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個別記事の管理2012-05-25 (Fri)

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夜よりほかに聴くものもなし  山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)夜よりほかに聴くものもなし 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)
(2011/09/23)
山田 風太郎

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 忍法帖シリーズ以外、しかも初・現代小説ということで興味津々で読了。山田風太郎でミステリー……ほとんど忍法帖しか知らなかったのでいったいどのような作品なのかと。以下BOOKデータベースより内容。

東京で五十過ぎまで刑事生活一筋に生きてきた八坂は、ある日、車が母子を轢いた現場に遭遇する。居合わせた男の証言によって過失の事故と判明し、運転していた御曹司は無罪に近い判決を受けた。2年後、八坂は証言者が御曹司の運転手として働いているのを知る。その哀しき理由とは…(「証言」)。
同情すべき事情、共感できる動機。犯罪者それぞれの背景に心揺れる八坂。だが、それでも…。哀愁漂う連作刑事ミステリ。

第一話 証言
第二話 精神安定剤
第三話 法の番人
第四話 必要悪
第五話 無関係
第六話 黒幕
第七話 一枚の木の葉
第八話 ある組織
第九話 敵討ち
第十話 安楽死


 やはりスゴイ作家なのだなと改めて感心させられた。忍法帖のような派手さ豪快さエンタメ性はないけれど、哀愁を帯びた初老の刑事佇まい、深い心理描写、納得できる動機、当時の社会のどうしようもない不条理等々、引きこまれて一気に読了。山田風太郎は忍法帖という卓越したアイデアだけが面白いのではなく、彼が持つ読みやすい文体、テーマ、そして作品の奥底に流れる人間愛──特に社会的・人間的な弱者に対する愛情が満ち溢れているからなのだなと痛感。

 主人公である刑事・八坂がとても渋くて優しい。
 遭遇する犯罪をいきりたって断罪するというのではなく、静かに穏やかに慎重な推理と捜査を重ね犯人を挙げてゆく。巧妙なトリックや派手な逮捕劇があるわけではない。犯人と八坂との間の、時に静謐な時に行き詰るような心理戦。心理的捜査と言ったらいいのか。犯人の心の闇に直接沁み入り、穏やかに罪を暴いてゆく。頑なに犯人を攻めるのではなく、犯人の動機に共感したり反感を抱いたりあくまでも人間味溢れるやり方で断罪し、逮捕に導いてゆく過程の描写が巧みで感情移入。

 1960年代を背景としているので社会風俗等に多少時代を感じてしまうのは仕方ないけれど、各キャラクターの個性や心理・犯罪の動機などは充分現代でも通用するし納得できる。
 各話のラストでの八坂の決め台詞「それでもおれは君に、手錠をかけなければならん」の言葉が重く辛く感じるのは、やはり犯人のどうしようもない葛藤や苦悩を八坂が充分理解しているからなのだ。犯人にも罪を犯すそれ相応の動機があり、悲しみがある。まるで社会の縮図のような複雑な人間模様を垣間見ているよう。

 久々に読んだ重厚な人間ドラマ。やっぱり好きだな、山田風太郎。彼の作品の奥底に優しさがあり、人間に対する愛情をふつふつと感じてしまうのは自分だけではないはずだと。なにより奇を衒わない読みやすさがとても好きだ。
 ヴェルレーヌの詩のフレーズからとったタイトルも印象的。


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Theme : 推理小説・ミステリー * Genre : 本・雑誌 * Category : 山田風太郎
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個別記事の管理2011-12-22 (Thu)

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山田風太郎全仕事 (角川文庫)山田風太郎全仕事 (角川文庫)
(2011/11/25)
角川書店編集部

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 す、スミマセン。思いっきり趣味好み全開です。自分は山田風太郎が好きで、ついつい購入してしまった本。以下BOOKデータベースより内容。

