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個別記事の管理2010-09-27 (Mon)

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深爪 (新潮文庫)深爪 (新潮文庫)
(2003/05)
中山 可穂

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 以前、中山可穂作品、今度はどれを読もうかな~と迷っていた時、何かの書評で「偉大なるマンネリ」と評されていた今作に興味。
 期待半分・外れたらどうしよう? の不安半分で読了。以下文庫裏表紙よりあらすじ。

どうしようもなく好きになった。体がとけるほど求め合い、もう二度と離れられないと知った。運命の恋なのに、涙が止まらない。なぜならあなたは人妻だから──。
強く惹かれあい、もつれあい、傷つけあう二人の女性「なつめ」と「吹雪」。幼い子供を守るために、壊れかけた家庭を再生しようとする吹雪の夫「マツキヨ」。
相容れぬ二つの絆で結ばれた者たちが織り成す、愛と赦しの物語。


 深爪・落花・魔王の3篇収録。
 登場人物は「なつめ」・「吹雪」・「マツキヨ」の3人。
 深爪では「なつめ」・落花では「吹雪」・魔王では「マツキヨ」の、それぞれの視点から描いた連作短編集といったところです。
 深爪落花の2作はいつもながらの展開です。
 カッコよくて知的でクールな雰囲気を漂わせる女性なつめと、それなりに美人で何不自由ない人妻である吹雪が一目で恋に落ちてしまい、紆余曲折ありながら破局を迎えてしまうというもの。
 ここまで読むとああ、またなのかな? この展開……と思ってしまいます。「偉大なるマンネリ」と評されるのも無理ないな~と思いながら、最後の短編魔王に突入。

 読了後……前の2作はこの魔王の完全な前フリだったのね~と納得。今までの中山作品とはあきらかに趣が違うこの作品が一番グッときました。
 何より驚いたのが、男性視点で描かれていること。この作者の描く男性ってあまりにも創りものっぽくて酷い人物が多かったんだけど、今回のマツキヨは血が通った一番人間臭いキャラだった気がする。なつめも吹雪もイマイチ魅力を感じない人物造形だったから、余計にそう感じたのかも。

 家庭を捨て他の女の許に去っていった吹雪。その現実をなかなか受け入れることが出来ずに戸惑うマツキヨ。残されたまだ幼い息子を育てるために孤軍奮闘し、ありったけの愛情を注いでも、子供は逃げた母親・吹雪を求めてやまない。
 何故自分は捨てられたのか? 平凡だけど幸せな家庭を築いていたのにそれが何故突然壊されなければならなかったのか?
 時に嗚咽し嘆き、葛藤するマツキヨ。
 けれど母親を慕うあまり吃音症になってしまった息子のため、彼は潔く自分を捨てた妻を赦すのだ。

 葛藤する男性心理はもとより(イマイチ理解不能の部分もあったけど)、父親心理を描いた今作はとっても読み応えがありました。前2作は流し読みでも構わない! 息子に対する、父親の惜しみない愛情を描いたこの最後の1作だけでも読む価値はあるかも。
「偉大なるマンネリ」……とんでもないゾ! 自分的には小出しの新境地? といった印象でした。


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Theme : ブックレビュー * Genre : 本・雑誌 * Category : 中山可穂
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