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個別記事の管理2010-09-15 (Wed)

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梟の城 (新潮文庫)梟の城 (新潮文庫)
(1965/03)
司馬 遼太郎

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 今は「坂の上の雲」が話題ですが、その司馬遼太郎の本当に初期の作品。第42回直木賞受賞作。以下文庫裏表紙よりあらすじ。

織田信長によって一族を惨殺された怨念と、忍者としての生きがいをかけて豊臣秀吉暗殺をねらう伊賀者、葛籠重蔵。その相弟子で、忍者の道を捨てて士官をし、伊賀を売り、重蔵を捕えることに出世の方途を求める風間五平。
戦国末期の権力争いを背景に、二人の伊賀者の対照的な生きざまを通して、かげろうのごとき忍者の実像を活写し、歴史小説に新しい時代を画くした直木賞受賞作品。

 一言で言うと骨太で重厚な作品でした。
「忍者」をテーマにした作品は山田風太郎や柴田錬三郎も扱っていますが、司馬遼太郎はテイストも方向性もまったく違う。前者2人がかなり派手でエンタメ的なのに対して、司馬遼太郎の作品はどちらかというと渋くあくまで純文路線、というか文芸路線。主人公の人生がしっかりと描かれている。

 忍者としての自分に誇りを持ち、生涯を全うしたいと願う葛籠重蔵と、忍者としての生き方を捨て侍として生きることを願う風間五平。この二人の男の生きざまが見事なまでに対照的。
 特に上昇志向が強く冷徹な風間五平などはものすごく個性的なキャラクター。陰湿な忍者の生活を捨て、華やかな世界で生きたいと願う彼。がしかし、所詮忍者は忍者としてしか生きられず、武士になれないという真理を理解できない彼がまた哀れでもあり、ある種の悲壮感を感じずにはいられなった。
 そしてその五平が終盤とある有名な歴史上の人物となって落命するという設定も、心憎い。

 その主役2人に絡んでくる女性キャラもなかなかのもの。
 気品あふれる謎の女忍者・小萩。そして野生的な美少女・木さる。やはり対照的なこの2人の女忍者をそれぞれ重蔵・五平と絡ませ、運命の明暗をはっきりと分けさせてしまった展開に複雑な想いも。

 根底に流れるテーマはやはり男の美学でしょうか。
 陰と陽の2人の男の生きざまを充分堪能させて頂きました。
 そしてラスト、重蔵と小萩の何とも言えないほのぼのムードが良い。
 予想外のハッピーエンディングで読後感も爽やかでした。


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Theme : 歴史・時代小説 * Genre : 本・雑誌 * Category : 司馬遼太郎
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