列外の奇才・山田風太郎。時代の波に晒されてなお古びぬ巧みな文章と炸裂する奇想、歴史を丹念に踏まえた物語づくり。
少年漫画にも多大な影響を与え、最高級のエンタテインメントとして愛され続ける孤高の娯楽小説家の豊饒な世界観。その秘密はどこにあるのか。
『魔界転生』『甲賀忍法帖』『幻燈辻馬車』『戦中派不戦日記』、魅力溢れる作品とキャラクター解説の中に、創作の源を垣間見ることもできる、空前絶後のパーフェクトガイド。


忍法帖World
明治ものWorld
推理ものWorld
時代ものWorld
山田風太郎全仕事!!
1979年の山田風太郎
忍法帖 主要忍者人名録


 いやいやファンなら垂涎モノのパーフェクトガイドでした。自分はほとんど忍法帖モノしか読まず。しかも10作品読了なるかならないかくらい。やっと最近になって明治モノを1篇読んだだけという……ファンを名乗るにはおこがましいくらいの読了作品の少なさでした。
 コレを読んで改めて山風のスゴさ・偉大さを知った次第。今さらだし。いかんな~(>_<)

 で、各カテゴリーごとにキャラクターズ・ファイル なるモノが付いていて思わず爆笑!! 
 もうコレ見た途端、あ~、コレコレいたいた、このキャラ! って懐かしさハンパなかった。家中ひとりで大騒ぎ。
 詳細なキャラ紹介と、ひとこと名セリフまで載っててなんともありがたや! 一番面白いのがやっぱり 忍法帖World!
シリーズ中で最も有名キャラの柳生十兵衛なんか特別にページ割いて詳細分析。さらに忍法帖で欠かせないのがその個性的なヒロイン達!!
 それぞれのキャラの有名なセリフと共にその性格紹介などなど、もう嬉しいったらありゃしない~!! 山風の女性キャラって結構好きなんだよね。
 お飾り的ではないヒロインが多いからかな? ただ、自分的に「江戸忍法帖」の鮎姫が載ってなかったのが腑に落ちーん!

 明治モノも名作揃いというのは周知の事実なのですが、推理モノも特化していたというのには驚きです。しかもかなり優れた作品が多いとのこと。ちょっと興味惹きました。是非とも挑戦してみたいなあ。
 他にも忍法帖とは一線を画した 時代モノ。あくまで史実に忠実でその中で巧くキャラクター達を動かしてゆくという手腕は忍法帖でもおなじみ。
 エッセイ集もかなり出してらしたんですね。自分の死を客観的に捉えて、あと何回夕飯を食すことができるのか。と、かなりクールな視点で書かれた「あと何回の晩餐」もちょっと切ないカンジがしないでもないが、是非とも読んでみたい。 

 ラスト、巻末にある 忍法帖 主要忍者人名録 に至っては、自分的にニヤリとするとともに、こんなにもキャラクターと作品を生みだしていたのかと、暫し感慨に浸ってしまいました。あくまでもエンタメに徹した娯楽性豊かな作品群。読者を楽しませようとするそのサービス精神には頭が下がる思いも。読了してみて、やはり山風は作家として天才の部類に入るのではないかなあ……としみじみ思ってしまったのでした。
 あーあ、いつもながら長くてウザい文。最後まで読んでくださってありがとうございました!


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超おもしろそう! * by 筒涸屋
うぉ~!
その本オレも絶対買います!
こういう本を文庫で出した角川も地味にエライ。

Re: 筒涸屋様☆ * by 惺
こんばんは!
山風好きにはたまらない本ですよー!
嬉しくて一人でニヤニヤ…(>_<)
自分が読んだのって、ほんのごく一部なのねって
つくづく思いました…。
他のジャンルも読んでみたーい!
角川サンに思いっきり感謝☆

個別記事の管理2011-05-10 (Tue)

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柳生忍法帖(下) 山田風太郎忍法帖(10) (講談社文庫)柳生忍法帖(下) 山田風太郎忍法帖(10) (講談社文庫)
(1999/06/15)
山田 風太郎

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 あああ、やっぱ山風面白すぎ&柳生十兵衛カッコ良すぎ!! ということで、やっと下巻を読了。以下文庫裏表紙よりあらすじ。

怨敵「会津七本槍」の四人までを討ち果たし、加藤明成に迫る復讐の刃!
だが見よ、七本槍衆の総帥、不死身の妖人芦名銅伯の自信に満ちた不敵な笑いを──。
慈僧沢庵をともない、敵陣会津に乗りこむ柳生十兵衛と堀一族の七美女。彼らを待つは、驚天動地の地獄の幻法「夢山彦」。
妖異壮絶の大対決、最高潮へ!


