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個別記事の管理2013-01-07 (Mon)
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ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)
(1976/10)
夢野 久作

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 とうとう読了してしまいました…下巻…実は自分、かなりというか大変面白く読めてしまったのですが。不覚にも感動したよ…以下BOOKデータベースより内容…と思ったけど、なかった。文庫裏表紙にもない。まあ、内容書きづらいよね、この話。

 ということで、奇天烈・超クセのある上巻とはうって変って、下巻は本格的推理劇の謎解き編と言った感じでした。雰囲気としては江戸川乱歩や谷崎潤一郎、横溝正史(読んだことないけど)あたりに似ているカンジが。
 はっきり言うけど、これはやはり名作&傑作だなと。上巻全体が壮大な伏線であって、下巻はそれを見事に回収してゆくという素晴らしさ。読んだ限りでは矛盾は感じなかったし。

 精神病理をテーマとしているのは変わらずに、下巻でははるか中国・唐時代までさかのぼる予想の斜め上をいく因縁エピソードが超展開。
 「私」の一族の祖先である呉青秀が書いた絵巻物にまつわる想像を絶する物語がなんとも幻想譚っぽくて読ませる。その呪われた絵巻物の秘密を握る正木と若林の両天才。そして「私」の母親とおぼしき呉千代子との三角関係─と、よもやの入り組んだ人間ドラマへと発展。
 その間にも、正木教授の遺書と題する文書が提示され、それがまた映像的構成であったり、寺に預けられた呉家に伝わる呪われた絵巻物の伝承縁起等描かれていたりと、なかなか劇的な構成となっているところも凄かった。真面目な論文形式であったり、旧かな遣いを駆使した伝承文であったり、会話文多用の独白形式であったりと自在に変わる文体に驚かされっぱなしだった。

 読了後すぐに思ったのが、この話は父と息子の葛藤の物語なのだなあと。さらには母から息子への惜しみない愛情の物語でもあると。
 狂気の精神病科教授正木が計画した恐ろしい人体実験。それは息子を犠牲とし、呉一族を不幸に陥れる。そんな息子の逃れられない運命を予感しなんとか回避しようとする母親。
 クライマックスでの正木と「私」の対話シーンがとても感動的だった。ここでほとんどの謎が解決するのだけれど、もっともらしい持論を繰り広げる正木に対し、涙ながらに彼を断罪する「私」の姿に泣けた。作者の狂気と良心を描くバランス感覚のよさに思わず唸ったシーンでもあった。

 同時に天才同士の正木と若林。両博士の対決もスリリングで超絶面白い。どちらが「私」にとって敵か味方か? 真実を語っているのはどちらなのか? 「私」は無事記憶を取り戻すのか? 果たして稀代の殺人鬼・呉一郎本人であるのか? 
 などと、ミステリー要素は充分。おそらく大抵の人が引いてしまうのは上巻だと思うのだけど。はっきりいってキモチ悪い文ではある。
 だけど、視点を変えて読むと、作者の見事な文章技術と卓越した知識が詰め込まれた内容だと思う。当時の精神医療に対する痛烈な批判などはもっともだと思うし、記憶や脳髄に関する知識なども豊富。なによりこの上巻がこの作品の核となっているのだから、ここで挫折してしまうのはとても惜しい。
 冒頭とラストも秀逸。昏迷する「私」の心と精神。出口のない無限ループを暗示するとってもよい構成かと。

胎児よ 胎児よ 何故躍る 母親の心がわかって おそろしいのか

 冒頭の巻頭歌がとても切ない。無垢な美少年・呉一郎の運命が胎児の頃から既に呪われ逃れられない。
 奇書と言われているけれど、自分的には傑作だと。こんな作品、今の時代で書ける作家が果たしているだろうか?
 読了後精神に異常など来すわけもなく、逆に感動で涙腺崩壊したし。煽り文だけで読まず嫌いをしていた自分にちょっと反省。

