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個別記事の管理2012-08-23 (Thu)

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世界幻想文学大系〈第20巻〉カシオペアのΨ (1979年)世界幻想文学大系〈第20巻〉カシオペアのΨ (1979年)
(1979/06)
紀田 順一郎、荒俣 宏 他

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 おや? 書影がないとは…ではではコチラでどうぞ!
 Twitterの国書刊行会の告知で知った作品。好きな作家・津原泰水氏おススメの作品ということで読んでみました。興味津々だったんだよね。以下国書刊行会サイトより内容。

カシオペア座のプサイ星系に属するスター星の驚くべき自然、その歴史・風俗・芸術・宗教。空想的社会主義やユートピア文学に連なり、近代SFの先駆ともなった壮大なスペース・ファンタジー。

 1854年発行されて以来永らく忘れられていたとのこと。あまりにもマイナーすぎる作品だけど個人的には好きだし、かなり貴重な作品でもあるかなと。
 現在の「SF」というジャンルが確立される前の、「未来小説」というジャンルにカテゴライズされていたそうで。相当昔に書かれた、宇宙を舞台にした小説なのだわ、と感心。なのでコ難しい理論などは皆無。どちらかというと、幻想系・文学的な宇宙小説として面白く読めた。
 で、まずものすごく凝った構成にビックリ。本筋の中に戯曲や詩篇が挿入されていて、それが巧くテーマに絡んでいてなるほどなーと。とっても劇的で冒頭から惹き込まれて一気に読んでしまった。

 語り手(これが一体誰なのかは作中ではどうでもいいらしい)がヒマラヤに旅行中に遭遇した隕石の落下。ガイドとして雇っていた現地人はいきなり降ってきたそれが命中して落命。そのガイドに落ちてきたのは隕石かと思いきや、実は謎の匣。語り手が不審に思いながらもその匣をこじ開けてみると、出てきたのは数冊の書物と数部の草稿。語り手は知識を総動員してその書物等の解読に挑み、数年かかって成功する。その書物に書かれていたのはなんととある星にまつわる一大叙事詩だったのだ──。

 その星は地球から遥か離れた距離にあるカシオペア座のΨという星に属している。語り手によって「スター」と名づけられたその星の悠久たる歴史と人類の物語が壮大に描かれてゆくという構成。
 読んでいて、ああこれはまるで聖書だなと。特に旧約聖書の人類創世の部分。アダムとイヴやノアの方舟、モーセのエクソダス(出エジプト記)等々。これらのエピソードがモチーフとなって、疫病と殺戮によってスター星をやむなく出ていかなければならなくなったスター人たちの母星回帰のストーリー。

 今でいう宇宙船のアバールに乗ってスター星を脱出したスター人。永住の地を求めて4つの星々をめぐる描写がまた面白い。それぞれの星の人間・風俗・生活などが詳細に語られ、作者のその奔放な想像力に驚きと共に瞠目。英雄や悪人が登場し、さながら人類の歴史をたどっているよう。スター人はさまざまな星をさすらいながらも、その本能と願いは母性であるスター星に帰還すること。
 何世紀も超えてようやくその望みを叶えたスター人達の子孫は、荒廃したかつての自分達の星の再興に腐心する。法・宗教・文化・芸術等々を一から創り上げ謳歌する。スター星は彼等にとってまさに長年夢見て手に入れた「楽園」であり「理想郷」なのだ。

 いろいろ解説を読むと、今作はいわゆるユートピア文学であるとのこと。ディストピア文学は読んだことあったんですけどね。初めて読みました、ユートピア文学。加えて未来小説というだけでも自分的にかなり斬新な作品でもありました。なにせ、登場人物は異星人ばかりだし。

読者の方々が別世界のこの物語によって現世の様々の悲惨を一瞬でも忘れるようなことがあればとねがいつつ。

 ラスト、作者の結びのこの言葉がとっても印象に残りました。この作品が書かれた当時、作者も何か現実世界で鬱屈を抱えていたのかしら? などと思いを馳せたりして。いろいろと想像力をかきたてられます。未知の作品のページをめくってゆく高揚感。これも読書の醍醐味。
 ううむ、こういう作品があるからマイナー作って好きなんだよね。知られざる埋もれた作品、まだまだたくさんあると思うけれど、ぜひとも読んでいきたいものだ。


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Theme : SF小説 * Genre : 本・雑誌 * Category : カシオペアのΨ
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