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個別記事の管理2013-02-03 (Sun)
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午後の曳航 (新潮文庫)午後の曳航 (新潮文庫)
(1968/07/17)
三島 由紀夫

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 これは三島版「恐るべき子供たち」かなと。予想外のストーリーで驚き。以下BOOKデータベースより内容。

船乗り竜二の逞しい肉体と精神に憧れていた登は、母と竜二の抱擁を垣間見て愕然とする。矮小な世間とは無縁であった海の男が結婚を考え、陸の生活に馴染んでゆくとは……。それは登にとって赦しがたい屈辱であり、敵意にみちた現実からの挑戦であった。登は仲間とともに「自分達の未来の姿」を死刑に処すことで大人の世界に反撃する――。少年の透徹した観念の眼がえぐる傑作。

 うーん、これはなかなか衝撃作で。まさに現代の病理そのものを描いたというか。
 2部構成の第一部「夏」は他愛もないラブロマンス。
 ブティックを経営する未亡人房子はもうすぐ14歳になる息子・登と暮らすいわゆるセレブ。その彼女は実直な二等航海士・竜二と再婚予定。
 その房子と塚崎の出逢いと結婚までの過程を、巧みな心理描写と共に描写してゆくのはさすがの巧さ。年齢的に難しい登少年の母親とその恋人に対する好奇心と、自分に対して遠慮がちな大人へのシビアな視線と視点が白眉。

 で、このままメロドラマ的展開で終始するのかと思いきや、第二部「冬」でまさかの超展開。
 登少年は竜二を崇拝し憧憬の念を抱いていたが、それは彼が雄大な「海の男」であったから。それが母親と結婚し自分の父親となり、海を捨て母親の店の経営に乗り出すと知ると、その憧れは幻滅へと変わってしまう。理想ともいうべき存在から俗物へと転落した竜二への登の憎しみにも似た複雑な想い。
 そしてその登がとった行動が正直怖い。仲間とつるみ、なんと竜二殺害を計画してしまうのだ。
 まさに「恐るべき子供たち」といった様相を呈し、まるで外国文学を読んでいるかのよう。現代の少年犯罪に通じるテーマをいち早く取り入れた作者の先見の明は瞠目に値するかと。
 登少年の、大人に向ける終始一貫した冷徹な視線が恐ろしい。純粋であるがゆえに不純なもの・邪悪なものを発見した時の断罪の強さ。
 なんとなく現代の中二病を連想してしまった。少年の昏い心の闇とかね。
 未亡人と航海士との恋愛譚という大人のずるさ甘さを見事に斬って捨てた少年の純粋さ残酷さ。
 日本の、しかも今から50年近くも前にこんな斬新な小説が発表されていたことに正直驚いた。そして三島由紀夫の天才ぶりを改めて思い知ったというか。
 ずるい大人から痛いくらい純粋な子供の心理を巧みに描き分けるその手腕に脱帽の1冊だった。スゴすきる!

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個別記事の管理2012-11-07 (Wed)
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音楽 (新潮文庫 (み-3-17))音楽 (新潮文庫 (み-3-17))
(1970/02)
三島 由紀夫

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 職場の同僚からのおススメでした。まさかまさか同じ職場に似た読書嗜好の人間がいたとは!! 嬉しいやらなんやらで一気に読了。以下文庫裏より内容。

少女期の兄との近親相姦により、美しい「愛」のオルガスムスを味わった麗子は、兄の肉体への憧憬を心に育み、許婚者をも、恋人をも愛することができない。
麗子の強烈な自我は、彼女の不感症を癒すべく懇切な治療を続ける精神分析医の汐見医師をさえ気まぐれに翻弄し、治療は困難をきわめる──。
女性の生の複雑な深淵に迫り、人間心理を鋭く衝いた、悪魔的魅力をたたえた異色作。


 うーん、内容を読むとかなり刺激的で衝撃的なものなのですが。まさにその通りでした。
 ひとりの美貌の女性・麗子が幼少時に兄から受けた性的虐待。成長した後も癒されることなくトラウマとなって麗子の精神を苛み続ける。
 精神的負担に耐えられなくなった彼女が救いを求めた先が精神分析医の汐見。麗子と汐見、この二人が繰り広げる、麗子の回復までの治療の攻防戦とでもいうべきストーリー……というのがおおまかな内容かと。