 登場キャラクターは一体総勢何人になるのやら? 驚くべき多数のキャラクター達を活写してその魅力をあますことなく描写する山田風太郎の手腕には今さら驚きようがないけれど、けれど、やっぱりスゴすぎる。
 上巻はいよいよ敵の本拠地会津潜入までで終了し、下巻はその後の会津での死闘まで。
 もうもう、スゴすぎて書けない~~ 困りますよ、ホント。
 下巻でいよいよ十兵衛の活躍と魅力が大爆発! といったカンジです。復讐の鬼と化した堀家の七美女もちょっと影薄くなりながらも、要所要所、彩を添え脇を締めて、と充分に活躍。自分的にはもう少し頑張って欲しかったところですが……。

 この巻でのメインキャラは敵方・怪人と言ってもおかしくない芦名銅伯。ちなみにあの江戸幕府の高僧・天海と双子という設定。しかもどちらかが死なないと決して死ぬことはない、という不死身キャラ設定。ある意味最強の魔人ですね。その魔人に対するは十兵衛とこちらも高僧・沢庵。この2組の死闘劇に終始しているといってもいいですね。
 その闘いももう、想像絶する凄まじさ! あの手この手で十兵衛&沢庵を窮地に陥れる敵を、十兵衛の不屈の闘志と沢庵の英知、そして銅伯の娘・ゆら、村娘・おとね、七美女達の助けをもってして切り抜ける!
 特に終盤は読んでいて手に汗握る展開です、ハイ。

 なかでも印象に残ったシーンが、捕えられた沢庵救出に向けてたった独りで敵地に乗りこむところ。もう、カッコいいですよ! 映画のワンシーンを観ているようですね~。さらに、銅伯の狂気じみた幻術に恐れをなして屈しようとする沢庵に、十兵衛があくまでも敵に屈するなと力説するシーンが今作の白眉かと。
 最強の剣豪でありながら、異端児。荒々しいけれど心根は優しく情に篤い。愛弟子である七美女たちとのカラッとした絆も読んでいて気持ちいい。
 そして、ラスト自分のために犠牲となってしまった銅伯の娘・ゆらのことをただ独り偲ぶという幕引きにも、作者サンの女性キャラに対する優しさを感じられて好感度高し!

 美女・悪女・剣豪・僧侶・バカ殿・究極の大悪人等々……これらさまざまなキャラクターを自在に動かして一大忍法帖(あ、忍者出てこないけどね)を繰り広げる山風。やっぱ面白い!ひさしぶりのシリーズ、充分堪能させていただきました。


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個別記事の管理2011-05-09 (Mon)

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柳生忍法帖(上) 山田風太郎忍法帖(9) (講談社文庫)柳生忍法帖(上) 山田風太郎忍法帖(9) (講談社文庫)
(1999/06/15)
山田 風太郎

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 上下巻一気読みしようと思っていたのに、出来なかった……久しぶりの山風忍法帖。読了したものではなく、初めての作品。かなり期待して読みました。以下文庫裏表紙よりあらすじ。

寛永十九年春。
女人救済で名高い、鎌倉東慶寺の山門をおびただしい女性の血で染めた「会津七本槍」の七剣鬼。
暗愚な藩主加藤明成を使嗾し、硬骨の家老堀田主水一族を皆殺しにした暴虐に今天誅が下される!
大いなる恨みに燃える堀家の女七人を助けるべく、徳川千姫の命により、柳生十兵衛が、いま見参!


