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個別記事の管理2010-03-13 (Sat)

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甘粕大尉 (ちくま文庫)甘粕大尉 (ちくま文庫)
(2005/02/09)
角田 房子

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 ご注意! 驚異的な長さなので、ケッ付き合ってらんね~よッという方は、今すぐバックすることをおススメいたします。

 「エロイカより愛をこめて」に登場したバリバリの軍人エーベルバッハ少佐を地で行く軍人が、かつての日本にも存在しておりました。その名も甘粕正彦。関東大震災の混乱に紛れて、アナーキスト大杉栄とその愛人伊藤野枝、年端もいかない甥の3人を殺害した「甘粕事件」の張本人!

 と言われているが、ただの一大尉が一個人の考えのみでそんな大それた事をするはずがないという噂は当時からあったらしい。実際事件を仕掛けたのは軍部であり、その罪と事実を隠蔽するために彼が犠牲になったという説が、現在最も有力な見解らしいが真相はもはや藪の中。
 軍法会議にかけられ軍籍も剥奪され投獄。帝国陸軍からみじめな一服役者となった彼を支えていたのは、天皇崇拝という一途な信念。国と天皇の為に自分を活かすこと。それこそが彼の人生においての確固たる信条てあり、たとえ無実の罪で投獄されていたとしても、これが国や天皇の為なのだ~と思えばこそ、必死に屈辱に耐えていたに違いない。う~ん恐るべき戦前教育。ある意味洗脳に近いモノを感じる……。

 懲役10年のはずが2年あまりで出獄。スピード出獄にやはり軍部との黒い関係がプンプン匂う。
 刑期を終えた甘粕氏を軍部は罪を被ってくれたことの謝礼の意としてなのか? フランスへと旅立たせる。が、骨の髄まで帝国日本の教育が染みついていた彼に自由と平等の国フランスの風土が合うはずがない!
 生活は荒み一時はギャンブルにハマッて、実家に執拗に金の無心をしたらしい。国の為に仕える事が出来ないというジレンマに、虚しく過ぎゆく日々に、著者は「甘粕の頭は一時的ではあったが壊れていた……」と記述。
 軍部に振り回され受難続きの甘粕氏。この頃からある意味人生に対する諦観の念を抱いていたのでしょうかね。

 そんな甘粕氏に起死回生の機会が訪れる。
 フランスから帰国した彼の次なる住処は、あの満洲。日本の傀儡国家満洲国建国の為に、眠れる獅子はようやく目を醒まし、それからが彼の面目躍如といったところ。水を得た魚のように暗躍。有名な任務としては清朝最後の皇帝溥儀の護衛役と満洲映画協会理事長就任でしょうか。

 著者は甘粕正彦という人物をとても好意的な視線をもって著述しており、恐るべき殺人者という誤ったレッテルを貼られたその真の素顔は、思いやり深い人情家、豪放磊落、快活なユーモリスト等々と挙げている。中国人に対しても日本人と分けへだてなく接し(満映での大幅なリストラや、日本人と中国人との給与格差を無くした等)、最も中国人に好かれた日本人だとも述べている。

 さらに甘粕氏は満洲国の文化水準を高めたいと常日頃語っていたらしい。自分達(日本人)がこの国を造るのだとも。けれど、自分が思うにここに彼の(当時の日本人全般の)傲慢さが現れていると思う。いわゆる上から目線ってヤツでしょうか。国も文化も誰かに造ってもらうモノでは決してないと思うのですが。

 満洲国はソ連の侵攻によりわずか13年でその幕を閉じます。甘粕氏は以前から満洲国の終焉と共に自らも命を断とうと決心していたらしく、満映社員の前で自殺宣言をし、その4日後青酸カリを煽って自らの意志を全うしてしまうという潔さ。
 その彼が残した遺書の1通に、かな~りユーモラスなモノが。
 とある銀行総裁宛てに金の依頼状として。
「200万円貸してください。貸さないと死んでから化けて出ます」

 帝国日本に翻弄され、暗い時代を駆け抜けた一軍人の生きざまを読み終えて、なんとも複雑な感慨を抱きました。

 今回も恐るべき長さ……読んで下さった方、ありがとうございました。気分転換に一曲どうぞ。
 ALI PROJECT タイトルは「神風」!



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この記事関連のブログを読んでいたら、予想していなかった記事に遭遇。著者の角田房子女史が1月にお亡くなりになっていたとのこと。3月12日付けの新聞に記事がのっていたそうだ。びっくりです。
 ジャーナリスト上坂冬子女史といい、この角田女史といい、昭和の生き証人達が去って逝ってしまうのはとても悲しいことです。

 ご冥福をお祈りします。

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Theme : 考えさせられる本 * Genre : 本・雑誌 * Category : 甘粕大尉
* Comment : (2) * Trackback : (0) |

似たような境遇の人物に会ったことがあります * by キヨハラ
甘粕大尉って、そんな人だったんですか。
やはり誰かの何かを引っ被って、日本にいられなくなったのだという人が私の昔の上司というかカウンターパートでした。その人は元大蔵官僚で、最終的に行き着いた先はブラジルでした。そういう人がブラジルには結構いると、日系人たちが言っていました。そういう人って明治時代からいたんですね。
組織のために働いて、それがため、その組織に属していられなくなり、その国さえ離れて生きていくって、その心のうちは、どんなんだろうって気になります。

Re: ホントですか? * by 惺
> ホントに軍部の罪を被ったのか、それともホントに自分の手にかけたのかどうかは、限りなくグレーゾーンだそうです。どうも冤罪臭いというのが現在の有力な説みたいです。
 映画ラスト・エンペラーでこのヒトの役を坂本龍一(教授♪)がやってたんで、実際のお顔を写真で見て思わずあちゃ~(失礼ッ)って思いました。まあ、軍部というか、時代に踊らされちゃったある意味可哀そうな方ですが、個より組織! っていうバリバリ日本男児で軍人さんだったみたいですね~。奥さんそーとー苦労したろうな~e-263

 組織にとってヤバイ人間をどっかに飛ばすっつーのは、日本の悪しき慣例だな~。キヨハラ様の身近にあったなんて、ブルブル~怖いよ~!

 いつもありがとうございます。また来てくださいね☆

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