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個別記事の管理2012-03-17 (Sat)


ZOO 1 (集英社文庫)ZOO 1 (集英社文庫)
(2006/05/19)
乙一

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 久しぶりの乙一作品。今回は黒乙一かな。息をつかせぬ5篇の短篇集。以下BOOKデータベースより内容。

何なんだこれは!天才・乙一のジャンル分け不能の傑作短編集が「1」、「2」に分かれて、ついに文庫化。
双子の姉妹なのになぜか姉のヨーコだけが母から虐待され…(「カザリとヨーコ」)、謎の犯人に拉致監禁された姉と弟がとった脱出のための手段とは?(「SEVEN ROOMS」)など、本書「1」には映画化された5編をセレクト。文庫版特別付録として、漫画家・古屋兎丸氏との対談も収録。


カザリとヨーコ
SEVEN ROOMS
SO-far そ・ふぁー
陽だまりの詩
ZOO


 なかなか面白くて一気読み。サクッと読めてしまうのが自分的に良かった。
 どの作品もダークでグロくてなんともはや。あ、でも唯一 「陽だまりの詩」だけは白乙一っぽい印象が。

 印象に残ったのが カザリとヨーコ・SEVEN ROOMS かなあ。
カザリとヨーコ は母親による娘への容赦ない虐待モノ。双子の姉は虐待され、妹は溺愛されるというかなり極端な設定なので、ちょっとリアリティに欠けたかな。
 母親の存在があまりにも鬼畜すぎて薄い(というか、薄っぺら)です。ディフォルメされすぎて逆に笑ってしまいそうになったし。その虐待された姉・ヨーコ視点で物語は淡々と進行していって、かなり救いのないヨーコの意外にもクールな語り口でウェットにならずに済んでいるかな。
 ラスト、ヨーコの機転を利かせた逆転劇になるほどなと。けれど安易な幸せを望んでいない彼女の選択にそうきたか! とちょっと驚き。

SEVEN ROOMS は初っ端から独特の展開。
 密室に閉じ込められた幼い姉弟。部屋に流れる溝を使って各部屋を行き来できるようになった弟が知ったのは、自分達同様に7つの部屋があり、女性達が監禁されているとのこと。
 そして恐ろしいことにひとりづつ殺されてゆくという事実を知り、生き延びるために姉弟がとった最終手段とは……?
 なんとも後味が悪すぎだけれど、姉と弟の切ない絆が印象的。

陽だまりの詩 はなんだか海外SFを読んでいるような錯覚に陥ってしまった。
 とある人間によって創られたアンドロイド(もしくはロボット)が次第に「心」を持ってゆくという内容。
 自分の創造主の死を前にして、やっと理解する人間的な感情の数々。
 「死とは、喪失感だったのだ」 「愛と死は別のものではなく同じものの表と裏だった」という2つのセリフにグッときました。

 「2」もあるみたいで。近々挑戦したい。ダーク&グロい作品ばかりではなく、真逆のハートフルな作品も多々あるかなり個性的な作家さん。嫌いじゃないんですよね。楽しませていただきました!


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個別記事の管理2011-10-26 (Wed)

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失はれる物語失はれる物語
(2003/12)
乙一

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 なかなか名作との評判を聞き読了。いやいや黒・乙一とはまったく違った魅力の白・乙一作品。以下BOOKデータベースより内容。

目覚めると、私は闇の中にいた。交通事故により全身不随のうえ音も視覚も、五感の全てを奪われていたのだ。残ったのは右腕の皮膚感覚のみ。ピアニストの妻はその腕を鍵盤に見立て、日日の想いを演奏で伝えることを思いつく。それは、永劫の囚人となった私の唯一の救いとなるが…。

Calling You
失はれる物語

手を握る泥棒の物語
しあわせは子猫のかたち
マリアの指
あとがき


 うーん、面白かったし感動したな。
 自分はグロ系の「GOTH」とか「暗黒童話」から入ったのでこんな切ない系のストーリーは初めてかも。
 印象に残った作品をいくつか。

