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少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)
(2009/03/25)
桜庭 一樹

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 作品の評判はなかなか良いとのウワサがあったので購入。奇妙なタイトルからして一体どんな内容なのかと期待して読み始めました。以下文庫裏表紙よりあらすじ。

「たいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった」川村七竃は、群がる男達を軽蔑し、鉄道模型と幼馴染の雪風だけを友として孤高の青春を送っていた。
だが、可愛そうな大人たちは彼女を放っておいてくれない。
実父を名乗る東堂、芸能マネージャーの梅木、そして出奔を繰り返す母の優奈──誰もが七竃に、抱えきれない何かを置いてゆく。
そんな中、雪風と七竃の間柄にも変化が──。
雪の街旭川を舞台に繰り広げられる、痛切でやさしい愛の物語。


 冒頭の、七竃の母である優奈のとんでもないエピソードからグイグイ作品世界に引き込まれてしまった。そしてこのとんでもないエピソードが、そのまま七竃の出生の秘密となってゆく。
 美少女設定の七竃が印象的で魅力的なキャラクターとして描かれ、とても活き活きとしている。誰もが振り向く美少女なのに、当の本人はそのことを忌み嫌っている。自分の美貌をつゆほどもありがたいと思っていないのだ。
 淫乱でだらしなく、放蕩を続ける母親、誰とも知れない、未だ会ったことの無い父親。そんな複雑な家庭環境の中で唯一の救いは、優しく物言わぬ祖父と飼い犬のビショップ、そして幼馴染でもあり、実は異母兄妹である雪風との交流。

 この雪風と七竃、2人の危うい魂の触れ合いがなんとも悲しくて切ない。心を寄せ会いながらも、兄妹と名乗りあうこともできず、ましてや恋人となることなどもってのほか。
 すべてはふしだらな、お互いの父と母のせい。2人はともすれば一線を越えてしまいそうなほどお互い恋焦がれているはずなのに、想いをそれぞれの胸に封印し、健気にも別の道を歩んで行こうと決心する。

 旭川の小さな街を舞台にして、その寒さと純白の雪景色が、孤独な七竃と雪風の心情を映しているようでもある。
 母親の呪縛から逃れようとして、雪風へのほのかな恋心を断ち切ろうとして、都会に旅立つ七竃。故郷で過ごした青春の貴重な時間と想い出に永遠の別れを告げるラストが印象的。

 その彼女を取り巻く大人達─母親も含めて─があまりにも滑稽すぎる。滑稽すぎて思わず笑ってしまうのだけど、決して醜悪ではないのだ。人間関係で悩み、愛憎入り乱れ、生活に追われ、それでも必死になって今日を、現実を生きている大人達がとても雑多で愛おしい。そして、それと対比するように、七竃と雪風の無垢な魂の触れ合いが、まるで壊れやすいガラスのごとく神聖ではかない。

 独特な世界を持った読後感爽やかな作品。自分的にはかなり楽しめましたね。「読みたい!」と思わせるタイトルの、作者のセンスに脱帽です。


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Theme : 今日の一冊 * Genre : 本・雑誌 * Category : 桜庭一樹
* Comment : (4) * Trackback : (2) |

僕も読みましたー^^ * by チルネコ
僕は今の桜庭さんよりもこの頃のラノベから脱皮しますよ的な時期の作品のが好きです^^なんたって七竈って名前つけるのがまず桜庭さんらしくて素敵ですよね!描かれる中身も色彩の彩りを感じとれるほど豊かで、同じく桜庭さんのセンスに脱帽しちゃいます。単行本の装丁も素敵ですよ~^^

Re: チルネコ様☆ * by 惺
> 僕は今の桜庭さんよりもこの頃のラノベから脱皮しますよ的な時期の作品のが好きです^^
巧い表現ですね~。ホントそう思います!! 自分も無意識のうちに今の作品より、過去作品を選んでしまっているし。

>単行本の装丁も素敵ですよ~^^
そう言われると見たくなる~。うんうん、Amazonで見てみようっと!!
コメントありがとうございました☆

お邪魔します * by ごろちゃん
こんにちは。
TBありがとうございます。
こちらこそよろしくお願いします。

いくつか読んでいますが、桜庭一樹の中では私もこれが一番好きです。
この人には、誰もが振り向く美貌を持つ主人公が付き物ですね。
今度はイケてない主人公とかも読んでみたかったりします。

タイトルと表紙と作家名と、惹きつけ要素満点ですね!

Re: ごろちゃん様☆ * by 惺
こんにちは!
TBありがとうございます。嬉しいです!

> この人には、誰もが振り向く美貌を持つ主人公が付き物ですね。
> 今度はイケてない主人公とかも読んでみたかったりします。
言われてみればそうですね~。イケてない主人公…いいかも♪

> タイトルと表紙と作家名と、惹きつけ要素満点ですね!
そうですよね。はっきり言ってタイトルにやられたクチです。
侮れない、桜庭一樹!
コメントありがとうございました☆

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少女七竈と七人の可愛そうな大人 / 桜庭 一樹
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