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個別記事の管理2013-06-30 (Sun)
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ピカルディの薔薇 (ちくま文庫)ピカルディの薔薇 (ちくま文庫)
(2012/07/10)
津原 泰水

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 蘆屋家の崩壊に始まる「幽明志怪」シリーズ3部作の最終巻。第2シリーズの「猫ノ眼時計」を飛ばして読んでしまいました…が、特に支障は無く。以下BOOKデータベースより内容。

作家として歩み始めたものの、相も変わらず貧困と怪異から手招かれてばかりの「おれ」こと猿渡。これは酔夢か現か。
五感を失った人形師、聖女の伝説に彩られた島、弾く者を過去へと誘うウクレレの音色、彼の祖父が目にした満洲―。
ユーモラスかつ哀切に満ちた文章が織り成す、幻想と怪奇。「文体の魔術師」津原泰水の超人気シリーズ、書下ろし短篇を加え待望の初文庫化。


夕化粧
ピカルディの薔薇
超鼠記
フルーツ白玉
籠中花
夢三十夜
甘い風
枯れ蟷螂
新京異聞

 お気に入り作家・津原氏の久しぶりの幻想譚。前に読んだ「蘆屋家の崩壊」から約1年位経ってしまったので内容忘れかけていて。
 そうだそうだ、猿渡と伯爵のコンビが様々な怪奇や不可解な事象に出会う話だった…と読んでいて思い出した。
 「蘆屋家の崩壊」ではこのコンビが行動を共にしていたのだけれど、今作はほとんど絡みなし、と言ってもいいくらい猿渡視点が多かったような気がする。どちらかというと傍観者的な立場、俯瞰しているような立場で話が進んでいく─といった印象だった。印象に残った作品をいくつか。

ピカルディの薔薇
 五感が麻痺したミステリアスな青年人形師。猿渡が体験する彼との不思議な関わり。自分はてっきりこの青年人形師が人形の化身だと思っていたのだけれど。耽美と幻想という言葉がぴったりの独特な1作。
超鼠記
 超鼠=スーパーラットの意味だと。
 こちらの話も猿渡氏が登場。住むところも無く、知り合いの編集者が所有するビルに寝泊まりすることとなった彼が遭遇する不可解な体験。
 大量に発生した鼠を駆除するために罠を仕掛けたが、かかったのはひとりの少女。言葉も話せず不潔極まりない彼女が実は─。
 オチが早々にわかってしまうのだけれど、津原氏の語り口は謎めいてさすがの巧さ。
夢三十夜
 とある独りの美少年が見る不思議な夢の数々。その彼に複雑な想いを寄せる双子の妹。兄の恋人。この3人が織りなすこれまた幻想譚。兄の見る夢自体が怪異でありながら耽美で白眉。猿渡も微妙に絡むラストに不思議な余韻が残る。
新京異聞
 満洲を舞台に異国情緒満点のこれまた幻想譚。中国の聊斎志異をモチーフにし、猿渡の祖父を主人公に据えた歴史物としても読める。

 安定した語り口が素晴らしく、時にグロテスクで時に耽美とエロティックが混ざり合った独特の世界観。特に「食」に関する薀蓄(特にゲテモノ)が気持ち悪いけれど巧くてなぜか読んでしまうというね。
 さらに、巻末の津原氏による「跋」が面白い。作品誕生秘話的な内容で、これはハズせない。
 自分を含め、好きな人には堪らない作風とテーマ。2作目を飛ばしてしまったので、近いうちにぜひとも挑戦してみたい。

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個別記事の管理2012-11-16 (Fri)
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爛漫たる爛漫: クロニクル・アラウンド・ザ・クロック (新潮文庫)爛漫たる爛漫: クロニクル・アラウンド・ザ・クロック (新潮文庫)
(2012/11/01)
津原 泰水

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 自分的イチ推しの作家・津原泰水氏の文庫書き下ろし新作とか。本屋でみつけて即買い!以下BOOKデータベースより内容。

熱烈な支持を受けてきた“爛漫”のボーカル、新渡戸利夫が急逝した。音楽ライターの娘にして絶対音感を有する不登校児、向田くれないが、その死にまつわる謎を追いはじめる。
くれないを導くのは、利夫の兄鋭夫、そして彼女が父と信じるギタリスト岩倉理。人気ロックバンドに襲いかかった嵐、それに翻弄される青春の惑いを描いて、著者の少女小説時代をも甦らせた、全く新しい音楽小説。