 上下巻合わせて約1000ページ。かなり読み応えあります。面白いからすぐ読めるかな? と思っていたら、なんと、予想以上に時間がかかってしまいました。
 忍法帖と銘打ってますが、ひとりも忍者登場しません。ある意味看板に偽りアリの感。ま、パターン化を敢えて避けているのかも……と良い方向に捉えてますが。
 タイトルに「柳生」とあるので、もちろん登場するのは柳生一族の中でも極めつけの異端児であり、人気抜群の柳生十兵衛! で、その彼が敵と決死の戦闘を繰り広げるのかと思いきや、これもまた予想外の設定でビックリ。

 愚藩主・加藤明成に愛想を尽かせた実直な家老堀主水。その彼が一族郎党ひきつれて藩主を寝返ったことからこのハナシは展開。
 堀家の裏切り許すまじ!と執拗に一族を捕まえ根絶やしにしてしまう加藤明成とその腹心の部下・会津七本槍。夫や父を無残に虐殺され、かろうじて生き残った七人の堀家の子女たち。その彼女達が復讐の炎を燃やす!! という恐ろしくカッコよいストーリーです。

 むろん、女七人で残忍な敵を打ち果たせるわけがない。そこで、彼女達の指南役として登場するのが、例の彼、柳生十兵衛。カッコイ~!!
 いわば、彼を監督に据えて七人の女子達が死に物狂いの訓練・特訓を受け、憎き敵の命を頂戴する……という、まるでスポ根を思わせる、これまたひとひねりした設定が笑えます。

 この監督役の柳生十兵衛がまた飄々とした愛嬌あるキャラクターとして描かれていて魅力的。その彼を取り巻く七人の女子達もお約束の美女揃い。熱心に訓練を施す十兵衛にほのかな思いを寄せてしまうのも、これまたお約束。
 十兵衛と彼女たちが訓練と戦闘を通して、それぞれ男女を意識しながらも、「復讐」という大願成就のために素知らぬフリをする……というなんとも微妙な男女間の機微を巧く描写しているのも巧いトコロ。十兵衛を取り巻くハーレム状態の彼女たちの思惑も一体どうなることやら。

 と、こんなサービス満点の設定の他、もちろん戦闘場面は迫力満点! 上巻までに敵方四人も殺されてしまうので、ちょっと出来すぎ~? と思ってしまいましたが、山風独特の淫靡で凄惨な死闘シーンは健在です。

 上巻の舞台は主に江戸。終盤から敵方本拠地の東北へと場面転換の様相。一体どのようなラストが待ち受けていることか。その他、千姫や徳川家側近の怪僧・天海などの大物キャラも登場して下巻の展開が楽しみ。欲を言うなら、柳生十兵衛監督の愛弟子たる七人の美女刺客達の活躍をもっと見たいかな。下巻に期待!


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* by 筒涸屋
十兵衛は最高にカッコいいですよね!

Re: 筒涸屋様☆ * by 惺
こんばんは!
> 十兵衛は最高にカッコいいですよね!
ホント、いいですねェ…、カレ!
十兵衛サン登場のハナシはこれが初めてなんですけど、
もうずっきゅん☆です。
他にもカレ登場の作品あるんですよね?
そっちも挑戦してみたいな~!

* by 筒涸屋
『柳生忍法帖』『魔界転生』『柳生十兵衛死す』が、十兵衛登場の“柳生三部作”ですね。
どれも十兵衛がカッコよく描かれていて
まさに「ヒーロー」って感じです。

Re: 筒涸屋様☆ * by 惺
こんにちは!
> 『柳生忍法帖』『魔界転生』『柳生十兵衛死す』が、十兵衛登場の“柳生三部作”ですね。
おおっありがとうございます!
そっか「魔界転生」にも出てたんだ!
「柳生十兵衛死す」が面白そうですね~。
挑戦してみよう! 教えていただき、ありがとうございました☆