失はれる物語
 これは……初出がラノベという……のわりにはかなり渋い作品だと思った。
 とある一夫婦。その「私」が交通事故に遭って半身不随となってしまう。その彼の一人称で語られる物語。
 唯一感覚が残っている・生きている部位が右腕のみ。指を動かすことでしか意志表示ができない。その彼と妻との切なくも固い絆。
 五感のすべてを失っている主人公が、妻を想い、その妻のために自分が出来る最善の事とは何か。
 人間としての機能・存在を徐々に失ってゆくという、自らのその究極の選択が読んでいて切なく辛かった。

 あとがきによると、作者本人はあまりお好みではないようだけれど、自分的にはわりと好きな作品。
 複雑で不幸な家庭環境の許に育った少年・アサトとオレ。そのうちのアサトは他人の傷を自分に乗り移すことが出来る特殊な能力を持っている。
 孤独な少年2人が親に苛まれ、過酷な状況下に置かれながらも、友情を温めて微かな未来の希望を見出すまで。
しあわせは子猫のかたち
 伯父の所有する家で独り暮らしを始めた「ぼく」。その家には自分以外に「誰か」が住んでいる。その「誰か」とは実はその家で殺された幽霊だった!
 「ぼく」と幽霊と子猫との2人と1匹の奇妙な共同生活。激しい人間不信・人間嫌いに陥っていた「ぼく」がその共同生活を通して得た、他者とのかけがえのない絆。

 どの作品もカテゴリはラノベということですが、とてもそんな印象受けなかった。珠玉の作品集といったカンジで。
 こんな作品も書くんだ! と乙一氏の印象がガラッと変わりました。感動そして面白かった!


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こんにちは! * by 本読み人M
おぉ、「白」乙一作品ですね!(ファンの人はこう呼ぶそうな)
私が読んだのはだいぶ前ですが、「失われる物語」「傷」は、印象に残ってます。
白系では他に、『暗いところで待ち合わせ』も面白かったですよん。
しかし、「GOTH」とか「暗黒童話」とかの「黒」乙一とのギャップがすごいですよね。
作風の幅広さに感心させられます。

Re: 本読み人M 様☆ * by 惺
こんばんは!
> おぉ、「白」乙一作品ですね!(ファンの人はこう呼ぶそうな)
> 私が読んだのはだいぶ前ですが、「失われる物語」「傷」は、印象に残ってます。
> 白系では他に、『暗いところで待ち合わせ』も面白かったですよん。
「白」乙一、面白いですねー!
初めて白系読んだけれど、巧いなあってビックリした(>_<)
「失はれる~」は文芸作といってもいいんじゃないの?
と思ってしまったくらいで…。

> しかし、「GOTH」とか「暗黒童話」とかの「黒」乙一とのギャップがすごいですよね。
> 作風の幅広さに感心させられます。
確かに~!
自分は「黒」乙一から入ったので、そのギャップに唖然としました、まじで。

* by happyflowerpop
私も黒乙一「GOTH」から入ったのですがこの作品集も大大大好きです。乙一の新作を待ち続けてます。「箱庭図書館」も完全オリジナルじゃないし、気合のはいった作品を首を長くしてまっております。
乙一が別名義書いた恋愛小説もなかな胸キュンなんですよ。

Re: happyflowerpop 様☆ * by 惺
こんにちはー☆
白と黒のギャップにビックリ(>_<)
どっちも良いなあって思う♪
「箱庭~」も面白かったけど、アレはある意味添削的な…。
純粋な新作そろそろ読みたいですよね!
別名義作もあるんだ~知らなかった!
何と言う作品ですか?良かったら教えて~。

個別記事の管理2011-06-26 (Sun)

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箱庭図書館箱庭図書館
(2011/03/25)
乙一

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 なにげに好きな乙一氏の作品。新作なのでソッコー図書館に予約入れてやっと読めました。以下BOOKデータベースよりあらすじ。

少年が小説家になった理由。コンビニ強盗との奇妙な共同作業。ふたりぼっちの文芸部員の青くてイタいやりとり。謎の鍵にあう鍵穴をさがす冒険。ふと迷いこんだ子どもたちだけの夜の王国。雪の上の靴跡からはじまる不思議な出会い。
集英社WEB文芸「RENZ ABURO」の人気企画「オツイチ小説再生工場」から生まれた6つの物語。