 面白くて一気読み。特にヒロイン麗子が白眉かと。
 一見すると美貌の令嬢然としているのに、心に巣くう闇は相当に濃くて深い。その暗黒(!)部分が汐見によって次第に露わにされてゆく過程が、とてもスリリング。虚言癖のある麗子の話はどれも信用に値せず、汐見を混乱させるばかり。麗子に翻弄され、その悪魔的な魅力に囚われそうになりながらも、生来の医師たる使命を自らに課して、麗子の言葉の端々からその歪んだ心理・病理を解明してゆく。

 まるでミステリー&サスペンスを読んでいるような面白さ。加えて作者のフロイト心理学の知識を充分に駆使した、本格的精神分析も楽しめる。
 騙し騙され困惑しながらも麗子に惹かれてゆく汐見の姿にもハラハラするし、嘘を見破られてもさらに嘘が発覚する麗子の不気味な狂気、心理状態にも圧倒される。
 一体麗子の本当の「心」はどこにあって何を思うのか。張り巡らされた虚言を打破し、真の心を解き明かす汐見と麗子の緊迫した心理戦が畳み掛けるように展開してまったく飽きずに読了できた。

 あらためて三島由紀夫はすごいなとしみじみ。
 なんといっても女性心理描写の巧みなこと。そして、こんなにも精神分析・心理学に長けていることにも正直驚いた。
 テーマがテーマだけに、麗子の生い立ちがあまりにも不幸で同性としては読むのがキツい部分もあったけれど、ラスト、汐見の怒涛の精神分析には胸のすく思いが。渾身の治療のおかけで、ようやく救われる麗子に安堵している自分はかなり感情移入していたなと。
 ハッピーエンドであるのがなにより。作中ではかなり救われないショッキングな内容が多々あるのだけど、読後感は爽やか。

 過去読んだ「平気でうそをつく人たち」という本を思い出してしまった。
 この本に、この作品とまったくおなじ症例が紹介されていて正直驚き。患者と医師との攻防戦までそっくり同じ。なので余計にこの作品にリアリティを感じてしまったのも確か。
 「音楽」という、小説の内容とまったく関連性がないと思われていたタイトルも、読了後にはなるほどと納得。
 自分が読んだ数少ない三島作品の中でも上位に入る面白さでした。


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* by レナ
三島は、女性の心理描写は本当にうまいですよね!
これはとても気になりますー(>_<)

Re: レナ様☆ * by 惺
こんばんは!
ホントに巧すぎて。
この作品はかなり際どい表現満載だけれど、
自分的にはかなりポイント高いです。圧倒されました!

個別記事の管理2012-09-25 (Tue)
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 ツイッターのフォロワーさんから教えていただいた作品。ひさびさの三島作品。しかもかなり濃いという噂で。以下文庫裏表紙より内容。

一生を女性に裏切られてきた老作家檜俊輔は、美青年南悠一が女を愛することのできない同性愛者であることを知り、この青年の美貌と肉体美を利用して、恨み深い現実への復讐を企てる。
俊輔の計画は、かつて自分を苦しめた女たちを破局に追いつめることに成功するが……。
男色を素材にして、心理小説の世界に<ルネッサンス的ヘレニズムの理想>を造形化した異色長編。


 内容を読んでのとおり、テーマは「男色」……なんだか時代がかった表現で。今なら「ゲイ」だよね。
 読了後の感想はこれぞ三島由紀夫の真骨頂なのだなと(笑)

 過去三度も女性に裏切られ、彼女たちに屈折した思いと憎悪を抱く作家の檜俊輔。彼は自分の容貌にひどくコンプレックスを抱いており、ある日出会った美青年悠一に無性に惹かれてしまう。その彼の個人的性癖である同性愛嗜好を知ってしまった俊輔はとんでもなく悪辣な策謀をめぐらせる。
 それは悠一を利用して、自分を不幸にしてきた三人の女性達に復讐するということ。報酬額につられた悠一は俊輔の悪だくみの片棒を担ぐことを承諾する──というのが今作の骨子。