個別記事の管理2011-01-04 (Tue)

ご訪問ありがとうございます☆

 
幻燈辻馬車 上  山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)幻燈辻馬車 上 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)
(2010/11/25)
山田 風太郎

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幻燈辻馬車 下  山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)幻燈辻馬車 下 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)
(2010/11/25)
山田 風太郎

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 山田風太郎の初・明治モノ。ご訪問くださる方のおススメでぜひ読んでみよう!!と思い立ちました。以下文庫裏表紙よりあらすじ。

明治15年。年々文明開化の華やかさを増す東京を行く1台の古ぼけた辻馬車があった。
それを駆けるは元会津同心の干潟干兵衛。孫娘のお雛を馭者台の横に乗せて走る姿が話題を呼び、日々さまざまな人物が去来していく。
ある日2人は車会党の恨みを買い、壮士らに取り囲まれてしまう。危機に晒されたお雛が「父!」と助けを叫ぶと、なんと無人の辻馬車が音もなく動きだした!そして現れたのは……?


 忍法帖以外の山田風太郎作品、正直言って面白かったです! 
 時代背景は維新後しばらく経った明治初期。主人公は元会津同心であり、西南の役での残敗兵・干潟干兵衛。端的に言うと、その彼の生き様を描いた作品。
 純然たる時代モノ作家である司馬遼太郎等とはまた違って、山田風太郎は基本エンタメ作家であるのではないかと個人的に思っているので、この作品も単なる歴史モノとは一風変わった味付けがされてます。

 干兵衛とその孫娘・雛が絶対絶命の危機に陥った時に颯爽と出現するのが、西南の役で戦死した息子・蔵太郎の幽霊。しかも彼は孫娘の雛が呼ばないと現れてくれないという設定がひとひねり。
 そして同じく幽霊である干兵衛の妻・お宵も絡んで、自由民権運動を推進する自由党の壮士と、対立する政府との争いに巻き込まれゆく……という幽霊が絡んだちょっとファンタジー的な展開と、行き別れた雛の母親と、お宵を非業の死へと追いやった犯人の行方も捜索するという、ちょっとしたミステリー仕立てとなっているところがさすがだなと。
 冒頭、雛が呼ぶ幽霊・蔵太郎登場シーンからして引き込まれ、上下巻一気に読んでしまったし。

 山田風太郎お得意の、史実と虚構の融合という構成もさすが。
 作中登場する実在した有名人物は数知れず。三遊亭円朝・伊藤博文・川上音二郎・貞奴・坪内逍遥・田山花袋・中江兆民……等々キリがないくらいですが、これらの人物を破綻無く作中に溶け込ませているところ、見事です。ただ、自分がこのあたりの時代背景に明るければもっと楽しめたと思うのですが……いかんせん、疎くてちょっと理解するのに辛かった。

 黒いまるで棺桶のような辻馬車を操り、帝都を疾駆する干兵衛。民権運動家達を窮地に追いやる意外な黒幕を突き止めるのも、何を隠そう彼。
 ラスト、己の人生の最後にひと花咲かせようと、自由党の壮士を援護すべく決死の覚悟で雨の中辻馬車を疾駆させる干兵衛の潔さにある種の男の美学を感じます。

 体制VS反体制という図式にミステリーとファンタジーを掛け合わせた異色な作品。忍法帖ほどのスリリングさはないけれど、充分楽しめました!


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Re: こんばんは☆ * by 惺
v-83コメ様☆
いやいや~、ものすごく面白かったです。
忍法帖とはまた一味もふた味も違った、ある意味オトナの作品といった印象でした。
雛と干兵衛との絆がね、もうツボです!
ラストの2人の別れなんか巧すぎですよ。
ホントにご紹介ありがとうございました!!

