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個別記事の管理2012-02-28 (Tue)

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ラピスラズリ (ちくま文庫)ラピスラズリ (ちくま文庫)
(2012/01/10)
山尾 悠子

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初めての作家サン。しばらく休筆されていて最近復活されたとのこと。本質が幻想文学ということで興味津々で読了。以下BOOKデータベースより内容。

言葉の海が紡ぎだす、〈冬眠者〉と人形と、春の目覚めの物語。不世出の幻想小説家がふたたび世に問う人形と冬眠者と聖フランチェスコの物語。

銅版
閑日
竈の秋
トビアス
青金石


 かなり独特の作風です。難解と言った方がよいのかも。はっきり言って、すんなりとああ、感動した! という内容ではないのだけれど、精緻な構成・硬質な文体・濃密な描写等々すべてにおいて圧倒されました。
 とある女性が深夜、列車の到着を待つ間の時間潰しに立ち寄った画廊。そこで目にした3葉の銅版画。
 <人形狂いの奥方への使い><冬寝室><使用人の反乱>と題された銅版画に女性はどういうわけか惹かれてゆく。そして遠く子供時代、女性の母親も銅版画を見ていたことを思い出す。そのタイトルは<痘瘡神><冬の花火><幼いラウダーテと姉>──。

 ここまでが本編の導入部といったところ。以下、「閑日」「竈」の秋の2篇続くのだけど、まるでそれぞれの話がリンクするようでそうでない、まったく独立したエピソードなのかといえばそうでない……という不可思議な世界が展開されてゆく。
 
 冬になるとまるで動物のように冬眠するという「冬眠者」と呼ばれる奇妙な一族の物語。塔を備えた屋敷に住み、使用人を多数抱えたその一族。冬が近づき、冬眠用意の顛末を描いているのだけれど、もうその独特な世界観に圧倒される。
 使われていない部屋、ガラスケースに入った無数の古びた人形、屋敷の中を徘徊する幽霊(ゴースト)、突如として発生する痘瘡、襲いかかる地震、燃える大量の枯れ葉……。
 幻想的な素材は完璧。妖しげで幽霊と人間が何の違和感もなく共存している世界。ストーリーはまっすぐに「冬眠」=眠り・死・終わりの世界に向かって疾走してゆき、ある意味閉じた世界ともいえる。ラスト、塔内の喧騒をよそに庭師のような老人と荷担ぎの2人の語りも暗示的でミステリアス。

 「トビアス」は一転して和テイストの物語。しかし、前章と同様にストーリーの世界観は暗く、閉じている。
 登場する少女はとある廃市に住んでいるが、ふとしたきっかけで母親と共にそこから逃げ出すこととなる。少女は冬眠するがごとく深い眠りに陥ってしまうけれど、目覚めた時には母親の姿は既にない。やはり死と喪失の影がちらちらと見え隠れしている。

 「青金石」。タイトルでもあるラピスラズリの日本語名。聖フランチェスコをメインキャラにした、こちらは眩いほどの「生」の物語。ラスト数行の光輝くような描写が白眉。
 それまでの「死」モチーフから真逆の「生」をテーマにした作者の巧みな構成に唸った。
 途中挫折しそうになるけれど、最後まで読んでみてこの小説は実は救いと再生の話なのだなと実感。作者の鮮やかなテクニックに脱帽です。


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Theme : 今日の一冊 * Genre : 本・雑誌 * Category : 山尾悠子
* Comment : (2) * Trackback : (0) |

* by 瀬川レナ
この作家さん、私もこの間図書館で見つけて、読もうと思っていたところで。すごい偶然・・・!
惺さんのレビューを読んで、ますます楽しみになってきました(^-^)

「マンガのあなた SFのわたし」も、千塚氏との対談まであるなんて是非読みたいです(>_<)

Re: 瀬川レナ様☆ * by 惺
こんばんは!
気になる作家サンですよね~(>_<)
自分は新聞の書評かなにかで知って一目ボレ。
ジャケ画もとっても素敵で一気読みしてしまいました。
他の作品もとーっても面白そうですよ~。
ちょっと独特で難解かな…だけど、雰囲気はバッチリです!

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