小説家のつくり方
コンビニ日和!
青春絶縁体
ワンダーランド
王国の旗
ホワイトステップ の感動の6篇収録。

 それぞれの作品はすべて別の方が書いた元ネタがあります。読者のボツ作品を乙一氏がリメイクするという、集英社のWEB文芸「RENZABURO」の企画モノだそうです。
 オリジナルの作品も読んでみましたが、まったくテイストが違います。さすがプロ、見事な作品に生まれ変わっていました。
もう、6篇共すべて良かったんだけど、特に印象に残っているのが、「青春絶縁体」・「王国の旗」・「ホワイトステップ」かな。

青春絶縁体
 高校1年の自意識過剰で人見知りが激しい山里秀太。彼は明るい高校生活を夢見て文芸部に入部するけれど、そこにいるのはたった独りの部員、1年先輩の小山雨季子のみ。毒舌で超個性的な彼女。
 そんな彼女の前でだけは、秀太は素の自分を出すことが出来る。対人恐怖の気があってクラスで孤立しかけている彼にとって文芸部と雨季子だけが唯一の居場所であったはずだけれど、ふとしたきっかけで雨季子と喧嘩をしてしまう。以来、部に来なくなってしまった彼女。失ってみて初めて知る雨季子という存在の大切さ。彼女と仲直りをするために彼は一歩を踏み出す──という、ひとりの少年の精神的成長譚。
 思春期真っ只中の痛い2人の心理状態が見事に描写されていて、思わず共感。こういう時期ってだれでもあるよなあ、とひとり納得。
王国の旗
 まるで「ハーメルンの笛吹き」のよう。一種のファンタジーとして捉えても良いかも。
 好きでもないクラスメイトと自分の心を誤魔化して付き合っている早苗。ある日ミツという不思議な少年と出会って彼が運営しているという「王国」に招待される。
 そこは大人への反発を潜ませた子供だけの王国。夜になると親元を離れて少年少女が集まって来る。
 「王国」とはいわゆる夢の場所=現実逃避。そこにとどまってくれとミツから懇願された早苗だけれど、現実社会と向き合うことの大切さに気付いた彼女はきっぱりと拒否。こちらも少女がオトナへと成長する話を一種のファンタジーテイストで。
ホワイトステップ
 雪面に描かれる死者からのメッセージ。最初はパラレルワールドを扱ったSFテイストなのかな?と思いきや、とってもハートフルなハナシでした。交通事故で亡くした娘と母親の切ない交流を雪という巧い小道具を使っているところが秀逸。ちょっとほろっときてしまいました。

 自分にとって乙一氏はミステリーかホラー作家という印象強いんですが、今回認識改めました。元ネタはあるにしろ、それらバラバラだった6篇をうまくリメイクし、それぞれのハナシ(世界)をリンクさせて1つの小説世界を創りあげているトコロに激しく感動しました。そしてやはりプロの仕事というのに感心させられました!
 乙一氏、コワいだけじゃなくて、ココロに染みいるハナシもお上手なのね、とつくづくつ思い知らせれました。面白かったです。


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こんばんわー * by チルネコ
乙一さん、突然なんでこの名義に戻したんでしょうね?ちょっと行動の意図が読めないですね(苦笑)まぁそれは置いておいても、乙一さんはぞくっとするものと、切ないものが特徴的ですから、本書は本領発揮という感じでしょうか。巷では黒乙と白乙って言われてますね^^

Re: チルネコ様☆ * by 惺
こんばんは!
> 乙一さん、突然なんでこの名義に戻したんでしょうね?ちょっと行動の意図が読めないですね(苦笑)
いろいろな筆名使い分けてるというハナシは聞いていましたが…
しばらくこの筆名使ってなかったんですか?
自分、イマイチ疎くて…。

> 巷では黒乙と白乙って言われてますね^^
おおっ! そうなんですね。
どっちも巧いですよね! 今回初めて白乙を読了。
こんなハナシも書くのね!と目からウロコでした☆

こんにちは! * by 本読み人M
>読者のボツ作品を乙一氏がリメイクする
すごい企画ですね!!
思いつきを形にできるか否かが、プロと素人の違いというわけでしょうか。うわー面白そうーv-353

>コワいだけじゃなくて、ココロに染みいるハナシもお上手なのね
そこがまた魅力ですよね。
『さみしさの周波数』とか『失踪HOLIDAY』とか…『ZOO』や『GOTH』を書いた人とは思えないですv-356

Re: 本読み人M 様☆ * by 惺
こんにちは☆☆
面白かったですよ~、この本!!
やっぱプロは巧いなあ…としみじみしてしまったし!!