 まあ、なんといっても主人公悠一の美青年っぷりが凄いです。老若男女、一目見ただけで誰もが悠一に惚れてしまうというその美貌。また三島由紀夫の描写も凄く巧みで思わずため息。その彼が俊輔のいいなりとなって女性達に不幸をもたらしてゆく小悪魔ぶりがなかなか魅力的。
 当時(1950年代)としてはかなりセンセーショナルな内容であり小説であったのではないかと。今読んでもあまり古臭さは感じないし、ゲイキャラクター達もなかなか個性的で面白い。
 超絶美の悠一を取り巻く醜悪でシビアな人間模様が濃密に語られているのも読ませるし、当時の風俗小説として読んでも面白い。男色小説(!)であるから登場するのは男性ばかりなのかというと、実はそうではない。
 貞淑で利発な若妻に姑、金持ちのご婦人とさまざまな女性たちが彩を添えているし、その心理の書き分けは見事でとても魅力的。
 作者自身も気に入っているという鏑木男爵夫人などは、夫と悠一の不倫(?)を目撃しながらもその関係を理解してしまう……という愛すべき人物で自分も結構気に入ったキャラだった。

 当時のゲイ風俗が詳細に書かれているけれど微塵も醜悪さは感じさせない。さらに屈折した小説家俊輔の復讐譚としてもスリリングに読むことができるし、複雑な女性心理も丁寧に書かれている。中でも悠一と彼のさまざまな恋人達の刹那的な関係はなかなか惹かれる部分でもあるし。
 ラスト俊輔の屈折した復讐は悠一をもってして達成することができるのか。そして図らずも自ら悠一を愛してしまった俊輔はどうなってしまうのか。
 などなどエンタメ性も抜群だし、もちろん純文としての重厚さも兼ね備えている作品。
かなりボリュームあったのでほとんど1日がかりでした。ラストは意外なハッピーエンドで自分的にはちょっと拍子抜けかな。
 しかし、これぞ三島! 的な作品。文学史的に彼の印象を決定付けたのは「仮面の告白」とこの作品なのだろうな…と読了後についしみじみ思ってしまったのでした。さすがセンセーショナルな作家さん。作品もかなり刺激的でした!


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個別記事の管理2012-06-01 (Fri)

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真夏の死―自選短編集 (新潮文庫)真夏の死―自選短編集 (新潮文庫)
(1970/07)
三島 由紀夫

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 自分が読んだのはこの書影ではないのですが……。新しい版だね、きっと。
 ブロ友サンの紹介で知った本。ひさびさの三島由紀夫だったので読んでみました。以下BOOKデータベースより内容。

著者自選による第二短編集。
伊豆今井浜で実際に起った水死事故を下敷きに、苛酷な宿命とそれを克服した後にやってくる虚しさの意味を作品化した『真夏の死』をはじめ、文壇へのデビュー作ともいうべき『煙草』、レスビアニズム小説の先駆的な作品『春子』、戦後の少年少女の風俗に取材した作品等、短編小説の方法論と技術的実験に充ちた11編を、著者自身の解説を付して収める。

煙草
春子
サーカス

離宮の松
クロスワード・パズル
真夏の死
花火
貴顕
葡萄パン
雨の中の噴水

 初期短篇集といった印象。一番最初の「煙草」は川端康成に評価され、実質のデビューとなった作品とのこと。デビュー作なのになぜにこんなに巧いのだろうかと……それもこれも非凡の才能のなせる技なのね。印象に残った作品をいくつか。