「花宵~」はやっぱ男性としてはそうですか~、フフフ♪
作品の質も技術も大変良いと思うので充分堪能してください!
いつも応援ありがとうございます☆

個別記事の管理2010-12-02 (Thu)

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    TS3R02560001.jpg     海鳴り忍法帖 (1979年) (角川文庫)

 最近再評価されつつある山田風太郎。「山田風太郎賞」なども創設されたということで、ファンとしては嬉しい限りです。
 久しぶりに再読した作品。忍法帖シリーズの中でもとんでもなくマイナー作だと。自分も初読の時はイマイチ感アリアリだったのですが、今回再読してひと味ちがった忍法帖モノだということを再発見しました。以下BOOKデータベースより内容。

宣教師ルイス・フロイスは怖ろしい日本の魔術を見た―。
公方・足利義輝の剣術師範、上泉伊勢守の弟子と奸雄・松永弾正の配下の根来忍者の試合での惨劇を。
「公方様、勝ったら私の欲する物を何でも与えるというお約束の履行を」弾正は舌で唇をなめて言った。「奥方さまか、昼顔のお方のいずれを拝領いたそうか…。」
美少年厨子丸の復讐に堺の町と織田軍の思惑がからんで凄艶な戦いが続く。山田忍法帖の醍醐味が味わえる不朽の名作。

 意外にも従来のような忍者VS忍者という構図ではありませんでした。ちょっとビックリ。
 山田風太郎お気に入りの中世の極悪人・松永弾正を敵役とし、その配下の根来忍者に想い人・鶯を殺された復讐と、弾正に殺された主君の妻を護るために立ち上がる厨子丸の活躍が見モノ。
 ですが、彼は従来の山田忍法帖のヒーローのように、自らは忍者ではない。鍛冶職人という出自と頭脳を最大限に生かして、鉄砲の改良や銃火器を次々と発明して松永弾正を翻弄してゆく。

 忍法VS近代兵器という新しいスタイル。忍法帖で有名な作者のはずなのに、今回味方に近代兵器を使用させているあたり、なんとも逆説的でユニーク!
 そして大阪・自由都市堺が舞台。織田信長が攻め入る直前の史実を背景に、呂宋助左衛門や豊臣秀吉等の歴史的人物を巧く散りばめたストーリー展開はお手のモノ。安心して読むことができる。

 何より異色なのは、ヒーローであるはずの美少年・厨子丸。従来の山田作品ならば彼が忍術を駆使して敵方を倒してゆくはずが、今回の彼は発明マニアとして活躍。自動式連発銃を作り上げ、手榴弾・果ては大砲までを発明してしまうMADサイエンティストぶりを発揮。それら近代兵器を盾として、攻め寄る三万の松永軍から自治都市・堺を護ろうとして奮闘。

 権力・圧力の象徴たる松永・織田軍VS自由の象徴たる厨子丸・呂宋助左衛門ら、自治都市・堺を護る人々。ただの忍法帖から発展して、あたかもクーデターのようなスケールで描いている点でも、今作は異色作なのではないかな、と。

 ただ、スケールが大きい分、当初の厨子丸の復讐譚というエピソードがかなりブレてしまっている感が否めない。しかも、一応主人公であるはずの彼の存在感が次第に薄く、薄~くなっていくのもちょっと悲しい。
 けれど、その分活躍するのが呂宋助左衛門と弾正の愛妾である昼顔。呂宋助左衛門が日本脱出するエピソードは良く出来てるし、昼顔の悪女っぷりは素晴らしい!! 完全に松永弾正を食ってました。

 ルイス・フロイスも登場して異国情緒感じさせる異色忍法帖。やっぱり面白いです、山田風太郎。


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道楽猫 * by こんにちは
いいなぁ忍法!
私は昔、ものすごーく忍者に憧れていたんですよ(笑)
これはとても面白そうですね。
山田風太郎は読んだことないんですが(有名なのに)今度挑戦してみます。

Re: 道楽猫様☆ * by 惺
こんにちは~!

> いいなぁ忍法!
> 私は昔、ものすごーく忍者に憧れていたんですよ(笑)
マジですか? 実は自分もそうです…で、未だに引きずってます。
読む時代モノも忍者モノしか読まないし……e-263

お好みあるかと思いますが、山田風太郎面白いですよ~。
ロミジュリ「甲賀忍法帖」と爽やか「江戸忍法帖」が個人的に好み&おススメです!!