> 『さみしさの周波数』とか『失踪HOLIDAY』とか…『ZOO』や『GOTH』を書いた人とは思えないですv-356
黒乙と白乙というのがあるそうで。
これはいわゆる白乙に属するらしいんですが、
自分も黒乙しか読んだことなかったので、目からウロコでした。
こんなハートフルなハナシ書くんだ~!!
とひたすらビックリ(>_<)
Mサンもよろしかったらどぞッ☆

個別記事の管理2011-03-26 (Sat)

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夏と花火と私の死体 (集英社文庫)夏と花火と私の死体 (集英社文庫)
(2000/05/19)
乙一

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 予想外の面白さ! デビュー作なんですね~。ものすごくおどろおどろしいモノを想像していましたが、まったく違いました。以下文庫裏表紙よりあらすじ。

九歳の夏休み、少女は殺された。あまりに無防備な殺人者によって、あっけなく──。
こうして、ひとつの死体をめぐる、幼い兄妹の悪夢のような四日間の冒険が始まった。
次々に訪れる危機。彼らは大人たちの追及から逃れることができるのか? 死体をどこへ隠せばいいのか?


 冒頭から引きこまれてしまいました。なんたって語り手が斬新。9歳の五月という少女が、友人の弥生というこれまた同い年の少女に早々に殺されてしまって死体となる。この展開もかなり悲惨なんですが、さらに、その死体となった五月が一人称でその後を語ってゆく──という展開が巧すぎる!! 語り手が死体なのに、まったく違和感なく読ませるその手腕にまず驚き。
 あらすじにもあるとおり、このハナシは殺人犯を捜すことではなく、焦点となるのは殺人後。幼い犯人達が死体をどう処理するのか? 誰に発見されることなく、巧く死体隠蔽できるのか? というのが一番の読ませどころ。

 なんといっても犯人が11歳と9歳の兄と妹。体力的にも体格的にも死体を移動させるのは困難。何度も何度も大人に発見されそうになる…という危機を乗り越えて、完全な隠し場所へと死体を運ぼうとする2人。
 もうね~、スリリングです。思いっきり心臓に悪いです。大人にバレそうでバレない。毎回毎回、すんでのトコロで危機を回避するんだけどね。
 シチュエーション的にはものすごく異常。かなり怖かったのが、兄(11歳)の健。妹が殺してしまった五月の死体を見ても「笑みを浮かべたまま」とかね。動揺とか恐怖とかをまったく感じていないその心理がかなり異常というか…うすら寒いモノを感じてしまいました。

 そんな恐ろし気な小説の背景には、まったく真逆の夏祭りを持ってきているトコロもなかなか。花火大会で盛り上がる、なんとなく昔懐かしい村の描写なんかは素晴らしい!
 蚊帳・木登り・たんぼ……などなど、ノスタルジー彷彿させるアイテムをバンバン登場させながら、その裏で行われる死体隠蔽工作。このアンバランスな構図もオツですね。

 並行して発生する謎の連続誘拐事件を伏線にした意外なラストにも驚かされました! 他にも細かく張り巡らせた伏線の数々が見事結末で収斂されていく構成もお見事。
 これを作者は当時16・7才で書いたというのだから、ううむ、今さらながら巧いゾ! と感心。同じような作家で日日日(あきら)もいるけれど、ハナシの巧さ・面白さではやはり自分的には乙一かなあ?
 読みやすい短篇。グロさはあまり無いです。むしろ、懐かしい昭和のかほり漂うのどかな田舎の描写に唸ったし。
 乙一氏、ホラーもいいけれど、児童向け童話も書かれているそうなので、ぜひともそっちも読んでみたいなあ。