煙草
 作者の学生時代の体験を基にしているのかなと。
 多分に作者を投影していると思われる虚弱な主人公が、上級生の男子生徒に惹かれてゆく。思春期特有の同性への思慕を切り取り、そのあやうい関係を象徴するのが「煙草」。少年から大人へと憧れながらもなりきれないジレンマが巧く描写されてるなと。
春子
 グリルパルツァー「サフォー」のエピグラフにあるように隠れたテーマはレズビアン。
 2人の美女の間で翻弄される少年の葛藤と愛情。3人の、特に揺れる少年と年上の女性・春子の心理描写が巧すぎる。
サーカス
 異国情緒たっぷりの作風。純真な少年少女の愛とそれを食い物にする大人の醜悪さとの対比が読ませる。
真夏の死
 実際にあった事件を元にした中編。
 避暑地の海岸で義理の妹と2人の子供を一挙に亡くしてしまった女性の葛藤と再生。
 突然に訪れた最愛の人の「死」にとりみだすことも狂気に陥ることもなく、次第に記憶から遠ざかってゆくことに対する後ろめたさ。
 ヒロインのまるで絡みつくような苦悩と複雑な心理描写が巧みで舌を巻く。発表当時作者はおそらく30歳前という若さ。三島由紀夫のウリは女性心理描写の巧みさといっても過言ではないような気がする。
葡萄パン
 一種の風俗小説。当時の若者のスラングをふんだんに取り入れた一種の退廃的な作品。
 少しだけサリンジャーを連想。特にライ麦畑。
雨の中の噴水
 少女に別れを言うためだけに付き合っていたという少年の屈折した心理。結局は少年の堂々巡りとなってしまうのだけれど、なぜか微笑ましい少年と少女のやりとり。目指したのはリラダンの「ヴィルジニーとポール」なのだとか。なるほど!

 どれも読みごたえアリの短篇集。そこはかとない耽美な雰囲気を醸し出しつつ、キャラクターの心理描写は深く鋭い。
 最後の作者による自作の解説も貴重です。


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* by 瀬川レナ
読まれたのですね!(●´∀`)ノ+゜* とても嬉しいです!!

もう私は「煙草」でやられました。耽美で、心理描写もうまくて。
久しぶりに読み返したくなって来ました(>_<)

Re: 瀬川レナ様☆ * by 惺
こんばんは!
読みましたよー! 読みたくてウズウズしてました(笑)
やっぱ巧いですよねー。どの作品も心理描写がスゴすぎて…!
「煙草」は自分も好きな作品です。自分がモデルなのかなってついつい深読み。
女性の心理が深くて鋭すぎるなあっていつも思います。
ご紹介ありがとうございます。当たり!な1冊でした☆

個別記事の管理2011-08-30 (Tue)

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宴のあと (新潮文庫)宴のあと (新潮文庫)
(1969/07)
三島 由紀夫

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 久しぶりの三島作品。高評価でありながら埋もれがちの作品とのこと。以下文庫裏表紙よりあらすじ。

プライヴァシー裁判であまりにも有名になりながら、その芸術的価値については海外で最初に認められた小説。
都知事候補野口雄賢と彼を支えた女性福沢かづの恋愛と政治の葛藤を描くことにより、一つの宴が終わったことの漠たる巨大な空白を象徴的に表現する。
著者にとって、社会的現実を直接文学化した最初の試みであり、日本の非政治的風土を正確に観察した完成度の高い作品である。


 あらすじにもあるとおり、政治をテーマにした小説でした。過去読了した幾つかの三島作品は、いわゆるヒロインの昼メロ的なモノが多かったんですが、今作はガラリと変わった硬派な作品。読み応えありました。三島作品って意外とヒロインが多いんですね。今回もかづという、今で言う高級料亭の女将がヒロイン。
 その彼女が、元首相である野口と出逢い恋愛を経て結婚に至る──ここまでは単なる恋愛小説かと思っていたんですが、それは長い前置きでした。

 結婚してからの展開が今作の真骨頂。無学だけれど情熱的・行動的なかづと、知的で物静かで常に冷静な野口。この真逆な個性の夫婦設定が絶妙。
 革新派に属する野口が都知事選に出馬するあたりから、俄然面白くなってきました。
 料亭の女将としてそれなりに人生を歩んできたかづが夫・野口の選挙運動をサポートしてゆくことに生きがいを見出してしまう──という意外な展開。
 自分でも知らなかった本当の自分。水を得た魚のように政治の世界を自由に泳ぎまわるかづ。夫以上に選挙運動にのめり込み、舌戦を繰り返し、戦略を練る。料亭を売却してまで政治資金を確保し、夫のために奔走する。

