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小さき花々 (河出文庫) (2010/07/02) 吉屋 信子 商品詳細を見る |
久々の吉屋信子。河出書房の今月の新刊ということで即買いしました。あの有名な「花物語」の続編として書かれたそうですが、納得の内容でした。以下文庫背表紙よりあらすじ。
幼い頃、教会の日曜学校で仲良くなったみつると栄ちゃん。女学校に進学したみつると対照的に、父の病気のせいで芸者になった栄ちゃんを襲う悲しい運命……(「天国と舞妓」)。
貧富の差など社会の流れの中で引き裂かれてゆく少女たちを描く、「少女の友」黄金期に『花物語』の続編として連載された少女小説の傑作集。
忘れぬ眉目・天国と舞妓・姉の幻影・素直な心のひと・田舎の親類・小さい父さん・考える子・たまの話・人形の家・女の子 の全10編収録。
「花物語」の続編と銘打っているわりには、すべての話に花がモチーフとなっているわけではないです。が、少女達の揺れる心の機微の捉え方などは、さながら熟練職人芸といった風情があります。
従来の吉屋信子の作品の特徴としては、常に弱者の視点から作品を描いていたと思うのだけど、今作は逆の立場、つまり社会的に強い立場の少女を主人公に据えた話が殆どと言ってもいいくらい。その少し傲慢でもある少女が自分とは対照的な立場の少女と触れ合うことによって、今まで自分が狭い価値観の中で生きていたことに気付き、さらなる成長を遂げようとする、または遂げようと思い至る展開がとても印象的。
「素直な心のひと」・「田舎の親類」・「考える子」などがそのテーマの話であり、個人的には秀逸だなと。
今でいうハーフの令嬢とその忠実なお守役との短編「たまの話」は、主従の関係を超えた女子2人の固い絆の物語として胸に迫るし。10編中で1番のお気に入りです。
それぞれの少女達が他者との関わりによって自己を確認し、今までの生き方を振り返り、さらなる成長を遂げてゆく。短編ながらも訴えかけるモノはとても確かでココロに迫るモノがありました。素直に面白かったです!
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