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ばんわー^^ * by チルネコ
これがデビュー作ってだけで才能を感じさせますよね!何が素晴らしいかってこの語り手の「神の視点」が秀逸でした。しかも郷愁を感じる田舎の風景が、読み手の心象風景をくすぐってきて最高です^^

Re: チルネコ様☆ * by 惺
こんばんは~!
巧さにビックリな1冊でした。
しかも面白いし。まさかまさかのラストにもやられたし。

>何が素晴らしいかってこの語り手の「神の視点」が秀逸でした。
ホントです~。破綻してなくてわかりやすい。
「神の視点」とは良い表現! まさにそんなカンジですね~☆

個別記事の管理2010-06-22 (Tue)

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暗黒童話 (集英社文庫)暗黒童話 (集英社文庫)
(2004/05/20)
乙一

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 久しぶりに乙一作品。コワくてキモかったけど、感動しました。
 いつもお邪魔させていただいている「きっとキミには届かない」の伊織サンのブログで知った作品です。いつもありがとうございます!
 以下文庫背表紙よりあらすじ。

突然の事故で記憶と左眼を失ってしまった女子高生の「私」。
臓器移植手術で死者の眼球の提供を受けたのだが、やがてその左眼は様々な映像を脳裏に再生し始める。それは眼が見てきた風景の記憶だった……。
私は、その眼球の記憶に導かれて、提供者が生前住んでいた町をめざして旅に出る。悪夢のような事件が待ち構えているとも知らずに……。


 「GOTH」に負けず劣らず(いや、GOTH以上かもしれない)グロさ突き抜けた作品でした。が、グロいだけではなく、ちゃんと少女の成長も描いていてなかなか読みごたえがあったのです。
 この作品を一言で表すなら、いわゆる眼球譚とでも言うのでしょうか?  挿入される童話も眼球にまつわるエピソードで、この1作だけ独立してもいいんじゃないかと思うくらいブラックユーモア溢れる一品でした。それにコレもちゃ~んと本編の伏線となっているところが、心憎い!

 移植された眼球が元の持ち主の記憶を映し出すというのも、ありがちといえばありがち設定ですが。けれどそこは乙一氏、きちんとミステリーを解くカギとして使っているのがさすが巧いなと。それも2転・3転させて、読み手(単純な自分)を相当揺すぶって、結局意外な人物が犯人という……ちょっと複雑すぎ&辻褄合わせすぎ感アリアリなんですが、何気に伏線張ってあるので納得してしまう。

 この作品のジャンルとしてはきっとミステリーかホラーにカテゴライズされるんだろうけど、それ以上に自分はヒロイン「私」の成長モノとして読めました。
 不慮の事故で左眼と記憶を失くした彼女。左眼は移植して取り戻したけれど、記憶はなかなか復元しない。自信に充ち溢れた以前の自分とはまるで正反対の劣等感に苛まれた自分。そのことを彼女自身だけでなく、周囲の人間からも強烈に思い知らされ、次第に居場所を失くしてゆく。
 「私」にとって猟奇殺人の犯人を見つけることは、間接的にとは言え現在の自分を受け入れること、自分自身を認めることに等しい。だからこそ彼女はどんな苦境に立たされても逃げずに、犯人を追いつめてゆく。

 挿入の童話がブラックユーモアだったので本編も同じかな~と思っていたら、違いました。ラストは救いがありました。
 本来の自分を取り戻した「私」の、記憶を失くしていたかつての自分に送る最後の言葉がとっても力強くて印象的。
 乙一作品。ともすればコワさグロさに敬遠しがちだけれど、その中にも少年少女の成長(歪んだモノもあるけどね~)が、ほんの瞬間、垣間見ることが出来て自分は結構好きです。


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暗黒童話だ~★ * by 伊織
こんにちは!
「暗黒童話」、読まれたんですね~。名前まで乗っけていただいて、いつもながらありがとうございます(人´∀`)

「暗黒童話」お気に召していただいたようで・・・♪
惺さんも「彼女」と「私」の成長モノとして捉えられたんですね~いっしょだぁ!
ただ、私の場合は本編よりも挿話のほうに衝撃を受けてしまったので、残念ながら「本編よりも挿話を読ませてよ!」って感じで読み進んでしまったので、ミステリー部分としてはあまり楽しめませんでした(汗)