 しかし、かづがいくら奮闘しても現実は厳しい。対立する保守派は金の力で選挙に圧勝。
 何もかも失ったかづと野口。2人を襲う寂寥感。野口はこれを限りに政治の世界から足を洗い平凡な生活を送ろうとするが、本当の自分を知ってしまったかづにとって、思想を異にする野口と共に余生を送ることはもはやできない。
 よって、かづはかつて手放した料亭再建という新たな目標を掲げ、果敢にもそれに向かって突き進んでゆく。

 なんとも逞しい女性の姿。作品発表当時は何かと話題になったらしく、あまり評価は高くないようですが、もったいないなあと。選挙戦の内幕と精神的成長に目覚めてゆく一女性とをうまく絡めた、非常に面白い作品。もちろん時代は古いですが、読んでいてあまり古臭さ感じませんでした。
 選挙活動にのめり込んでゆくかづの狂気にも似た情熱。ちょっと病んでいるように思えてそら恐ろしいくらい。
 狂乱の宴のあとにひとり静かに読む、かづの政治活動におけるパートナーともいうべき山崎の手紙がなんとも余韻に残ります。


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これ嫌いなんだけど好きです。 * by semicolon?
女性の熱っぽさと男性の哀愁が素晴らしいですね。
何かを通して自己表現する女性と自己自身で表現する男性、けっこう本質をついてますよね。

Re: semicolon? 様☆ * by 惺
こんばんは♪
> 嫌いなんだけど好き
semicolon?サンにとって複雑な思いのある本なんですねー!

> 女性の熱っぽさと男性の哀愁が素晴らしいですね。
> 何かを通して自己表現する女性と自己自身で表現する男性、けっこう本質をついてますよね。
うーむ。真逆の個性ですよね。
まさに男女の本来の姿というべきか。
本来隠された人間の剥き出しの姿を描写する三島由紀夫の巧さはさすがだなと思いましたね~。

個別記事の管理2011-03-14 (Mon)

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幸福号出帆 (角川文庫)幸福号出帆 (角川文庫)
(2010/10/23)
三島 由紀夫

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 角川文庫の三島由紀夫シリーズはとっても面白~い!! 純文学でありなから、エンタメ性バツグン! この作品もそのうちのひとつ。以下文庫裏表紙よりあらすじ。

美貌の青年・敏夫は、オペラ歌手を目指す異父妹の三津子を溺愛していた。
オペラ界のかつての大物歌手・歌子に取り入り、持ち逃げした財産で「幸福号」と名づけた船を手に入れた敏夫は、三津子と2人で暮らそうとするが、愛人・房子が指揮する高級品の密輸に手を染めていく。
そこに、音楽への情熱を失った三津子も加わり兄妹愛は迷走する。純粋な「愛」は成立するのか。兄妹に隠された真実とは?


 すばり、和製カルメンです。主要キャラはイタリア人とのハーフの敏夫と、その異父妹・三津子、そして税関吏・富田。それに絡む密輸のボス・房子。
 イケメン・タラシのエスカミリオが敏夫、カルメンが三津子、ドン・ホセが富田といった具合で物語は展開。
 なんといってもキャラクターがとっても魅力的! 密輸に手を染めている、悪の魅力満載のイケメンハーフ・敏夫がなんといっても良いです。
 そしてもうひとりの主要キャラである、オペラ歌手を目指していた生まじめな三津子。その彼女が奔放な兄・敏夫の魅力に惹かれて悪の道へと突き進み、 密輸のために律儀な青年税関吏・富田を誘惑しようと蠱惑的な女性に変貌してゆく様が見事!!

