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個別記事の管理2013-06-15 (Sat)
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泥棒日記 (新潮文庫)泥棒日記 (新潮文庫)
(1968/10/02)
ジャン ジュネ

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 やっと読了できた! これはある意味ジュネの虚構を織り交ぜた自伝的小説だったのね。以下BOOKデータベースより内容。

言語の力によって現実世界の価値をことごとく転倒させ、幻想と夢魔のイメージで描き出される壮麗な倒錯の世界。
――裏切り、盗み、乞食、男色。父なし子として生れ、母にも捨てられ、泥棒をしながらヨーロッパ各地を放浪し、前半生のほとんどを牢獄におくったジュネ。終身禁固となるところをサルトルらの運動によって特赦を受けた怪物作家の、もっとも自伝的な色彩の濃い代表作。


 圧巻でした。作品の隅々まで行きわたる悪徳と背徳。これはもう一種独特の世界観を創り上げていて完璧。
 生まれおちた時から母親に捨てられ父親はどこの誰とも知れない。完全に「負」の烙印を押された人生の始まりはやはり成長後も社会の底辺を生き続けるのみ。
 ティーンエイジャーで盗みを働いたことから堕落の道へと転落していくジュネなのだけれど、そこには落胆や悲しみなどは毛頭なく。あるのは強烈な矜持と、同じく底辺に生きる者たちへの激しい愛情。
 悲劇的な出生ゆえに犯罪に身をやつし、そこから同性愛に目覚めてゆくのが、彼にとってとても自然な流れに思えて。ある意味運命だったのだとしか言えないようにも思えてしまう。
 そのジュネが作家として成功するまで、泥棒として生きた半生を虚構を織り交ぜながらも赤裸々に語られている(であろう)本書はかなり興味深くもあり、刺激的。
 ジュネが出会う様々な人物たち。犯罪者・同性愛者・ホームレス等々、当時の社会の底辺に生きる人物たちが活写されているのと、彼等に注ぐジュネの暖かい視線と愛情が読んでいて強烈に感じられる。

 ジュネにとってかなり影響を及ぼしたであろうスティリターノ。心から尊敬の念と愛情を捧げながらも報われることはなく。恋愛関係に結びつくことなく、あくまでも友情として終わってしまった一種の悲恋に切なくなったり。
 その生涯において出会った数多の同性愛者達との愛憎劇の描写はとても繊細で辛く悲しい。心を寄せあいながらも、常に心は孤独で何処にいても異邦人として自己を意識してしまう寂寥感が全編に漂っていて、この作品が一種格調高く感じられるのもそのせいなのかなとも思ってしまう。

 稀有な人生を歩んできたジュネという作家の壮大な心の遍歴を描いた作品、という印象を強烈に受けた。
 ジュネが作中で裏切り・盗み・同性愛が彼にとっての最高の徳であると公言しているように、書かれている世界は汚辱と犯罪と背徳に塗れているけれど、どういうわけか崇高さを感じてしまうのは何故だろう? それはジュネが自分の生きざま・信条に対して確固たる自信を持っている故なのか。
 真実と虚構がうまいぐあいにコラボした名作品だと。かなり読者を選ぶと思うけれどね。

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Theme : 最近読んだ本 * Genre : 本・雑誌 * Category : ジャン・ジュネ
* Comment : (2) * Trackback : (0) |

これは名作! * by ゆき
私もこの作品前に読んでるんですけど、ジュネってどこまでも自分を蔑んでいるのに、それを尊厳として持っている気がします。
だから背徳の世界に身を貶めながらも、その行き方が崇高にすら見えてしまうのではないかな?

私は真の名作は読者を選ぶと思ってます。
万人受けする作品を否定はしませんけどね。
面白い作品多いですし。

Re: ゆき様☆ * by 惺
こんばんは!
ホントですよね。
ジュネは自分に対して確固たるプライドを持っているのだなあと、作品を読むたび思います。
自分と同じ境遇の人間に対しての慈愛に満ちた視線とか想いとかをひしひしと感じますしね。

>私は真の名作は読者を選ぶと思ってます。
>万人受けする作品を否定はしませんけどね。
>面白い作品多いですし。

あ、確かに!激しく同意です。
個人的には一般受けしない作品が大好きなんですよねーw
ていうかそっちじゃないとダメっていう…。

個別記事の管理2012-03-08 (Thu)

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花のノートルダム (光文社古典新訳文庫)花のノートルダム (光文社古典新訳文庫)
(2010/10/13)
ジャン ジュネ

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 初ジャン・ジュネ。中山可穂の作品に登場していたので、同性愛をテーマにした作家なのだろうなあ……と予想はしていましたが。殆ど予備知識なく読了。素敵なタイトルに惹かれましたが……もうかなり衝撃的でした。以下BOOKデータベースより内容。

泥棒で同性愛者だった青年ジュネは、獄中で書いたこの処女作で20世紀最大の“怪物”作家となった。
自由奔放な創作方法、超絶技巧の比喩を駆使して都市の最底辺をさまよう犯罪者や同性愛者を徹底的に描写し、卑劣を崇高に、悪を聖性に変えた、文学史上最も過激な小説。