ぎゃあ * by 道楽猫
タイトルと名前が逆だった(恥)
しっ失礼しました~~

Re:道楽猫 様☆ * by 惺
こんばんは♪
大丈夫ですよ~i-176
気にしないでくださ~い!!

どうもはじめまして。 * by 流浪牙-Sasurai@Kiba-
何ともすさまじそうな作品ですね……機会があれば是非読んでみたいですし、あとは出来る事なら
こういうテイストの作品に定評のある石川賢先生の御存命中に是非、漫画化して戴きたかったですね――と。

Re: 流浪牙様 * by 惺
はじめまして!
山田風太郎氏の作品はどれもすさまじくて楽しくてホロッとさせられる物が多くておススメです!
この作品も良いですが、自分的推し作品は「甲賀忍法帖」です。
アニメにも実写映画化もされた有名作品ですが、ぜひオリジナルの小説で読んでいただきたいです。

なんて(笑)
石川賢氏…存じあげなくて調べたら、永井豪氏のアシスタント?されていた方なのですね。
忍者モノも描かれているそうで…この作品にとても似合いそうなので、見てみたいです!

ご訪問とコメントありがとうございました!

個別記事の管理2010-08-06 (Fri)

ご訪問ありがとうございます☆

        TS3R00900001.jpg 銀河忍法帖 (角川文庫)
 
 久しぶりに時代モノ。好きな山田風太郎作品です。以下BOOKデータベースよりあらすじ。

徳川幕府を支える稀代の天才・大久保長安。サイエンスを駆使し、女精酒を飲み、佐渡金山開発に力を注ぐ。そんな彼の前に現れた無頼者・六文銭の鉄。長安麾下の伊賀者と愛妾を次々に佐渡の地で殺していく、鉄の正体は。そして狙いは。

 あらすじ、これだけではこの作品の魅力を伝えきれてません……。山田忍法帖の中ではかなりマイナー中のマイナー作品だと思うのですが、自分にとっては5本の指に入るくらいの贔屓作品です。
 アマゾンに画像も無いくらいだから、そのマイナーぶりも知れるというもの。ちなみに、この画像は自分所有の大昔のモノです。

 メインキャラクターは(徳川政権のブレーンだったんですか? イマイチ詳しくなくてスミマセン)大久保長安と謎の無頼漢「六文銭の鉄」。舞台は金山として名高かった新潟県は佐渡。
 敵役はその科学的知識豊富の長安と、最先端の武器を操る彼の5人の妾たちと伊賀忍者。それに対する六文銭の鉄は飄々としながらも恐るべき体力と技を持って、たった独り長安一味に立ち向かう。そこに大阪方の女忍者・朱鷺も絡んで壮絶なバトルが展開されてゆく……というのは、山田忍法帖ではある意味お決まりのパターンであります。

 ただ、この忍法帖シリーズがいわゆるマンネリ・ワンパターンに陥らないのが、キャラクター造形の妙だと思うんです。
 今回もこの怪しげな人物「六文銭の鉄」のあっけらかんとしながらも、ケンカが強く隙が無い。朱鷺に一目ボレして、いわゆる色で釣られて彼女の用心棒に成り下がってしまうが、愛する彼女を全力で守ろうとする一途さが、なんとも魅力的。
 その朱鷺も最初は自分の任務のために彼を利用しようとするが、その一途さ天衣無縫さに次第に心惹かれていってしまい、自ら戸惑いを隠せない。
 そんな2人の微妙な関係を時として微笑ましく、またある時はハラハラさせながら描写し、最後まで読ませてしまう作者の手腕にはいつもながら脱帽です。