ちょっと時間的にも気持ち的にも余裕があるときにでも再読して、今度はじっくり本編も味わいたいデス

Re: 暗黒童話だ~★ * by 惺
>伊織様e-339

予想してたのよりずっと面白かったです~☆
グロかったですけどね。でもラストの「私」の力強い成長でチャラかな、と。
乙一サン、ただコワいグロいだけじゃなくて、なんか感動するモノがあるんで好きだな~。
こちらこそいつもありがとうございます!
TBも嬉しいですッ☆

個別記事の管理2010-04-26 (Mon)

ご訪問ありがとうございます☆

GOTH 夜の章 (角川文庫)GOTH 夜の章 (角川文庫)
(2005/06/25)
乙一

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GOTH 僕の章 (角川文庫)GOTH 僕の章 (角川文庫)
(2005/06/25)
乙一

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 読もうと思ったきっかけは……単純です。ずばりタイトルに惹かれました。てっきりゴスロリな方達が大活躍するハナシかと思ったからです。が、読んでみてビックリ! 一言でいうなら、ご町内猟奇殺人ミステリーでした。

GOTH 夜の章
暗黒系  Goth
犬  Dog
記憶  Twins

GOTH僕の章
リストカット事件  Wristcut
土  Grave
声  Voice

 の、2冊合わせて6つの短編集。どれも読みやすくてひとひねりがあって、伏線も張りまくって最後にああ~納得! の面白さ。
 「犬」と「記憶」は入れ替わり系。注意して読まないとどっちがどっちだかわからなくなっちゃう。「声」は少し入り組んでいてちょっと判りづらかった。
 「土」は善人の仮面の下にある狂気にゾッとさせられるし、「リストカット事件」は自殺バナシかと思いきや、猟奇殺人バナシ。犯人はすぐわかっちゃうんだけど、間接的な殺人願望を抱く「僕」の、クール且つ淡々とした妖しい魅力に惹きつけられる~。
 ヒーロー・ヒロイン自体が少し歪んでいて、かなりアブナイ人設定がとっても新鮮だった。さくっと読めてちょっと背筋が冷える1冊。今さらですが読んで損は無いです。


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こんにちは~ * by 伊織
遅ればせながら、BK-1の書評掲載、おめでとうございます!
惺さんもBK-1投稿されてたんですね~
これからチョコチョコ覗かせていただこうと思います☆

乙一氏の世界観ってすごく独特ですよね~
私も少し前に「暗黒童話」を読みましたが、ダークなんだけどちょっと物悲しい雰囲気があって結構好きな感じだったので、また他作品も読んでみたいと思っていました。
惺さんが読まれたコチラも面白そうですね♪
参考になりました~★



Re: こんにちは~ * by 惺
> 伊織様

bk1読んでくださってありがとうございます。自分はセブンネット愛用者なんですが、たまたまbk1の書評ポータルを見て、面白ソ~と思って投稿してみました。完全なるビギナーズラックです。よって定期的に投稿するかどうかは自分でもわかりませ~ん。
でも伊織さんが投稿しているなら、ちょくちょく覗くかもです。載っていたら教えてくださいね。すぐに見に行きます!

乙一サンは仰る通りホント独特~☆
他の作品知らないケド、この作品に限っては主人公までちょっと屈折してるし……。
前に伊織さんが読んだモノも近いうちに読んでみたいな~。
また遊びにきてくださいね☆

No title * by キヨハラ
ご町内猟奇。何て新鮮なジャンル!
読んでみま~す

Re: こんばんは☆ * by 惺
> キヨハラ様e-134

……ホントにそうなんですよ~。
どうぞお試しください!

No title * by キヨハラ
お言葉に甘え、トラックバックしなおさせていただきましたe-345

Re: 感謝感激☆ * by 惺
> キヨハラ様e-339

ありがとうございます! 今度また消えたら今度こそGOTHの呪いだと思います。
いろいろとご迷惑をおかけしました。
キヨハラ様の広~いおココロに感謝です。
ヌけてます、おバカです、慌てモノです、自分e-263

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