 そしてこの敏夫と三津子の恋愛感情にも似たアブナイ兄妹愛がまたエキセントリックでたまらんです。ある意味かなり危険とも言える関係をさらりとした文体で描写しているので、まったく嫌悪感無いし。異父兄妹設定となっているのですが、ラスト、実は2人の出生の謎も明かされる……という、読者を飽きさせない作者のサービス精神がね~、巧い。

 密輸という悪事に惹かれてゆくダークな魅力満載の兄妹。純情な富田の愛を裏切ろうとする三津子だけれど、彼の誠実さに心打たれ男女の壁を超えた真の友情を手に入れるという展開も清々しい。
 「幸福号」という船で自分達の幸福を求めて出帆する敏夫と三津子。「カルメン」のように悲劇に終わらず、爽やかなラストにちょっと安心。
 ま、ちょっと時代を感じさせるけど、洒落た、まさにエンタメ作品!
 三島由紀夫、こんなハナシも書くんだ~!! とまたも目からウロコでした。


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個別記事の管理2011-02-09 (Wed)

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美徳のよろめき (新潮文庫)美徳のよろめき (新潮文庫)
(1960/11)
三島 由紀夫

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 いやいや~、ジャケットがものすごいインパクトありますよね……インパクトありすぎて黄色いお店で発見して即買いしてしまいました。以下文庫裏表紙よりあらすじ。

生まれもしつけもいい優雅なヒロイン倉越夫人節子の無垢な魂にとって、姦通とは異邦の珍しい宝石のようにしか感得されていなかったが……。
作者は、精緻な技巧をこらした人工美の世界に、聖女にも似た不貞の人妻を配し、姦通という背徳の銅貨を、魂のエレガンスという美徳の金貨へと、みごとに錬金してみせる。
“よろめき”という流行語を生み、大きな話題をよんだ作品。


 読み終って、さて、これはどうやって書いたらいいものか? と、今も頭悩ましてます。
 「美徳のよろめき」……う~ん、タイトルにどうしても笑いが。おもいっきりシャレなのかと思いきや、そんなことはない真面目な作品です。当時(1957年)ベストセラーにもなったそうで。今から約半世紀前には、相当な衝撃作だったのでしょうね。あらすじにもある「姦通」とか、とっても時代を感じさせる言葉だし。
 端的に言うと、倦怠期に陥った人妻の不倫バナシです。

 お嬢様育ちで、嫁ぎ先も裕福。ダンナ様も鷹揚で、妻の不倫にまったく気付かないという、ある意味幸せな人。
 経済的にも社会的にも恵まれた節子にとって、平凡な日常は退屈以外の何物でもない。そんな彼女に結婚前に知り合った土屋という男性が現れる。

 その土屋が節子の不倫の相手となり、たちまちのうちに彼女は土屋との関係にハマってしまう。
 まず節子というキャラクター造形がユニークで、彼女、まったく罪悪感というものを持ち合わせていないのだ!
したたかというか、たくましいというか、ものすごいキャラクターです。土屋との子供が出来ても結局は中絶してしまう。それも1度ならず2度、3度!
 対する土屋という人物も結局は節子とは遊びと割り切っていたらしい。ここのところの彼の心理描写があまりないので、最後まで節子に対する想いはわからずじまい。
 ま、この作品、節子というヒロインがどのようにして背徳の道へと堕ちてゆくのか、というのがメインテーマなので、土屋の心情は詳細でなくてもいいんですね~。

 意外なことに、三島作品って今作のように女性心理を描いたモノがとてもたくさんあることに非常にビックリ!
 今から読むと相当に時代を感じて男女観とか多少のズレを感じる部分もありますが、基本、女性を描くのがとても巧いと思いました。意外な発見でした。ただ、そのヒロイン像に共感するかどうかはまた別のハナシですが。

 模範的な主婦であり母親であり妻であった節子が、見事に堕ちてゆく過程が素晴らしい。紆余曲折あって、結局は土屋とは別れる決心をする彼女だけれど、それもドロ沼とはおよそ縁遠いです。ものすご~くドライです。そこがまたこの作品の良いところでもあり、節子というキャラクターの魅力のひとつでもあると思うのだけど。
 「美徳=節子」が悪徳へとよろめいてしまった? という意味のタイトルなのかな~と、個人的に解釈。
 三島作品の中でも、まるで「昼メロ」テイストの怪作といった印象でした。あ、でも、あくまでオトナ向き作品。ワカモノにはあまりおススメできないかも。

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NoTitle * by ひいち
こんにちはー☆

本当に読書されてますよねー。
しかも幅が広いっ!!
さすがだなぁ~。

あの・・・いまさらなのですが・・・。
本当に本当に今更なのですが・・・
惺さんって「さとる」さんとよまれるのでしょうか?
変な質問をしてスミマセン(苦笑)
私はずっと「さとる」さんで入力していたのですが、
「コウ」さんという読みもありますよね?

