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個別記事の管理2012-05-19 (Sat)

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檸檬 (新潮文庫)檸檬 (新潮文庫)
(2003/10)
梶井 基次郎

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 初・梶井基次郎。もともと万城目学の「ホルモー六景」に収録されていた「もっちゃん」で一度読んでみたいなあ……と思っていた作家サン。(ちなみに、「もっちゃん」は梶井基次郎をモデルにしたとても素敵な短篇なのだ) 以下BOOKデータベースより内容紹介。

肺を病み、憂鬱に心を潰されそうになりながら京都 の街を彷徨っていた私は、果物屋で目に留まったレモンを買う。その冷たさと香りに幸福感を感じて ──。
代表作「檸檬」を はじめ、有名なフレーズ、桜の樹の下には屍体が埋まっているで始まる「桜の樹の下には」、月夜の海岸で自分の影に途方もなくリアリティを感じるあまり、自分と影との境界が分からなくなってしまう「Kの昇天」など、著 者独特の世界観と幻想的な美しさが響きあう名短篇を収録。


檸檬
城のある町にて
泥濘
路上
橡の花
過古
雪後
ある心の風景
Kの昇天
冬の日
桜の樹の下には
器楽的幻覚
蒼穹
筧の話
冬の蠅
ある崖上の感情
愛撫
闇の絵巻
交尾
のんきな患者


 充実の作品集でした。実はもっと軽快で爽快な内容を想像していたのだけれど、真逆のものばかりでただただ驚き。読んだ後にウィキで作者を調べて納得。結核に冒されて早世なさったのですね。作風・テーマ共にかなり影響が出ているなあと。

檸檬
 恥ずかしながらコメディタッチの作品かと思ってました。が、実は、作者の病魔に冒された暗澹たる心情の発露的作品なのだなあとしみじみ。
 病気発覚後、健康であった頃に関心あった事柄すべてに興味を失くし鬱々と過ごす日常。そんな中ふと買い求めた檸檬。健康であれば何不自由ない人生を送れたであろうのに、その望みが半分潰えた作者の厭世感と隠された絶望。檸檬を時限爆弾に例えてささやかな鬱憤を晴らす──というオチにクスッと笑いながらも切なく思うのは自分だけではないはず。檸檬って手榴弾にも見えるよね…←どうでもいい。
泥濘
 主人公がひたすらドツボにハマってゆくストーリー。思考と行動の悪循環といえばいいのか。ある意味救いようがないけれど、人生生きていれば誰しも一度ならずこんな状況に陥るだろうな、と感情移入して読んだ。
Kの昇天
 これはまさしく幻想文学的。自分の影に魅入られた一人の男がついには自殺をしてしまうまで。イカルス神話やドッペルゲンゲル等西洋テイストを取り入れた異色作だと思った。作品に漂うのはやはり「死」と「破滅」。
桜の樹の下には
 タイトルも冒頭もインパクトありすぎ。超短編なのだけれど強烈な印象残る作品。「死」と「美」が渾然となってやはり幻想的。
冬の蠅
 自分的にベストな1作。療養中の主人公の部屋に発生する弱り切った冬の蠅を自身に見立て、病身の鬱屈と苛立ちを表現。徐々に迫りくる「死」の予感に怯えながらあがき苦悩する主人公。しかし、運命には抗えず諦念を濃くするラストに複雑な思い。

 読了後はかなりテンション下がります。けれどそれ以上に作者の圧倒的な筆力に感動が絶えない。
 色濃く漂う「死」の恐怖。それもじわじわと沁みてくるような恐れを伴った作品群に非常に心打たれます。迫りくる「死」に抵抗しながらも空しく諦めざるを得ない人間の哀しさ、無念さ、複雑さ、そして優しさがにじみ出るような1冊だった。病魔に襲われていなければ、きっと数々の名作を世に送り出したはずなのにと思うと早世が惜しまれてならない!


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Theme : 考えさせられる本 * Genre : 本・雑誌 * Category : 梶井基次郎
* Comment : (4) * Trackback : (1) |

梶井ちゃん * by Medeski
「つまらないものを書いた」って名言があるらしく、好きなんですよね。自信満々だけど、敢えて隠す的意味合いらしいです。そして、知名度的に代表区「桜の樹の下には」。こちらはリアルに「つまらないもの」だと思っています。梶井基次郎本人も、魂を売って書いたんじゃないかな、と思います。もちろん、人によって解釈は違うと思うんですけど、私は「檸檬」を書いた人が、「桜の樹の下には」を同じ名義で出してしまったところにマジもんの苦悩を見てしまうのです。

Re: Medeski 様☆ * by 惺
こんばんは!

> 「つまらないものを書いた」って名言があるらしく、好きなんですよね。自信満々だけど、敢えて隠す的意味合いらしいです。

「檸檬」のことですよね。
解説にも書いてありました。ある意味謙遜なのかなあ?
意外にも超短篇だったので正直面食らいました。

「桜の樹~」はインパクトは充分だなあと。
どの作品も好き嫌いってありますが、コレは分かれそうな気が。
作者がどんな思いで発表したか、自分はその心情を到底推し測ることはできないけれど、
どっちも稀有な作品だなと単純に思ってしまいました。
何より、安吾の「桜の木の満開の下」と間違えてたし…(笑)

実は自分的には「檸檬」や「桜の樹~」よりも「冬の蠅」が一番好きな作品です。
この作品を知れただけでもこの本読んだ甲斐があったかなフフフ…。
コメントありがとです!

* by 瀬川レナ
昔読もうと頑張ったのですが、まだ子供だったので「城のある町にて」あたりで挫折した記憶が・・・←早い
なのでまたチャレンジしてみようかなーと思いました^-^

「桜の樹の下には」、インパクト強すぎですよねー!
桜関連の文章ということで、国語の授業でこれも読んだのですが、今読んでいるのが坂口安吾の「桜の森の満開の下」で、これも似た雰囲気でとても好きです。
ご存知だったらすみません;

Re: 瀬川レナ様☆ * by 惺
こんばんはー!
いやー、挫折して不思議はないと思う!
自分もいいオトナだから読破できたものの、いや、それでもかなり読むのにエネルギー必要でした。
年を重ねるごとに読んでいくというのも良いですね。
また違った感想や感慨を得ると思います!

「桜の樹の下には」は斬新すぎてもう…いきなりパンチ食らいました!
安吾の「桜の森の満開の下」も読んでみたいのです。面白かったですか?
自分もいずれ挑戦したいなー!

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