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個別記事の管理2011-08-10 (Wed)

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舞姫 (集英社文庫)舞姫 (集英社文庫)
(1991/03/20)
森 鴎外

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 河下水希の美麗イラストに一目ボレ。いわゆるジャケ買いです。森鷗外のあまりにも有名な作品。以下文庫裏表紙よりあらすじ。

ベルリン留学中の若いエリート・太田豊太郎は、街で出会った美しい踊り子・エリスの危機を救った。
やがてふたりは魅かれ合い、豊太郎は友人の中傷により免官となる。いったんは栄誉を捨て、エリスとの愛を貫こうと決意するが…。

 昔国語の教科書でお目にかかって以来です。その時は子供心にも豊太郎ってなんて都合のいい男なんだ!! と思った憶えがありますが。
 ○十年経過した今でもその思いは変わらなかったのですが、やはり大人になった分、豊太郎の愛を取るか仕事を取るか、その葛藤する心情は理解できるかな。あ、でも共感ではないので。

 豊太郎のエリスへの愛はやはり本物ではなかったんだろうなー、というのが自分の考え。
 当時としてはエリートコースを突き進んでいた彼。初めての海外渡航に留学。そして初めての(おそらく)恋。しかも相手は金髪碧眼の美少女!! 
 当時の日本人が海外で彼女を作るなんてものすごい快挙だったに違いない。←語弊がかなりあります、スミマセン。
 純粋培養の豊太郎が頼りなげなエリスに一目ボレしてしまうのはいたしかたないこととして……純な彼は深入りしすぎたんでしょうね。
 免疫が皆無だったからこそ、2人は愛(と思われるモノ)にのめり込み、特に豊太郎は同僚の嫉妬の対象となって免官させられてしまう。

 職を失った彼に残ったのはエリスのみ。彼女と共に生きていくことを決意するが、再度彼に重大な局面が訪れる。
 親友相沢の登場によって再び職に就くことが可能になると、豊太郎は彼に押し切られるまま帰国への道を選択してしまうのだ。
 エリスへの愛か仕事(自分の出世・名誉)か。
 ここの葛藤部分はとても理解できる。愛する者を見捨てるわけにはいかない。けれど上司には逆らえない。
 煮え切らない態度と思考のまま月日は過ぎるのみ。

 豊太郎の情けないところは自らで判断決断しないこと。葛藤してはいるが、思い逡巡するのみで行動が伴っていない。エリスへの帰国の意志表示は自らがすることなく、すべて相沢がすることとなる。ラスト数行で、豊太郎はこのデキる親友・相沢に対して毒づいているけれど、彼に感謝こそすれ、恨み事を吐くのは筋違いだろうと自分は思ったのだけれど。親友を恨む前に己を律すべき。
 所詮、豊太郎の現地妻でしかなかったエリスが不幸を全て背負い込み、狂気の世界へと嵌ってしまう悲劇。
 豊太郎はエリスだけではなく、彼女との間にできた自分の子供さえも見捨ててしまうのだからその罪は重い。

 解説にこの物語は悲恋ではなく裏切りの物語である、と評しているけれど、まさにその通り。
 豊太郎の愛は真実ではなかった。憧れの外国でつかの間見た夢であり幻だったのだろう。あれが真実の愛であるというなら、エリスが哀れすぎる。

 うーむ、やはり自分の感想はあまり変わってなかったか。身勝手な男代表・豊太郎。まあ、エリスもあまりにも美化されて描写されているけどね。
 何かで読んだけれど、エリスのモデルとなった女性ははるばる日本まで鷗外を追いかけてきたとか来ないとか。
 同時収録の「普請中」が、舞姫の後日談ぽくて興味深い。

 口語体ではなかったけれど、流れるような流麗な文体。それがこの作品をよりいっそう格調高くしてますね。


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Theme : 今日の一冊 * Genre : 本・雑誌 * Category : 舞姫
* Comment : (4) * Trackback : (0) |

* by まいまい
おお、なんか「舞姫」の読み方がわかった気がしました。
時代に引き裂かれる「悲恋」として読むんじゃないんですね。
素直に、勝手な男の裏切りの物語として読んで、
そうせざるを得なくなる男の心の葛藤や時代状況、
女の絶望を味わうべきなんですね。なるほど。

きっとこの流麗な文体のおかげで
若き日のワタクシは「美しく悲しい恋物語」として読みたかったんでしょうね。

もう一度読みたくなりました。レビューありがとうございます。

Re: まいまい様☆ * by 惺
こんばんは♪
> 時代に引き裂かれる「悲恋」として読むんじゃないんですね。
> 素直に、勝手な男の裏切りの物語として読んで、
> そうせざるを得なくなる男の心の葛藤や時代状況、
> 女の絶望を味わうべきなんですね。なるほど。
自分的に「椿姫」みたいな感じで悲恋として読みたかったんですが。
果てしなくムリでした…(>_<)
これは森鷗外が書いたから価値があるのであって、
ぜーんぜん無名の作家が書いたら
とんでもなくムカつく小説だなあと。←あくまで個人的見解!
ですが、文学史的には当時としてはとても斬新でオシャレな作品だったそうです。
しかし、豊太郎、許すまじ。

私も昔読んだ作品を * by Medeski
読み返して感想が変わることがあります。文学作品なんかは10年毎に読み返してみると面白いのかもしれませんね。舞姫、これは男が読んでも女が読んでもイラっとする作品として記憶に残っていますが、なかには「綺麗な話」として処理する人もいて、興味深かったです。その感想の持ち主が女性だったもんだから、後で気になることになるんだから訊いとけや!と当時シャイな自分だったを殴りたくなります。

Re: Medeski 様 * by 惺
こんばんはー!
ホントです!!
名作はトシとるごとに(ププ)読み返すと大変面白いコトに気付きました。
いやいや、大変イラっとしました。森大先生。
やはりあの華麗な文体で騙されてしまうんですな。
男性から見てもこれ、イラっとするんですね。フムフム。
しかし、こうやって後世にも読み継がれているということは、
やはり名作なんですね…。

コメント







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