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個別記事の管理2011-02-19 (Sat)

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太宰治全集〈9〉 (ちくま文庫)太宰治全集〈9〉 (ちくま文庫)
(1989/05)
太宰 治

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 太宰治の代名詞的存在のこの作品。初めて読みました。もっとヤバくてかなり陰惨な内容なのかな~と思いきや、まったくイメージ覆されました! 以下BOOKデータベースよりあらすじ。

「恥の多い生涯を送ってきました」3枚の奇怪な写真と共に渡された睡眠薬中毒者の手記には、その陰惨な半生が克明に描かれていました。無邪気さを装って周囲をあざむいた少年時代。次々と女性に関わり、自殺未遂をくり返しながら薬物におぼれていくその姿。「人間失格」はまさに太宰治の自伝であり遺書であった。作品完成の1か月後、彼は自らの命を断つ。

 作者の遺書的作品と言われているようですが、自分はそうは感じませんでしたね。まあ、そんなに太宰治に精通しているわけではなく、思い入れも無いのでそう感じただけかもしれませんが。
 ただ、大変良く出来た作品だな~と。ほとんど作者の人生が投影された私小説だと思うのですが、もし遺書的作品ならば、もっと感情的な部分が全面に押し出されて内容破綻な展開になると思うのだけど。この作品は起承転結で言うならば、起と結部分が第三者視点で、承と転部分が主人公の一人称視点・独白といった凝った構成の、とってもよく練られた作品だな~と思いました。

 主人公・葉蔵の幼少時から転落までの半生譚。ひと言でいうとこんなカンジですね。その彼の根本的な人格に決定的に欠落していたモノ。それは自我だと思った。それがあまりにも無いがゆえに、すべて他力本願の人生を歩まねばならなかった悲劇。
 幼少時から道化の仮面を被らなければ生きてゆけなかった彼の苦悩の根源て何だったんだろう?
 家父長制度の強力だった当時の、絶対的な父親の存在? 抑圧? 要因はいろいろあるんだろうけれど、あまりにも生きる力に欠け、意志薄弱すぎたのがその後の彼の人生の不幸を決定づけてしまったように思えた。

 酒に逃げ、女性に逃げ、自分自身にも逃げ続けた葉蔵の行きついた果ては精神的虚脱。そして皮肉なことに、自分自身を「人間失格」と自覚した瞬間に初めて彼の裡に育ちつつあった自我を見たように思う。
 半ば自虐的に自分の人生を冷静に見つめ、回顧する葉蔵の姿は決して破滅的ではない。人間として生きる上で誰もがぶち当る壁に苦悩し、あがきつづけるその姿はむしろ共感に値する。ただ、お坊ちゃん育ちの彼は、逆境から這い上がるという強さが無かっただけで。

 葉蔵というキャクターは作者自身を投影した姿だと言われているけれど、それは作者だけではないと思う。万人がどこかしら自分に当てはめ、共感・投影し得る部分があるのではないかなと。それがこのテーマの不変性でもあると思う。
 「恥の多い生涯を送ってきました」
 ある程度の人生を送ってきた人物ならば誰しも納得するこの言葉。生きている以上、恥の無い人生なんてまずあり得ないから。冒頭のこの一文で自分は思いっきりこの作品世界に引き込まれてしまいました。

 「人間失格」……誰でも失格な部分てあるよね。むしろ完璧な人間の方がめずらしい。
 好き嫌いが分かれる作品だと思いますが、自分的にはとっても満足な作品。中篇で読みやすいし。あくまで個人的見解だけど、一般で認識されているような自殺願望作品ではないと思ったな~。


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Theme : こころの糧になる本 * Genre : 本・雑誌 * Category : 太宰治
* Comment : (4) * Trackback : (0) |

こんにちは * by ひいち
太宰氏の本は昔・・・途中で挫折したなぁ~(苦笑)
でも、惺さんのレビュー見ていると、
「おもしろそうかも~。今なら読めるかも?」って気分になるわ☆

今はモーリス・ルブラン「ルパン」シリーズ読んでいます。
カリオストロ伯爵夫人おもしろかったぁ(>∀<)

Re: ひいち様☆ * by 惺
こんにちは~i-178
そうそう、今だから読めるっていうカンジです!
若い頃は読もうなんて気はさらさらなかったな~。
ある程度人生経験を積んでから読んだ方がしみじみするかも。

> 今はモーリス・ルブラン「ルパン」シリーズ読んでいます。
> カリオストロ伯爵夫人おもしろかったぁ(>∀<)
きゃ~!! ホントですか?
ちょっと古臭いカンジするけど、面白いですよね☆

喜劇名詞・悲劇名詞 * by 読書系女子
電車は喜劇名詞で汽車は悲劇名詞とかいう所があったような記憶があるのですが(これって人間失格に出てましたよね!?)
あぁ、なるほど、おもしろいなって。

太宰に限らず、男って…と思います、いろんな意味で。

Re: 読書系女子様☆ * by 惺
こんばんは♪
他にも女性名詞・男性名詞というのがでてきました~。
それをもとにして、1篇書いてしまうのだからものすごい想像力!!

> 太宰に限らず、男って…と思います、いろんな意味で。
確かにね……自分は到底ム・リだけど、
このような男子にとことん付きあう女子もまたある意味スゴイなと。
いろいろと考えさせられた本でした。

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