 運命を仕組まれた子供、呉一郎。と思い、連想したのが即エヴァ。
 両親の愛(特に父親)に恵まれず、自分の思いもよらぬところで運命が回り悲劇をもたらす─こういったテーマは不変で受け入れられやすいテーマなのだなと。
 クセある作品ですが、傑作です。偏見もたずにぜひ読んで欲しいなあ。としみじみ思ったのでした。感動&感涙←涙腺弱いのだ。
 しかし!あのジャケ画はどうにかならんものか? いくら有名な方の手によるものだとしても著しく作品の内容とかけ離れている気がする。ジャケ画変えるだけでも読む人増えると思うよ…なんて余計なお世話だね 笑。

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* by igaiga
なんか面白そうですね(^^)
乱歩チックなのですか。
この方の表紙、特徴ありますから(^^;)
書店で見たことがあったような・・・
図書館にあったらいいな~。
今年読みたい1冊に追加♪

Re: igaiga 様☆ * by 惺
こんばんは!
ビクビクしながら読んだのだけど、
予想外の面白さでした!
上巻がやたらクセあるので、それをクリアできたら
あとはサクサクイケます。
下巻はよもやの感動作で!←あくまで自分的に。
お外で読む際はブックカバー必携かも…笑。

個別記事の管理2013-01-05 (Sat)
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 日本三大奇書なのだとか。あまりにも有名作ですよね。以前から興味はあったのだけど、どうも食指が動かず。しかし!職場の同僚が貸してくれたので挑戦してみましたー! 以下BOOKデータベースより内容。

昭和十年一月、書下し自費出版。狂人の書いた推理小説という異常な状況設定の中に著者の思想、知識を集大成する。“日本一幻魔怪奇の本格探偵小説”とうたわれた、歴史的一大奇書。

 面白かったです。自分的に掴みはOK的な。思っていたよりもマトモな作品で。
 実験的解放治療を施している精神病院が舞台。その独房で目覚める「私」が主人公なのだけど、いかんせん記憶がない。
 その記憶喪失の「私」と彼の担当医である法医学博士若林・前任者の故・精神病科教授正木。この三人が施す治療によってなんとかして「私」の記憶を取り戻そうとする。その過程と顛末が混沌・ミステリー・幻惑・異常性等々あらゆる非日常・非現実の描写をもって描かれていく。

 まだ上巻なのでやっと謎の本質がわかってきたかなといった具合。上記の3人の他に、正気を失って同病院で治療を受けている「私」の婚約者であるという美少女も絡んで謎が謎を呼び、グロテスク&ホラーの文体・内容。息をもつかせぬ展開で迫る迫る!
 言われているほどそんなに異様な作品ではないような。ただ、ものすごく難解。精神病理や作者独特の思想等が前面に押し出されていて、それが苦手な人はもうダメかも。あと、独特の文体。正直気持ち悪ーい!と思うところもあるけどね。有名なチャカポコチャカポコとか。自分、その部分読んだ時思わず、チャカポコキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! とテンション上がってしまいました 笑。

 語り手でありそして多分主人公であり、この物語の鍵を握る人物である「私」は意外にも美少年設定。対する婚約者も美少女とか。なかなか美味しい設定で。その彼は狂人ということなのだけど、自分にはその担当医である若林と前任者正木の二人の医師の方がよっぽど怪しく思えた。
 上巻中盤からは展開も一転して、その今は亡き天才博士正木が歌う「キ○ガイ地獄外道祭文」(もうこのタイトルからして凄いというか…差別用語…泣)、同じく論文「脳髄論」・「胎児の夢」か怒涛の勢いで展開されるという…正直ものすごい展開だけど、ここからが作者の知識の真骨頂というか。
 はっきり言って難解ですが素晴らしいです。作者は相当に頭脳明晰な方、もしくは紙一重なのかと思ってしまうほど。自分、正直感服しました。何かの研究論文を読んでいるようで、その知識の豊富さに単純に感動しました。細胞が脳髄を凌駕する、胎児の記憶は祖先から引き継がれている─等々、独特の世界に驚き隠せず。

