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個別記事の管理2011-02-11 (Fri)

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吉原十二月吉原十二月
(2011/01)
松井 今朝子

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 本が好き!からの献本です。
 「吉原手引草」に続いての吉原モノ。以下BOOKデータベースよりあらすじ。

容貌も気性もまるきり違うふたりの妓。妓楼を二分する激しい嫉妬とつば競り合いの先に女の幸せはあるのか?

 直木賞受賞作の「吉原手引草」とほぼ似たような作風。語り手が吉原でも名だたる遊郭・舞鶴屋の主人。ある意味伝聞形式をとった手法も彼の作品を思わせます。
 あらすじを読むとかなり激しい花魁同士のドロドロの確執があるような雰囲気ですが……実際読んでみると、予想を裏切ってほのぼの感が漂います。
 まるで女子高を舞台にした学園ドラマを読んでいるような錯覚に陥りました。語り手が担任の先生で、クラスでも人気を二分する2人の美人生徒を語っているような……そんな微笑ましさを感じてしまったのは自分だけでしょうか?

 登場するヒロインは2人の花魁。
 美貌はそれほどでもなく、おっとりとして、何を考えているのか判らない、謎めいた雰囲気を醸し出す小夜衣。
 対するは、目も覚めるような美女で、性格もサバサバ・はっきりとした、胡蝶。この性格も容姿も正反対の花魁の幼少時からその行く末までを絢爛豪華に描いた、吉原絵巻といった様相です。

 作者サンの語り口はなめらかで、とても読みやすい。まさに職人芸といったところ。詳細な吉原の風俗を描写していて、その世界と様式美を充分堪能できます!
 展開としては、小夜衣がメインヒロインといった感じで、彼女の描写が8割といったところでしょうか。これぞ、理想の花魁!といった姿が小夜衣に投影されていて、そのディティールの精巧さには唸ります。
 客を落としてゆく花魁のテクニックなどは、読んでいてなるほど、こんなモノなのか~、と瞠目の一言。天性の花魁というのは小夜衣のことなのね、と感心しきり。
 対する胡蝶はこれまた、愛すべきキャラクターで、常に小夜衣に嫉妬し敵対心を燃やしているけれど、到底追いつけないはがゆさに癇癪を起こすところもまた可愛い。

 難を言えば、もう少し2人の花魁の華麗で優雅な闘いぶりを拝見したかったところ。完全に小夜衣の独り勝ち状態でちょっと物足りなかった。
 が、しかし!! 終盤に意外な展開を用意している作者サンのサービス精神には敬服です。
 突然降って湧いた舞鶴屋での心中に見せかけた殺人事件。なにやらキナ臭い裏がありそうなその事件を、なんと普段ギクシャクしている小夜衣と胡蝶がこの時とばかりは手を組んで、解決の一端を担ってゆく……という粋なミステリーも絡めて読ませます!

 で、いよいよラスト。これも意外や意外、思わずニンマリとするハッピーエンド。一人は独立した生き方を、そしてもう一人は愛する人と共に生きる生き方を。それぞれまるで違った人生を選択するけれど、それもまた潔し! 
 吉原モノというと、湿りがちのお涙ちょうだい的なストーリーを連想しがちな自分ですが、今作はまったく違った味わい。カラッと、爽やかな読後感がなんとも清々しい1品! まさに名作。


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Theme : 時代小説 * Genre : 本・雑誌 * Category : ★献本
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2011/02/12 19:14  日記風雑読書きなぐり