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個別記事の管理2012-04-10 (Tue)

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シメールシメール
(2000/05)
服部 まゆみ

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 初・服部まゆみ。PCのメモに読んでみたい本とあったので挑戦。以下MARCデータベースより内容。

新進気鋭の評論家・片桐は、満開の桜の樹の下で「精霊」に出会う。
幻を手に入れたいと希う一念生み出す、果てしのない迷宮と底知れぬ闇。それはまた、人の心という闇の…。
幻が実在となるゴシック・ロマン。

 面白かったです! 読了後の感想としては和製「ロリータ」×「ベニスに死す」かなと。「ロリータ」をかなり薄めた作品ともいえるような。
 貧しくとも親子共に暮らす美少年・翔の一家。彼の家庭は過去に双子の兄と祖母を火災で亡くすという悲しい過去を負っている。その翔少年は兄を溺愛していた母を想い、火災以降ずっと兄・聖として生きている健気な少年。時に聖となり、時に自身である翔となる……精神的に少し病んでいるとも思われる彼。そしてそのあやうげな翔に心奪われてしまうのが、彼の両親と学生時代に同級だったという社会的にも地位のある片桐。
 美少年・翔を欲して一家に接近し、ついには自宅の半分を間貸ししてしまう。片桐の介入によって一気に加速してゆく家族崩壊。

 片桐の翔に対する愛情は、当初は穏やかで寛容的。しかし、ラストになるにつれ庇護の対象としての翔をなんとかその掌中におさめたいという欲望は加速してとどまるところを知らない。翔の両親の不慮の死を心密かに喜び、彼に対して行うストーカー的行動・盗撮はエスカレートしてゆく。善人から狂気をはらんだ人物へ──じわじわと獲物を捕獲しようとする片桐の描写は穏やかであるために、却って恐ろしく感じてしまう。

 ストーリー展開も片桐視点・翔視点と交互に転換し、その心理の推移もまた面白い。母親に対する愛情ゆえの兄弟逆転という歪み、入れ替わり登場し惑わされる一人二役の兄と弟、抑圧された翔の心理、少年を愛する片桐の苦悩と狂気──等々、耽美・愛憎・幻想小説を彷彿とさせる不思議な世界観。
 シメール=キメラ=幻想・妄想ということで。一人の少年に惑わされた男の脳内で繰り広げられた悲しい独りよがりの妄想だったのかとも思わせる。
 その中において、家族想いで優しく聡明な翔少年の肉体的・精神的な美しさがなにより際立ち印象的だった。


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