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個別記事の管理2011-07-17 (Sun)

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ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)
(2010/12/08)
伊藤 計劃

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 初めて読む作家サン。名前だけは知っていましたが作品を読むのは初めて。「虐殺器官」を購入するつもりで書店に行ったのですが、タイトルとジャケットに惹かれてコチラを購入。衝撃的でした。以下BOOKデータベースよりあらすじ。

「一緒に死のう、この世界に抵抗するために」―御冷ミァハは言い、みっつの白い錠剤を差し出した。
21世紀後半、「大災禍」と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は医療経済を核にした福祉厚生社会を実現していた。誰もが互いのことを気遣い、親密に“しなければならない”ユートピア。体内を常時監視する医療分子により病気はほぼ消滅し、人々は健康を第一とする価値観による社会を形成したのだ。
そんな優しさと倫理が真綿で首を絞めるような世界に抵抗するため、3人の少女は餓死することを選択した―。
それから13年後、医療社会に襲いかかった未曾有の危機に、かつて自殺を試みて死ねなかった少女、現在は世界保健機構の生命監察機関に所属する霧慧トァンは、あのときの自殺の試みで唯ひとり死んだはずの友人の影を見る。
これは“人類”の最終局面に立ち会ったふたりの女性の物語―。『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。


 日本人が描くSFではないな、というのが読了後の感想。といっても日本のSF作品に精通しているわけではないので、あまりエラそうなことは言えません。
 が、過去に読了した海外のSF名作品と同じテイストを感じてしまったのも確か。凝りに凝っているけれど、分かりやすい設定と精緻な世界観。
 あらすじではひたすらユートピアを強調していますが、自分的にはこの作品一種真逆のディストピアを描いた作品だと認識してます。

 解説によると、この小説の舞台は「誰も病気で死ぬことがない世界」。
 「大災禍」という悲惨な過去を教訓として争いの起こらない世界を目指した結果、人類は成人になると自分の体にWatchMeというソフトウェアをインストールする。それによって恒常的健康監視システムに組み込まれ、異常に対して万全の予防が施される。社会全体が自他の健康を最大限に尊重し、結果的に戦争や紛争などの起こらないユートピアの実現を目指す──という作品設定。

 いわゆる強固に管理された福祉社会。その体制に敢然と反旗を翻そうとする美少女・御冷ミァハ。自分の身体は自分のモノであると反発して15歳で自殺を図った彼女。
 ミァハの親友・霧慧トァンもまたミァハの思想と自殺に影響されて、この福祉管理社会に対して不満を抱いている。今は「生府」の高官である彼女だけれど、突如襲ってきた人類存亡の危機を巡ってその危機を回避するカギを握る実父と、自殺を図りながらも実は生存しているではないかとされるミァハの行方を探す件などは、SFでありながら良質のミステリーとしての一面もあってとてもスリリング。

 親友と思っていたミァハの恐るべき真の目的を知り、対立するトァンとミァハ。ラスト近く、少女時代とは異なり、今では既に違う思想を持つことになったこの2人の女子の葛藤と決別が読んでいて切ない。
 
 そして社会は、世界は二度と再び「大災禍」を引き起こさないために最後の決断を下す。
 それは人類の「意識」を消滅させ社会と完全に一致させること。そこには「個」も「自我」も存在しない、医療産業社会との完全なハーモニー。これを作中では「天国」と呼んでいるけれど、果たしてそうであるのか?
 社会が人類を完全管理下に置いた、ディストピア(極端な管理社会で、基本的な人権を抑圧するという社会)の誕生に他ならないという、ある意味悲惨なバッドエンドに少なからずショックを受けましたね。

 作者はこの作品を執筆時、既に闘病生活を送っていたとのこと。その作者が医療や死に関してどのような考えを持ち、作品に投影していたのか。考えるととても複雑です。

 少女の悲しい友情の末路・管理社会の恐怖・スリリングなミステリー。多彩な読み方が出来る稀有なSF作品。
 あらためて「虐殺器官」も是非読んでみたくなりました。


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Theme : SF小説 * Genre : 小説・文学 * Category : 伊藤計劃
* Comment : (6) * Trackback : (0) |

おもしろそう * by 読書系女子
徹底管理社会という設定でしょうか?NO.6を連想させます~

>人類の「意識」を消滅させ社会と完全に一致させること

不気味ですね~~
今の医療や政治もかなり不気味な一面がありますが…。

Re: 読書系女子様☆ * by 惺
こんにちは~!
> 徹底管理社会という設定でしょうか?NO.6を連想させます~
ウフフ……そうです!
NO.6ほど酷くはないですけど。
福祉・医療関係に特化した管理社会が舞台です~。

> >人類の「意識」を消滅させ社会と完全に一致させること
> 不気味ですね~~
> 今の医療や政治もかなり不気味な一面がありますが…。
コワイですね~。
そんな社会はお断りですわ。
ちょっと背筋寒くなってしまった1冊でした。読みやすいですけどね~☆

* by ひいち
こんにちはー♪
私も「ハーモニー」から読んで「虐殺器官」そして、
今は、「メタルギア ソリッド」(ゲームのノベライズ)読了しましたぁ。
あと、ハヤカワで編集された、伊藤氏のブログ記事がまとめられた本を読む予定ですー☆
楽しみ♪

前評判をあまり見ずに、読み始めましたが、どの本も賞をとったり、評価が結構高いのですねー!


こにゃにゃー * by チルネコ
僕は『ハーモニー』は未読なんですが、絶対傑作だと読む前から確信してます(なぜかw)。虐殺器官はこれでもかっ!とあらゆる素材を詰め込んだような濃厚なスープの味で美味でした^^自分に許された時間を知っていて、作品に「Today is the first day of the rest of your life」って言われてる気がしたくらい濃い内容でした。お母様のあとがきにも胸を打たれましたね~。本書も必読ですね♪

Re: ひいち様☆ * by 惺
こんばんは!
> 私も「ハーモニー」から読んで「虐殺器官」そして、
> 今は、「メタルギア ソリッド」(ゲームのノベライズ)読了しましたぁ。
> あと、ハヤカワで編集された、伊藤氏のブログ記事がまとめられた本を読む予定ですー☆
この作者サンの作品てあとは「虐殺器官」しかないと思っていたけれど、
まだまだあるんですね!
評価の高い作家サンということはうっすらと知っていましたが、
やっぱり面白い☆
ブログ記事というのも非常に興味あります。
自分もひいちサンを追っかけていこうっと♪

Re: チルネコ様☆ * by 惺
こんばんはー!
> 僕は『ハーモニー』は未読なんですが、絶対傑作だと読む前から確信してます(なぜかw)。
名作ですよ~。SF苦手な自分でもすらすら読めてわかりやすい作品だった!

虐殺器官はこれでもかっ!とあらゆる素材を詰め込んだような濃厚なスープの味で美味でした^^自分に許された時間を知っていて、作品に「Today is the first day of the rest of your life」って言われてる気がしたくらい濃い内容でした。
限られた余命の中で書きあげたというだけでも
一読の価値はありますね。「虐殺器官」近々挑戦したいなー!

お母様のあとがきにも胸を打たれましたね~。本書も必読ですね♪
前作読了なら絶対かも!! 本書にも家族への言葉が掲載されていて泣けます~(>_<)

コメント







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