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個別記事の管理2011-04-17 (Sun)

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聖夜 ― School and Music聖夜 ― School and Music
(2010/12/09)
佐藤 多佳子

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 初・佐藤多佳子。新聞の書評で評判良かったので借りてみました。以下BOOKデータベースよりあらすじ。

少し早い、俺たちだけの聖夜。そのオルガンは、特別な音で鳴った。18歳の少年が奏でる、感動の音楽青春小説。

 さらっと読めた爽やかな感動作という印象。
 牧師の父、音大卒の母を持つ主人公・鳴海一哉。その彼の一人称で物語は展開。
 一哉は幼い頃に両親の離婚を経験し18歳の今は父親と祖母と共に暮らしている。絶対音感を持ち、キリスト教系学校のオルガン部の部長でもある。一部の女生徒からも人気があり、幼少時から母親の手ほどきを受けているので、音楽の才能も豊か。
 そんな傍目には恵まれた環境にいながらも、実は彼の心は母親喪失の痛手を負っており、それが一種のトラウマとなっている。ゆえに性格はちょっと屈折気味。

 離婚という事実に起因した父親に対する穏やかな反抗、離れ離れとなっている母親への思慕、音楽への愛情と反発、自分の才能の限界……などなど、若さ特有の悩みと葛藤を体現している主人公・一哉がとても好感度大。ともすれば、高慢で嫌味なキャラクターとなるかもしれないところを、ギリギリの線でクールで憎めない人物像として描いている所が巧いなと。
 その一哉の強がりは、裏を返せば母親の愛情に飢えた、孤独な心の現れ。その心の埋められない隙間を、学内の大切なコンサートをサボッたり、教師に反発してみたり、と「反抗」という形で埋めようとする。

 周りの環境から必然的にクラシック畑で育ってきた彼は、その環境さえも否定するようにロックやジャズに走ろうともする。その若さゆえの反抗や、どうしようもない焦燥感がものすごく良く描写されていて、しばし、一哉に感情移入してしまう。
 そんな彼の唯一の慰めが、1年後輩の天野。真の演奏者である彼女の弾くオルガンの音だけが、彼の心を癒してくれる。音楽を通して、心の共鳴を感じる2人。一時は迷走した一哉が、クリスマスの聖夜、天野の心に染みいるオルガン演奏によって、自分の音楽への愛情を自覚するラストはとても清々しい。

 父親への反発が理解へと変わり、自分を捨てたと思っていた母親が実は陰ながら自分を案じていてくれたと知った一哉。 迷走していた自分の殻を破って、一歩前へと踏み出した彼の精神的成長の描写がとても巧いなと。
 時代的には少し昔の設定なんでしょうかね。懐かしいロックグループも登場したりして。そしてまた、詳細なオルガン演奏の描写と解説も素晴らしいです。
 タイトルのとおり、クリスマスの時期に読むともっと雰囲気出たかもしれません。とても上質な音楽青春小説でした。


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Theme : 今日の一冊 * Genre : 本・雑誌 * Category : 佐藤多佳子
* Comment : (2) * Trackback : (1) |

* by ひいち
こんにちはー♪

おもしろそう☆
こういう青春系が大好きなので、
今度探してみます(^∀^)v

Re: ひいち様☆ * by 惺
こんにちは☆
なかなか上品な物語でありました。
ちょっと屈折した主人公の少年がまた、良い☆
クラシック聴きながら、クリスマスシーズンに読むと
さらに物語世界に浸れますよん♪

コメント







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「聖夜」 佐藤多佳子
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