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個別記事の管理2013-02-03 (Sun)
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午後の曳航 (新潮文庫)午後の曳航 (新潮文庫)
(1968/07/17)
三島 由紀夫

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 これは三島版「恐るべき子供たち」かなと。予想外のストーリーで驚き。以下BOOKデータベースより内容。

船乗り竜二の逞しい肉体と精神に憧れていた登は、母と竜二の抱擁を垣間見て愕然とする。矮小な世間とは無縁であった海の男が結婚を考え、陸の生活に馴染んでゆくとは……。それは登にとって赦しがたい屈辱であり、敵意にみちた現実からの挑戦であった。登は仲間とともに「自分達の未来の姿」を死刑に処すことで大人の世界に反撃する――。少年の透徹した観念の眼がえぐる傑作。

 うーん、これはなかなか衝撃作で。まさに現代の病理そのものを描いたというか。
 2部構成の第一部「夏」は他愛もないラブロマンス。
 ブティックを経営する未亡人房子はもうすぐ14歳になる息子・登と暮らすいわゆるセレブ。その彼女は実直な二等航海士・竜二と再婚予定。
 その房子と塚崎の出逢いと結婚までの過程を、巧みな心理描写と共に描写してゆくのはさすがの巧さ。年齢的に難しい登少年の母親とその恋人に対する好奇心と、自分に対して遠慮がちな大人へのシビアな視線と視点が白眉。

 で、このままメロドラマ的展開で終始するのかと思いきや、第二部「冬」でまさかの超展開。
 登少年は竜二を崇拝し憧憬の念を抱いていたが、それは彼が雄大な「海の男」であったから。それが母親と結婚し自分の父親となり、海を捨て母親の店の経営に乗り出すと知ると、その憧れは幻滅へと変わってしまう。理想ともいうべき存在から俗物へと転落した竜二への登の憎しみにも似た複雑な想い。
 そしてその登がとった行動が正直怖い。仲間とつるみ、なんと竜二殺害を計画してしまうのだ。
 まさに「恐るべき子供たち」といった様相を呈し、まるで外国文学を読んでいるかのよう。現代の少年犯罪に通じるテーマをいち早く取り入れた作者の先見の明は瞠目に値するかと。
 登少年の、大人に向ける終始一貫した冷徹な視線が恐ろしい。純粋であるがゆえに不純なもの・邪悪なものを発見した時の断罪の強さ。
 なんとなく現代の中二病を連想してしまった。少年の昏い心の闇とかね。
 未亡人と航海士との恋愛譚という大人のずるさ甘さを見事に斬って捨てた少年の純粋さ残酷さ。
 日本の、しかも今から50年近くも前にこんな斬新な小説が発表されていたことに正直驚いた。そして三島由紀夫の天才ぶりを改めて思い知ったというか。
 ずるい大人から痛いくらい純粋な子供の心理を巧みに描き分けるその手腕に脱帽の1冊だった。スゴすきる!

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