いつ聞こう~っていつも思っていたのです・・・

Re: ひいち様☆ * by 惺
こんにちはi-176
そうそう、なかなか読めないよね、この字e-263
他のブロガーさんからも、「なんて読むの~?」
と訊かれてて……。
「せい」と読みます。漢字の右半分(つくりっていうの?)の「星」をそのまま音読みしてくれればOKです。
ブログ始める際に、あんまり性別感じさせないのがHNがいいな~と思って、
決めたんだけど……凝り過ぎて今ではちょっと後悔i-229
なにせ、こんなに長く続ける気は毛頭なかったもので……。

変えたいな~と思いつつも、きっかけを失くして今に至ってま~す!

NoTitle * by ひいち
おぉ!!
「せい」さんだったのですねー。スッキリ☆☆
もっと早くにお聞きすればよかったわー(^∀^)
惺さん☆改めて、よろしくお願いします♪♪

素敵な漢字なので、好きですよー♪
(読めなかったくせに・・・苦笑)
星の字が入っているって、いいですよねー。
もう惺さんは惺さんなので、このままでいて欲しいな(^∀^*)

Re: ひいち様☆ * by 惺
こんばんはi-176
> 惺さん☆改めて、よろしくお願いします♪♪
こちらこそ。ひいちサン、よろしくお願いしま~す☆

> もう惺さんは惺さんなので、このままでいて欲しいな(^∀^*)
ありがとです!
自分も面倒くさいので、このままでいさせていただきますe-420

個別記事の管理2010-12-20 (Mon)

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複雑な彼 (角川文庫)複雑な彼 (角川文庫)
(2009/11/25)
三島 由紀夫

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 いやいや~、角川文庫の三島シリーズは自分にとってなんともツボ!
 角川文庫には純文の類は無くて、いわゆる大衆小説・通俗小説がほとんど。そのどれもが自分が想像していた三島由紀夫像を覆してくれて楽しいです。以下文庫裏表紙よりあらすじ。

森田冴子は、実業家である父と渡米したとき、機内で見かけた国際線スチュワードの精悍な背中に魅せられてしまった。
だが、その男宮城譲二は、スパイ容疑を受けロンドンから消えたとか、傷害罪で保釈中の身だとかいう、物騒な噂が多々ある「複雑な」彼だった。
冴子は、彼に翻弄されまいと、必死で恋心にブレーキをかけるが、やがて2人は恋人同士になり……。三島が40歳で書いた、青春恋愛小説。


 女性週刊誌に連載されていたということで、読者ターゲットはもちろんある一定年齢以上の女性。
 ヒロイン冴子はいわゆるセレブなお嬢様。その彼女が一目ボレする彼・宮城譲二は身長六尺(尺!…だいたい180センチかな)の、背中ハンサム。←背中美人のオトコ版のつもり。
 冴子は譲二の顔でなく、制服のビシッとキマッた背中に惚れてしまうんですな。何故か。背中フェチなのかな? で、彼がたまたまイケメンだったためになおさら深みにハマッてゆくという……。
 設定からして女性読者をかなり意識してると思った。令嬢とイケメンスチュワード。しかもその彼は女性関係に関する噂が絶えないらしい。
 で、譲二の方も美人な客・冴子に実は一目ボレ。意識し合う2人は今後いったいどうなっていくのか……?

