05≪ 2017/06 ≫07
123456789101112131415161718192021222324252627282930
個別記事の管理-------- (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
* Category : スポンサー広告
|
個別記事の管理2011-04-14 (Thu)

ご訪問ありがとうございます☆

村田エフェンディ滞土録村田エフェンディ滞土録
(2004/04/27)
梨木 香歩

商品詳細を見る

 とっても奇妙なタイトル。ソコからは到底内容を想像できず、一体どんなハナシなのか興味津々。以下BOOKデータベースよりあらすじ。

町中に響くエザン(祈り)。軽羅をまとう美しい婦人の群れ。異国の若者たちが囲む食卓での語らい。虚をつく鸚鵡の叫び。古代への夢と憧れ。羅馬硝子を掘り当てた高ぶり。守り神同士の勢力争い―スタンブールでの村田の日々は、懐かしくも甘美な青春の光であった。共に過ごした友の、国と国とが戦いを始める、その時までは…。
百年前の日本人留学生村田君の土耳古滞在記。

 ラヴェルのボレロという曲を連想しました。 あの淡々と同じフレーズが繰り返されて、クライマックスに向けて盛り上がり劇的なラストで終わる、あの有名な曲。
 まさにそんなカンジのストーリーでした。初っ端から言い切りますが、名作です。

 時代的には第一次世界大戦前。トルコ文化研究のために招聘された日本の学者・村田が主人公。舞台はエキゾチックなスタンブール(イスタンブール)。
 その村田が下宿している屋敷の女主人はイギリス人。そして下宿人は彼の他、ドイツ人・オットー、ギリシア人・ディミィトリス。そして下働きのムハンマドと、その彼が拾ってきた鸚鵡の、国際色豊かな面々と一羽との静かで大切なココロの交流。
 最初はまるで実在の人物のトルコ滞在記かと見まごうばかりの、淡々とした村田の語り口で綴られていきます。スタンブールの風俗・風習、古代遺跡発掘の様子、村田と下宿人との交流……などなど、街や人々の的確で詳細な描写。情景が目に浮かぶようなリアルさに驚きも。
 
 クライマックスには妖しげな女性霊媒師・美しい女革命家が登場し、そして今まで同じ下宿人と思っていたディミィトリスも密かに来るべきトルコ革命に一役買っていたという事実の判明。さらに、村田本人の日本への帰国……と、怒涛の急展開。戒律厳しいトルコ女性が実は急進的な革命分子であったり、世界は第一次大戦に突入していったり、そして戦後、トルコ革命の成功などなど。それまでのゆったりと流れるような日常から、真逆の事態の急変に目が離せず。
 
 そしていよいよラスト、スタンブールでの下宿先の女主人から送られた村田宛の手紙がココロ打ちます。
 共に生活し、青春時代の一時を分かち合った、それぞれ国籍の違うオットー・ディミィトリス・ムハンマド。その彼等は無残にも戦争の犠牲となってしまい、皆を偲ぶその手紙が涙を誘う劇的な内容です。

 何故作者は登場人物の国籍をこう設定したのか。ラストまで読んでやっとその理由がわかります。最初から張り巡らされた巧妙な伏線。秀逸なのは、なんといっても鸚鵡でしょう! 最後に村田に届けられたその鸚鵡こそ、村田の青春時代の証であり、亡き友たちの魂の化身でもあるのだなと。
 「およそ人間に関わることで、私に無縁なことは一つもない」
 特に印象的な作中のディミィトリスの言葉なんですが、これが今作のテーマでもあるのかなと。そして、村田の平坦な語り口の裏に隠された反戦への想いも併せて感じ取ったのですが。

 エフェンディとは、おもに学問を修めた人物に対する一種の敬称とのこと。その村田の大切な青春時代とかけがえのない友情へのノスタルジーを描いた秀作。
 読了後、静かな感動でしばし呆然としてしまいました。もちろん、涙腺は崩壊したことは言うまでもないです。


blogram投票ボタンにほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ人気ブログランキングへ
☆いつも応援ありがとうございます☆
関連記事
Theme : 今日の一冊 * Genre : 本・雑誌 * Category : 梨木香歩
* Comment : (6) * Trackback : (0) |

* by まいまい
惺さんのレビュー、楽しみに待っていました。
もう、期待以上です!

ボレロ!!そう、そう、そんなイメージかも。
本当にこれは名作だと思います。

この薄い一冊の本の中に
作者がどれだけの思いを詰め込んでいるのか。
それを表現する描写の美しさと
ドラマチックなストーリー展開。

惺さんのレビューでもう一度
感動がよみがえりました。
ありがとうございます。

* by planetarymoon
タイトルがものすご~く不思議だなぁ
と思ってました
はやくも絶版?
図書館へGOですね☆

あと前の記事の本屋大賞
ふがいない僕・・・
こちらも予約待ちです♪

Re: まいまい様☆ * by 惺
こんばんは!
前に「西の魔女~」の記事のコメントで、この作品のコトをまいまいサンが書いていらっしゃったので、
ものすご~く気になっておりました!
まいまいサンおススメなら絶対ハズレはないだろうな~と思っていたのですが、
やっぱり大当たり!! でした。
下書きではもっと書いてたんですけど、書きたいコトいっぱいありすぎて、
あまりにも長ったらしくなったので、端折りました。
それほど感動したんですよ~!!

> この薄い一冊の本の中に
> 作者がどれだけの思いを詰め込んでいるのか。
> それを表現する描写の美しさと
> ドラマチックなストーリー展開。
ホントですよね。
梨木香歩って、ホントにただならぬ作家サンですね。
「西の魔女~」とはまったく違ったテーマと作風でビックリです。
ご紹介ホントにありがとうございました☆

Re: planetarymoon様☆ * by 惺
こんばんは!
> タイトルがものすご~く不思議だなぁ
> と思ってました
自分もです~。というか、読めなかった…e-263

> はやくも絶版?
> 図書館へGOですね☆
自分も図書館で借りたので、図書館ならありますよ!
本屋大賞が騒がれている今、穴場(?)かも。 借りて損はない名作です!

> あと前の記事の本屋大賞
> ふがいない僕・・・
> こちらも予約待ちです♪
コレも名作なんですよ~!!
特にオトナの女性向き!! 
予約件数がね、恐ろしいですよね……。
planetarymoonサンのトコロの図書館ではどうでしょう?
早く順番が回ってくるといいですね☆

初めまして * by Medeski
検索して辿り着きました。家守綺譚の派生作品ということで、いざ読んでみれば、私は本作の読後の印象がどこか窮屈で違和感を覚えていたのですが、……と他の方のレヴューを廻ってみると、そうでもなさげですね。ちょうど集中力を欠いていたときに読んだせいかな?と思い始めてきました。

鸚鵡は本当に象徴的ですね。イッツ・イナフは狙ってるだけに、思わず声に出して笑ってしまいました。

Re: Medeski 様 * by 惺
はじめまして!
>家守綺譚の派生作品ということで、いざ読んでみれば、私は本作の読後の印象がどこか窮屈で違和感を覚えていたのですが、……
最初は自分もあれ? なんか違和感?
と思っていました。「西の魔女が死んだ」のイメージが強くて、コレはガラッと変わった作風だったせいもあって。
ですが、慣れるに従って感動が押し寄せてきましたね~。
読後感て人それぞれなので、いろいろな感想があってもいいと思います!
>
> 鸚鵡は本当に象徴的ですね。
そうですよね。小道具?の使い方が巧いなって思いました。
ご訪問ありがとうございます! またお越しくださいね(●^o^●)

コメント







管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。