 面白かった! 薄くてサクサク読めるのもまたよろし!で。
 津原氏って少女小説出身だというのは知っていましたが(作品は未読なのだ)、今作はその原点回帰とのことらしい。
 ロックバンド「爛漫」のボーカリストが変死を遂げその謎を追いかける──というまあ、ある意味ありがちな設定のミステリーなのだけれど、津原マジックにかかると俄然面白くなるのがこれまたさすがの巧さ。
 探偵役は向田くれない。十七歳の不登校の少女。で、クラシック畑で育った絶対音感を持つ。という設定に参った!
 ロックと対極にあるクラシックをぶつけてくるあたり、巧いなあと。そのくれないの持つ絶対音感が犯人逮捕のきっかけとなる設定も目からウロコだった。くれないが無邪気な明るい女子高生でなく、少し屈折したキャラ設定であるのもちょっと好感持てたし。

 カリスマ的ボーカリスト新渡戸利夫をめぐる殺人とその人間ドラマ。利夫の双子の兄鋭夫をワトソン役としてなかなかの名コンビぶりかと。さらにくれないの母親であるライターむらさきもこれまた良いキャラで。で、伝説的なギタリストであり、くれないの父親疑惑のある岩倉理との関係もこれからどうなるか楽しみなところ。
 (…と、自分的大満足な話だったのだが、ボカロやV系バンドが流行る昨今の音楽シーン、この「爛漫」のようなロックバンドってちょっとレトロすぎ…と思ってしまったのは内緒 笑)

 三部作予定とのことなので期待値大。「バレエ・メカニック」「綺譚集」「蘆屋家の崩壊」等々を黒津原とするなら、こちらは白津原とでも名付けたいくらい。津原作品入門編としてぜひおススメしたいものだ!


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* by ひいち
こんにちはー☆

そうなんだ。少女小説出身だったのですね~。
惺さんのレビューを見て「バレエ・メカニック」から入ったので、「ルピナス探偵団」シリーズとかを読んで、
こんなのも書くのね~。なんて思っていたのだけれど、そっかそっか♪
黒津原さんの方が結構好きな私(笑)

Re: ひいち様☆ * by 惺
こんばんは☆
自分も意外でした!少女小説書いていたとは思えないですよね。
「ルピナス探偵団」シリーズって面白そう。知らなかったなあ。チェックチェック♪
「黒津原」好き? えへへ…自分も!

個別記事の管理2012-07-31 (Tue)

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蘆屋家の崩壊蘆屋家の崩壊
(1999/06/25)
津原 泰水

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 最近お気に入りの作家サン。
 自分が読んだのは初版だったみたいで、最近文庫で新版がでたとのこと。収録作品も若干違うようで……うーん、新版を読めば良かった……と後悔しても仕方ない。ということで、以下BOOKデータベースより内容。

「猿渡」と「伯爵」のコンビが飄々として行くところ、日常世界は薄暮の幻想地獄に変貌する。鬼才津原泰水、注目の処女短篇集。怪奇と幻想の「幽明志怪」シリーズ・書き下ろし新作を含む七編を収録。

反曲隧道
蘆屋家の崩壊
猫背の女
カルキノス
ケルベロス
埋葬虫
水牛群


 かなり個性的な作風で好き嫌いが分かれると思うんですが、自分は好きですねえ…。
 共通する登場人物は伯爵というあだな怪奇小説家と30代でありながら停職にもつかずフラフラしている(いわゆるニート?)猿渡。この二人が遭遇する怪奇&ミステリアスな事件の数々の連作短篇集。どちらかというとホラー系かな。中でも自分的に面白かった作品をいくつか。
反曲隧道
 「豆腐好き」という共通点からお互い親近感を抱く、伯爵と猿渡の最初の出逢いと事件?
 事故車を友人から買い取った猿渡が遭遇する思わぬ恐怖と真実。
蘆屋家の崩壊
 阿倍晴明のライバルであった陰陽博士・蘆屋道満の伝説に基づく怪異譚。
 道満の子孫である、とある美女と関わりをもった猿渡と伯爵が体験する、蘆屋家と蘆屋一族の謎。
 土着的な雰囲気がなんだか横溝正史っぽい。
 ポーの「アッシャー家の崩壊」がモチーフ?
猫背の女
 これは怖い。得体の知れない怖さというか。
 ふとしたきっかけでとある女子と一回だけ映画を観て以来、ストーカーされることとなった猿渡の恐怖。
 名前も定かではなく、記憶にあるのは猫背であるというその女子の印象。その女子は本当に存在したのかそうでないのか? 現実とも猿渡の思い込みとも思えるちょっとしたホラー。
埋葬虫
 これは気色悪さでいったら一番の作品かも。
 食虫譚でもあり、虫に取りつかれた男の恐怖かなと。
 ここでも猿渡クンはいろいろと受難?というか災難というか、いろいろとパシリになって奮闘してます。
水牛群
 猿渡と伯爵の強い友情が垣間見れる一篇。
 端的に言うと神経症に罹った猿渡を伯爵が治そうとする話。
 猿渡の妄想なのか夢なのか。現実と幻想が混濁した作品。