 冒頭で「ドグラマグラ」なる小説が登場。今後の展開を暗示しているような描写に、これはメタ小説の一種かなと。思わず舞城王太郎の世界を連想してしまった。なんとなく似ている気がするなー。
 とまあ、まだまだあと半分あるので頑張って読んでみます。いやいや、意外とイケます。「本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常を来たす」と言われているようですが、まだ、とりあえず大丈夫 笑。引き続き下巻いきまーす!

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個別記事の管理2011-11-23 (Wed)

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少女地獄 (角川文庫)少女地獄 (角川文庫)
(1976/11)
夢野 久作

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 以前から読みたかった作品。ドグラ・マグラにしようか迷ったけれど、1冊で読みやすいこちらに決定。以下文庫裏表紙よりあらすじ。

可憐なる美少女、"姫草ユリ子"は、すべての患者、いな接触するすべての人間に好意を抱かせる、天才的な看護婦だった。その秘密は、彼女の病的な虚言癖にあった。一つのウソを支えるために、もう一つの新しいウソをつく。
無限に増幅されたウソの果ては、もう、虚構世界を完成させるための自殺しかない。そしてその遺言状もまた……。

何でも無い
殺人リレー
火星の女 
の中篇3作収録。

 中篇集だったんですね。自分はてっきり1作の長篇かとばかり思ってました。しかも全作書簡体小説の体裁をとってます。
何でも無い
 もう、面白すぎました。自分的にかなりツボ。3篇の中ではやはりがダントツの面白さだったかな。
 とある耳鼻科に就職希望の少女、姫草ユリ子。彼女がつく些細な虚栄からくる嘘が、さらに嘘を呼び、虚言の連鎖となって最終的には自分自身の首を絞め、自殺せざるを得ない──というラスト。ストーリーとしてはとても簡単でありがちなのだけれど、書簡体という珍しい構成と、姫草ユリ子という強烈な個性のヒロインに度肝抜かれました。
 極貧の家庭出身の彼女。あまりにも辛く悲惨な現実から逃避するように自分自身を一種のヒロインとして妄想する。それが自己完結しているのならばそれで良かったのだけど、次第にエスカレートして、いつの間にか妄想と現実の境界を踏み外してしまう。
 病んだ少女の話ですね。語り手の医師がまた騙されていると後々分かっても、なぜかユリ子を激しく叱責したりはしない。怒り心頭でいながらも、終始彼女に対し憐憫の視線を向けているというのも、また人間心理の不思議なトコロ。
 ユリ子の見事な虚言癖。そして騙される周囲の人間たち。自分の不幸な境遇から必死に這い上がろうと躍起になっているユリ子がなんとも哀れ。うーん、ここなんだな、誰もがユリ子を心底憎めないのは……ってついつい感情移入。自分を実物以上に見せようとしてしまう虚言と虚飾。それは現在にも誰にでもあるよね。時代を超えた普遍のテーマだからこそ激しく作品世界に入ってしまったんだろうな……っていうのはあくまでも自分の考えなのですが。

殺人リレー
 バス会社を転々とする結婚詐欺師であり殺人鬼でもある一人の男をめぐる愛憎劇。
 こちらも書簡体という設定を巧く活かしたストーリーかなと。ある意味犯罪者である運転手が悪の魅力満載で。
 対する女性も男の悪を知っていながら、どうしてもその魅力に抗うことができずに結果的に破滅してゆく──という。
 ちょっとサスペンスっぽい雰囲気の作品でした。

