戦下のドイツ。
私生児をみごもりナチの施設「レーベンスボルン」の産院に身をおくマルガレーテは、不老不死を研究し芸術を偏愛する医師クラウスの求婚を承諾した。
が、激化する戦火のなか、次第に狂気をおびていくクラウスの言動に怯えながら、やがて、この世の地獄を見ることに…。
双頭の去勢歌手、古城に眠る名画、人体実験など、さまざまな題材が織りなす美と悪と愛の黙示録。吉川英治文学賞受賞の奇跡の大作。


Ⅰ 生命の泉 レーベンスボルン
  ドキュメント
Ⅱ ミュンヘン
Ⅲ 城
  あとがきにかえて

 もうもう圧倒的スケールと世界観で読了後暫しあ然。
 舞台は↑にもあるとおり第二次大戦下のドイツ。
 ナチスが支配する混乱する国内で私生児を抱えて生きるマルガレーテ。その彼女がたどる足跡を丁寧に描写したのが Ⅰ生命の泉。
 およそミステリー感は殆どなく、一女性の生きざま的なストーリー。けれど、描かれるのは偏執的で妖しげな医師クラウス・人体実験・去勢……などなど耽美的なガジェットが満載。
 加えて当時のドイツの描写も圧巻でそれだけでも読み応え充分。

 Ⅱミュンヘン Ⅲ城 あたりからはガラッと雰囲気が変わって、1人の男性ギュンター視点・語り手としてストーリーは進んでゆく。
 Ⅰとは一転して精神的に病んでしまったマルガレーテ。行方不明となってしまった、義理の息子たち・フランツとエーリヒ。そして成長が止まってしまったかのような実子ミヒャエル。そしてあらたなキャラ・少年ゲルト。その彼も深い因縁で繋がっている……というエピソード。
 謎めいてエキセントリックなCP(カップリング)のフランツとエーリヒがまたかなり魅力的! その彼等がマルガレーテとクラウスの息子・ミヒャエルの命を狙ってジリジリと彼等の迫ってゆく……とここからやっとミステリー&アクションが堪能できます。
 特にⅢ城 は塩坑に舞台を変えてのアクションシーンがやたらスリリング!! そして明かされるフランツとエーリヒ・ミヒャエルの驚愕の事実。

 で、ここですべての謎が解き明かされた……と安心してはダメです。
 今作の一番の謎はすべて あとがき にあると言っても過言ではないはず。二重構造というか、入れ子構造とでもいうのでしょうか。
 解決したと思った謎が、さらに深く混迷すること間違いなし。そして混乱すること必至。けれどこの作品をどう解釈するかは、読者個々の判断による、ということなのかなということで納得。鮮やかなどんでん返し的ラストに呆然&心臓ドキドキ。作者サンお得意の幻想耽美ミステリーここにあり! という印象でした。


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