 自分的に幻想作品を多く書く作家さん。というイメージが強かったのだけど、今作はほとんどホラー系作品。気持ち悪過ぎて巧いなあ…と思いながら、巻末の作者による跋(あとがき)を読むとご本人はとっても苦労して書いた作品群なのだとわかる。伯爵と猿渡を豆腐好きという設定にしたのはいいけれど、自分も無理やり食べまくったとか、「埋葬虫」ででてくる食虫のエピソードがあまりにも詳細すぎて、よもや作者はこういう嗜好が…(汗)と思わせるほどすごいのに、自分はそんな嗜好はあまりない、とか。
 ここの作品の裏話が読めて楽しめること請け合いです。
 この伯爵と猿渡コンビのシリーズはまだあるらしいので、引き続き読んでみたいゾと。
 

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個別記事の管理2012-04-27 (Fri)

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綺譚集綺譚集
(2004/08/05)
津原 泰水

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 「バレエ・メカニック」で俄然お気に入り作家となった津原泰水。他の作品も読んでみたくて評価の高いこちらの作品を読了。以下BOOKデータベースより内容。

天使へと解体される少女に、独白する書家の屍に、絵画を写す園に溺れゆく男たちに垣間見える風景への畏怖、至上の美。生者と死者、残酷と無垢、喪失と郷愁、日常と異界が瞬時に入れ替わる。―綺の字は優美なさま、巧みな言葉を指し、譚の字は語られし物を意味する。本書収録の十五篇は、小説技巧を極限まで磨き上げた孤高の職人による、まさに綺譚であり、小説の精髄である。

天使解体
サイレン
夜のジャミラ
赤假面傳
玄い森の底から
アクアポリス
脛骨
聖戦の記録
黄昏抜歯
約束
安珠の水
アルバトロス
古傷と太陽
ドービニィの庭で
隣のマキノさん


 圧倒的な筆力とバラエティに富んだ素材・切り口に個人的に感動しっぱなしの15作でした。
 おそらく幻想・耽美小説にカテゴライズされるのかなあ。かなりグロテスクな作品もあったりしたかと思うと、日常の断片を切り取ったような作品もあったりして。自由自在に代わる文体と作風。ただただ素晴らしいなあ……とため息モノ。印象に残った作品をいくつか。

天使解体
 惹かれるタイトルとは裏腹にかなりグロテスク。車で轢いてしまった少女の死体を天使に見立てて損壊してゆく話。男子二人の狂気が凄まじい。
夜のジャミラ
 どちらかというとホラー譚。自殺した少年が語り手。学校に巣くう救われない魂の少年少女たちが繰り広げる恐ろしい世界。語りが可愛らしいだけに逆にゾッとすること請け合い。
黄昏抜歯
 親知らずの痛みにを通してとある女子の心象風景を。彼との行き詰った関係と鬱屈した真理。ラストに垣間見る心の明るさが救い。まったりとしたテンポが心地よい。
約束
 死んだ少年の霊が愛した少女の生涯を見守る話。切なく哀しく美しい。
アルバトロス
 とある国の戦時を背景に背徳・禁断の愛情を淡々と描写した作品。過激なシーンの連続なのに少しもくどくなく流麗。抑圧され切羽詰まった状況下の歪んだ愛情が哀れを誘った。

 他にもまだまだあるんですが、かき切れない~(>_<) 
 時に精緻で気品を感じさせる文体であったり、まるで舞城王太郎のような句読点がほとんどなくクセのある文体であったり、日常のまったりとした文体であったりと、技巧・技術の限りを尽くした作品の数々。もちろん飽きることなくページをめくる手がとまらなかった。
 生と死・日常と非日常が自然に絡み濃厚なエロティックさも感じさせながら展開する作品群。男性作家でありながらこの濃くて繊細なテーマと描写は素晴らしいなと。少しだけ皆川博子を彷彿とさせる感も。しばらくぶりに全作読破したくなると思った作家でした。ジャケ画も素敵すぎです!