火星の女
 これは……ちょっと時代を感じてしまったストーリーだった。
 とある県立高女で発生した放火事件。その現場には一体の黒焦死体が──。
 こちらも新聞記事&書簡体という凝った構成。とあるボーイッシュでスポーツ万能少女の復讐譚。
 前2作に比べるとちょっと作り過ぎ感が否めなかったんですが、特にヒロインのボーイッシュ少女。あまりにも悲劇的すぎかなって。ただ、話としてはやはり食い入るように一気読みしてしまいました。男尊女卑が根強く残るこの時代において、その存在を顕示せんとばかりに復讐の執念を燃やす激しいヒロインにちょっと感情移入。

 少女地獄とはものすごく良いセンスのタイトルだと思う。それぞれの地獄に陥って苦しみもがく少女(女子)達。
 ただ、登場するヒロイン達のネーミングセンスはあまり良くないよねー。
 姫草ユリ子にはブッ飛んだけど、さらに虎間トラ子、舞坂トメ子にミス黒焦事件に極めつけが火星の女とか……ちなみに火星の女とは、地球上にいる普通の女とはあきらかにちがうということで、「火星の女」。ひどくね? でも爆笑させていただきました。


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こんばんは~ * by 筒涸屋
おぉ~、少女地獄!
この中ではオレは「殺人リレー」が好きです。
ほどよい分量で読みやすいので(笑)

夢野久作の世界に足を踏み入れるとなかなか抜け出せないです。

Re: 筒涸屋様☆ * by 惺
こんばんは!
「殺人リレー」もいいですよね!
最初一体どんな展開になるの?
と思っていたら…!
まさかまさかのラストでビックリでした。

> 夢野久作の世界に足を踏み入れるとなかなか抜け出せないです。
確かに~。
面白すぎる!! てか、次はいよいよ「ドクラ・マグラ」かな~(>_<)

* by HappyFlowerPop
この作品は題名が好きです^^
内容は題名ほど過激じゃなかったですけど
夢野ワールドでしたね。
「ドグラ・マグラ」は滅多に読み返さない私が何回か読み込みました。面白くて。
そちらもぜひぜひ
チャカポコチャカポコ^^(←「ドグラ・マグラ」で入る合いの手)

* by ゆう
こんにちは。
夢野 久作さん、読みたいけれどまだ手を出せない作家さん。「ドグラ・マグラ」を一度立ち読みしたら、ハマりそうで怖くて、以来、まだ勇気が出てない。
しかし、少女にスポットを当ててる割に、そのネーミングセンス、たしかにすごいかも…。

Re: ゆう様☆ * by 惺
こんばんは!
確かに…読むのに勇気いる作家サンですよね…自分もやっとっていうカンジです。
でも少女地獄はタイトルほど怖くなかった。
ふつーの小説かなって印象です。やっぱりかなり時代感じるけど。
「ドクラ・マグラ」…多分近々挑戦すると思うけど…やっぱり勇気がいるな…(>_<)

> しかし、少女にスポットを当ててる割に、そのネーミングセンス、たしかにすごいかも…。
そうなんですー!
もうだんだんふざけてんのかな?
って思っちゃいましたよ。でも爆笑しちゃったけどね。

Re: HappyFlowerPop 様☆ * by 惺
こんばんは!
ひぇ~~!
大変申し訳ございません!!
返信が大変遅くなりました(>_<) ひたすら土下座させていただきます!!

> この作品は題名が好きです^^
> 内容は題名ほど過激じゃなかったですけど
> 夢野ワールドでしたね。
確かに!
もっとおどろおどろしいのかと思っていましたが、
逆に爆笑してしまうシーンが多々ありました。

> 「ドグラ・マグラ」は滅多に読み返さない私が何回か読み込みました。面白くて。
> そちらもぜひぜひ
面白そうです~(*´ω`*)
近いうちに…と思っていますが、いつになるやら…。

> チャカポコチャカポコ^^(←「ドグラ・マグラ」で入る合いの手)
合いの手…そんなものがあるんですね。
さらに興味津々ではないですか~!

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