 と、かなり興味を惹く展開に突入です。なんといってもこのタラシの彼・譲二のキャラクターが秀逸です。
 日本人離れしたルックスに体型。世界を股にかけて女にだらしない、ある意味ワールドワイドな彼。だけど少年のような純情さも持ち合わせているという、ありがちといえばありがちで嫌味なキャラなんですが。
 でも、そこが三島由紀夫の手にかかるとなんとも好感度アップなキャラになってしまうのが不思議なところ。
 軟な譲二に硬の冴子の対比もまた素晴らしく巧い。

 冴子視点・譲二視点とさりげなく視点を変えての心理描写もすんなり入り込んでいけるし。
 譲二に全てを任せてしまいたい冴子、でもどうしても出来ない葛藤と、真に愛する女に巡り合えた譲二の、でもどうしても冴子と結婚できない苦悩が読んでいてもどかしくもスリリング。
 少し冗長なカンジもしないでもないですが、2人の恋のさやあてがなんとも面白い。恋愛観がさすがに今と違ってちょっと時代を感じますがね~、特に冴子には。まあ、それも仕方ないとして。

 ラスト、自分の前から姿を消した譲二を追い求め、愛を告げる冴子が知った、譲二の真の姿。
 意外な悲恋になってしまったオチにビックリでした。背中で恋を始めさせ、その背中で恋の終止符を打たせるという作者のテクに唸る~。
 個人的にはできればハッピーエンドで終わって欲しかった! そう思わせるほど、一気に読めた!

 ただ、コレ、最後の解説を読んでさらにビックリ! 
 この譲二のモデルになった方が解説を書かれているんだけど、いきなり自分の中のイケメン譲二像が音をたててガラガラと崩壊していったのは紛れも無い事実。
 このハナシ、この方の半生だったのね、と知ってかなり脱力あんどショック!! でもまあ、小説としては自分的には面白く読めたので、ま、いいか~。


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たまりません * by キヨハラ
三島作品にも、こんなのがあるんですかー。女性自身的展開も面白そうですし、昭和の香りも深く吸い込んでみたい。私の読みたい本リストに追加することにします。
面白そうな作品のご紹介をありがとうございました。

Re: でしょ? * by 惺
キヨハラ様☆

> 三島作品にも、こんなのがあるんですかー。
こんなのばっかり(でもないか)ですよ~。意外と女性をターゲットにした作品多いみたいです。

>昭和の香りも深く吸い込んでみたい。
昭和も昭和! なんたって「六尺」ですもん。
明治・大正かと思ったし。
良かったらご一読あれ。つっこみドコロ満載で楽しめます。

意外 * by 道楽猫
三島由紀夫って実は敷居が高い気がして未読なんですが
こういう読みやすそうなのもあるんですね。
「背中に惚れる」ってわかる気がします(笑)。
機会があれば読んでみたいな。
ご紹介ありがとうございます。

管理人のみ閲覧できます * by -

NoTitle * by 瀬川レナ
始めまして。瀬川といいます。

今、学校で「作家ノート」なるものをやっておりまして、私は一年間三島をやっています。
「複雑な彼」は買ったんですがまだ読んでなくて、とても参考になりました。ありがとうございますm(_ _)m

Re: だよね~! * by 惺
道楽猫 様☆
> 三島由紀夫って実は敷居が高い気がして未読なんですが
ホント~、わかります!
自分も以前はそう思ってました。
が、実はそうでないコトを最近発見!
爆笑モノのエッセイとか、ご婦人方向けの作品がた~くさんあるんですよ~。
……といっても、自分もそうたくさん読んでいるワケではないですが。

> 「背中に惚れる」ってわかる気がします(笑)。
自分も~!! 
こういうトコ、女性心理をよくわかってるよね、三島サン☆
コメントありがとうございますi-176

Re: はじめまして☆ * by 惺
瀬川レナ様☆
こんばんは~!
自分も何度か瀬川様のブログにお邪魔した憶えが。

> 今、学校で「作家ノート」なるものをやっておりまして、私は一年間三島をやっています。
す、スゴイですね。
瀬川様のお年(確かものすご~くお若いんですよねッ♪)で三島を読むとは!!
自分のグダグダ記事はたいして参考になりませんが、三島作品は意外と面白いです。
しかし、若い人にとってはどうなのかな?と少し不安もあったりして……e-263
一年間頑張ってくださいね!!
応援してま~す☆
コメントありがとうございましたi-176

Re: こんばんは☆ * by 惺
v-83コメ様☆
お久しぶりです~!
もちろん、喜んで!!
ありがとうございました☆

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