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* by ひいち
こんにちはー☆

前回紹介されていた、「バレエ・メカニック」も興味シンシンでしたが、こちらも良さそうですねー☆☆
装丁も好み(^-^)

Re: ひいち様☆ * by 惺
こんにちは!
おかえりなさいませ☆
ホントに装丁きれいすぎで…(>_<)
個人的に好きな作風なのでものすごーく楽しめました!
ちょっと(かなり?)個性的な作家サンなんだけどね…フフ

個別記事の管理2012-03-31 (Sat)

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バレエ・メカニック (ハヤカワ文庫JA)バレエ・メカニック (ハヤカワ文庫JA)
(2012/01/25)
津原 泰水

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 四谷シモン氏のジャケットといい、内容といい、かなり期待していた作品。以下BOOKデータベースより内容。

造形家である木根原の娘・理沙は、九年前に海辺で溺れてから深昏睡状態にある。
「五番めは?」彼を追いかけてくる幻聴と、モーツァルトの楽曲。
高速道路でありえない津波に遭遇し、各所で七本肢の巨大蜘蛛が目撃されているとも知る。
担当医師の龍神は、理沙の夢想が東京に〈砂嵐〉を巻き起こしていると語るが・・・・・・。
『綺譚集』『11』の稀代の幻視者が、あまりにも精緻に構築した機械仕掛けの幻想、全3章。


第一章 バレエ・メカニック
第二章 貝殻と僧侶
第三章 午前の幽霊


 最初は耽美・幻想小説の類かと思っていた。しかし、帯の惹句や書評によると実はSFにカテゴライズされ、しかもサイバーパンクであるとのこと。さらにかなり難解であるとも。
 なのでとても手こずる作品なのだな、と理解して心して挑みました。
 が、予想に反してとても読みやすかった。解説に冒頭、特に第一章は完全なるシュルレアリスム(超現実・不条理な世界、事物のありえない組み合わせなどを写実的書いたもの)であるとしてるが、まさにその通りだなと。

 第一章のメインキャラは造形家・木根原。娘である理沙は9年前から大脳を損傷して昏睡状態にある。
 その木根原がある日突然あり得ない津波に遭い、さらに東京中が奇怪な物体なよる襲撃に晒される。それらの現象は実は大脳を損傷している理沙の脳内で繰り広げられている「夢」=「理沙パニック」であり、東京自体が彼女の「脳」となる……というまさに「超現実」の世界が展開し、父である木根原はなんとかして娘・理沙に会おうとする。
 その手助けをするのが、もう一人のメインキャラである理沙の主治医・脳外科医である龍神。
 彼も溺愛していた自分の分身ともいえる姉・金糸雀を少年時代に亡くして以来、彼女を追い求め思慕を募らせているという複雑な人物設定。その2人が幻のような存在である理沙を追い求めてゆく──というのがメインストーリー。

 あり得ない現実とリアルな現実が巧妙に入り混じり混沌とし、見事なコラボで読んでいて幻惑させられてしまう。
 第二章は主に龍神の生い立ちが語られるのだけれど、彼と姉・義兄との淡く禁断の関係などは耽美小説を彷彿とさせる。そして一転して行方の知れない理沙の手掛かりを求めて木根原と龍神が奔走する後半ではまるでミステリー&サスペンス的な面白さ。父が最愛の娘の手掛かりを知る第二章ラスト部分では思わず感動で目頭が熱くなる。
 次々と登場するキャラたちはそれぞれ魅力的でありミステリアス。特に魅力的なのが少年たち。木根原と関係する謎多き少年・トキオに少年時代の龍神。憂いていながらも強靭な信念を抱き、けれどそれぞれが母に姉に深い思慕の情を抱いている。そんな複雑な魅力を醸しだしている少年達を男性作家が描いていることに少しばかり驚いた。いや、男性作家だからこそ描けるのか? けれど反対に女性キャラが少しばかり薄い感が否めなかったけれど。

 そして驚愕の第三章。これぞこの小説の真骨頂というべきか。まさにSF、しかもサイバーパンクなのだ。自分的には一番難解だった部分。
 設定としては「理沙パニック」から40年後。理体(軀)とヴィラージュ(意識)を別個に切り離せるエレクトロキャップが使用されている世界。「理沙パニック以後」という言葉が出来るくらいに、理沙の存在は「不死」の象徴としてある意味神聖化されている。そんな世界にヴィラージュ・ドードーとして生きる龍神とヴィラージュ・エディスとして生きるトキオがメインとして活躍し、龍神に雇われたトキオに命じられたのは、なんと理沙の殺害。
 エレクトロキャップというガジェットを効果的に使用して自在にヴィラージュ(意識)を飛ばす2人の描写が圧巻。

 白眉なのが、各章のラスト数行。謎と共に次章への関連を思わせ、そして強烈なノスタルジーを感じさせる。
 耽美・幻想・禁断・不条理そしてSF。全てがぎっしりと詰まっていながらまったく破綻していない。そしてなによりこの作品の根底に流れているのは、物悲しさと愛情なのかなと。
 姉であり母であり娘である、最愛の人を失った哀しさが痛烈に行間から溢れてくるのが、この作品を無機質なSFにとどまらず、哀切に満ちた稀有なものとしているのだと思った。この作者の他の作品も是非読んでみたい。個人的に名作。


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