「──正体を知られれば、討ち果たさねばならぬ宿縁、討ち果たさずにはおけぬ女と交わるわけにはゆかぬ。そう思わせたほど──わしの恋したただ一人の女であったが、ああ、天命!」
 ラスト、謎の無頼漢であったはずの鉄の正体が明かされ、つかの間心通い合った2人に襲いかかる悲劇。
 自分の任務遂行のために朱鷺を欺き、おバカを装っていた鉄の、唯一、真の心情吐露のシーンにまたも涙。

 おそらく多大な資料を基にして創りあげた大久保長安のクレイジーっぷりも素晴らしい描写ですが、山田風太郎、悲恋も極上です。
 MADな大久保長安と陰と陽の二面性を持つ六文銭の鉄。この2人のキャラクターがこの作品の成功のカギだと思ってます。思いっきり個人的に。
 スカッと胸がすくようなバトルにちょっとした(かなりの?)エロティックにユーモア。そして切なくなるような悲恋が読みたいッという方は是非どうぞ。


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コメントありがとうございます。 * by ruru
URLなかったですけどこちらで間違いないですよね?^^;

オススメの山田風太郎面白そうですね。
今度読んでみます!

またお邪魔させていただきます。

Re: コメントありがとうございます。 * by 惺
> ruru様e-420

わざわざありがとうございます。
こちらで間違いないです。めんどくさがりでURLも残したり残さなかったりで……e-263
迷わせてしまってスミマセンでした!

時代モノは好きなんですが、あまり読めていないのです。もっといろいろな作品を読みたいので、ruruさんのレビューを是非参考にさせていただきたいと思います☆
コメントありがとうございました!

個別記事の管理2010-05-31 (Mon)

ご訪問ありがとうございます☆

伊賀忍法帖 (角川文庫)伊賀忍法帖 (角川文庫)
(2003/01)
山田 風太郎

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 5月の締めは好きな山田風太郎で……と思ったんですが、この作品は自分的にう~んイマイチかな。でもやっぱ好きですが。以下文庫見開きより抜粋あらすじ。

主家三好氏の美姫右京太夫を我が物にせんと企む松永弾正は、7人の根来僧に命じ、媚薬を作るために必要な美女を狩り集めさせた。
若き伊賀忍者笛吹城太郎は、最愛の妻篝火を彼等に奪われ、生贄にされた怒りを胸に、敢然と復讐を誓う。



 松永弾正を徹底的な悪役に据え、必要不可欠な小道具は千宗易の茶釜。城太郎を陰ながら助けるのは柳生新左衛門。そして背後にうごめくのは妖しげな幻術師果心居士。ここまで豪華な脇キャラを揃えて面白くないはずはないんです。
 ただ、少~し(かなり?)くどいくらいのエロさ加減・敵方忍者僧の陰惨さにちょっと辟易。お子様は読んじゃいか~んと言いたくなるくらい。

 けれど、そんなゲンナリする背景の中でもさすが山田風太郎、東大寺大仏炎上という史実を巧みに取り入れていて読ませてくれる。そして何より、暗澹たる陰謀と策略の中での、城太郎と非業の死を遂げた妻篝火との愛情、彼女と瓜二つの右京太夫とのプラトニックな恋愛が、闇に輝く星のように煌めき一種の清涼剤となって鮮やかな対比をなし、最後まで魅了してくれる。媚薬という小道具の使い方も気を持たせて巧いし。
 お互い愛してはならない人を愛してしまった城太郎と右京太夫の心情が、なんとも切なくてやるせない。本当に山田風太郎は泣かせるハナシが巧い!
 個人的には右京太夫の最期をもって終幕とすべきだと思うんだけど。その後の果心居士とのやりとりははっきり言って蛇足かな?

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(2006/10/20)
真田広之渡辺典子

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 映画はね~申し訳ないけど駄作(ファンの人ゴメンなさいッ!)
 全盛期の角川映画製作だけど、真田広之出演だけど、やっぱね……オリジナルには敵いません。
 若かりし頃の真田広之を観るだけでも価値はあるかなァ?


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Theme : 時代小説 * Genre : 本・雑誌 * Category : 山田風太郎
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