 読みながら、これはR-18指定にしなくて良いのだろうか……と思うことしばしば。かなり表現があからさまで刺激的。だけど中条省平氏の訳はとても過激でありながらワイルドで読みやすい。固有名詞などそのものズバリ登場したりしてあ然呆然の連続だった。
 語り手は一人称がジャンという、作者の名と同じ人物。なのでかなり自身を投影しているとみたので、これは一種の自伝的小説なのかなと。しかし、そうでもないらしい表現もあるので読者を幻惑させる。それも作者の構成のねらいなのだとしたら、かなり狙った緻密な構成なのかと。

 登場するのはすべて同性愛者ばかり。そのうちのメインキャラクターは女装する男娼・ディヴィーヌ。ほとんどヒロインと言ってもよいほどの心まで女性となっている、繊細で心優しい人物。そしてその情夫となるイケメン・ミニョン。そしてその彼が拾ってきた、今作のタイトルロールでもある源氏名「花のノートルダム」という美少年。
 つまりはこの3人の愛憎劇、途中からミニョンは警察に捕まりストーリー上からは姿を消してしまうので、実質的にはディヴィーヌと「花のノートルダム」との物語となっている。

 1940年代。おそらく作者が若き頃のフランスを舞台にした、社会の底辺で生きる若者達を赤裸々に描いた一種の風俗小説なのだと、個人的に理解。その描写は時に俗悪であり猥褻であり、嫌悪感を抱きそうになるほど。同性愛者達の生活を詳細に描写し、犯罪を重ね身を売り、裏切り裏切られ、刹那的に生きる彼等の青春(というには綺麗すぎるけど)が痛々しいまでに鮮烈。
 そんな俗社会に身を置き、男娼として生きながらもその精神はあくまで純粋で慈悲深いディヴィーヌの存在がひと際輝きを放っている。どんなに他人に蔑まれ裏切られながらもプライドを捨てることは無いその姿は、一種の崇高さを感じさせる。

 対して登場シーンから殺人者として華麗な印象を抱かせる「花のノートルダム」。この作品において同性愛者達は自ら決して本名を名乗ることはない。美少年「花のノートルダム」もそうなのだけれど、その個性はインパクトありすぎ。殺人・万引き・コカインの密売等悪事に手を染め、結局は警察に捕まり斬首刑に処せられる。
 短くもそのあまりにも強烈で鋭い生き方と、息を飲むような美しさの描写には圧倒された。一種の「悪の美学」なのだろうか、ピカレスクロマン(悪漢小説)と言っても良いくらいだと。

 巻末の解説にあったのだが、これはヒロイン・ディヴィーヌの成長物語でもあり、そのディヴィーヌと「花のノートルダム」との複雑な恋愛小説でもあるとのこと。そしてさらに、作者ジュネがこの「花のノートルダム」という小説をどう書いたかを語る「メタ小説」として読むこともできるという説に思わず納得。
 で、作中個人的に一番感動したのが、意外にも法廷劇となった「花のノートルダム」ことアドリアン・バイヨンの裁判シーン。
 殺人罪を問われている彼の裁判に証人として次々に同性愛仲間が証言台に立つ。公的な場での彼等は普段の虚飾をはぎ取られ別人のように委縮してしまった中、たった独りディヴィーヌだけは、堂々と立派にアドリアンにとって有利な証言をしてゆく。その精神的強さと成長に思わず涙腺崩壊。

 下品・低俗・猥雑な描写と崇高・静謐・技巧的な描写が混然一体となった独特の文体。俗と聖が混沌としながらも、心の深奥から湧きあがってくる静かな感動。
 受け付けない人はまったく駄目、耐性のある人にはとんでもない奇書であり、感動作。だからこそ、この時代まで読み継がれてきた作品なのだと思うと感慨深い。

 ……と、ここまで書いてみてやたら文章が固いなあ……と気がついた(笑)。多少影響されたかな。それほど自分的に衝撃作でした! 今度は「泥棒日記」に挑戦してみたいゾと。 


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Theme : ボーイズラブ * Genre : 本・雑誌 * Category : ジャン・ジュネ
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ジュネを読破できるヒトには尊敬するばかり * by nao
凄い!・・読了(読破!)されましたか。
若い頃、新潮文庫版のものを読もうと挑戦しましたが、
かなり前半の部分で挫折したという、苦い経験があります。
(その時読もうとしたのは「泥棒日記」の方であったかな?)。
光文社の新訳版は、少しは読みやすそうですな。
けれど今となっては集中力がなぁ・・読破できるかはビミョーな感じ。

Re: nao 様☆ * by 惺
おはようございます。
おひさしぶりです!
ジュネってこんなに読みにくい作家だったんですね。
きっと知らなかったから読めたのだと思います。
ちょっと舞城王太郎っぽいな~って読みながら思ってました。←全然違うけど(笑)
今作は訳が良かったのかわりと読みやすかったです。
…といっても他を知らないので何とも言えないのですが…。
自分的にはとても楽しめた作品でした!

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