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個別記事の管理2011-08-11 (Thu)

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ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)
(2009/04/15)
辻村 深月

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 初めて読む作家サン、辻村深月。以前新聞の書評で石田衣良氏がこの作品を絶賛してました。以下BOOKデータベースよりあらすじ。

忌まわしいあの事件が起きたのは、今から三ヵ月前。「ぼく」の小学校で飼っていたうさぎが、何者かによって殺された…。
大好きだったうさぎたちの無残な死体を目撃してしまった「ぼく」の幼なじみ・ふみちゃんは、ショックのあまりに全ての感情を封じ込めたまま、今もなお登校拒否を続けている。笑わないあの子を助け出したい「ぼく」は、自分と同じ力を持つ「先生」のもとへと通い、うさぎ殺しの犯人に与える罰の重さを計り始める。
「ぼく」が最後に選んだ答え、そして正義の行方とは。

 深いテーマでした。
 てっきり少年が主人公のいわゆる感動冒険モノを想像していたのですが、とんでもなかったですー!
 この作品はYAに分類されるのでしょうか? それとも一般向き? ま、どちらでもいいのですが、もしYA向きであるとしたらとてもわかりやすく人間の倫理と正義を描いているし、一般向けだとしたら平易な描写の影に隠された重く真摯なテーマをこうもわかりやすく表現する作者の手腕にひたすら脱帽です。見事です。

 クラスの人気者でありながら、イマイチな容姿と地味さのために、皆からいいように使われて常に控えめなふみちゃん。そんな彼女の唯一の理解者である「ぼく」。
 ふみちゃんが大好きなのはうさぎ。その飼育は熱心そのもの。「ぼく」も一緒に飼育をしているけれど、当番の日に体調を崩してしまい、心ならずもふみちゃんに交代してもらう……その日から「ぼく」とふみちゃんの過酷な日々が始まってしまう──。
 可愛がっていたうさぎをとある大学生に惨殺され、第一発見者であるふみちゃんがあまりにも凄惨な現場を目撃してしまい、ショックで心を閉ざし強度のPTSDに罹ってしまうという……。
 感情すべてを失くしてしまったかのようなふみちゃんに、「ぼく」は犯人である大学生に復讐することを誓う。

 YA的だなあと思ったのが「ぼく」に不思議な能力を持たせているトコロ。これで否応なく感情移入してしまいますよね。ただ、この不思議な力が決して荒唐無稽なものでない設定なのが今作のポイント。
 そしてその力を有している「ぼく」は必然的に大学生の生殺与奪の権利を持っているわけであって。力を使ってすぐにもその彼の命を奪いかねない「ぼく」を思いとどまらせるのが奇しくも同じ能力を持つという秋山先生。
 「ぼく」が犯人である大学生に復讐を遂げるまでのリミットは約一週間。「ぼく」が有している能力は一体どんなものなのか?
犯人にどんな復讐を遂げさせたらよいのか? 思い悩む「ぼく」は秋山先生に講義を受けることとなる──。

 この秋山先生と「ぼく」との長い長いやりとりが非常に読み応えがありました。この部分を読んでから、YA向きというよりはやはり一般向けなのかなと思い始めましたね。
 どうして復讐をするのか。生きることの意味は何か。自分が信じていることは果たして本当に正しいことなのか。動物と人間の生命の重みに違いはあるか。
 などなど、哲学的というか倫理的というか、深いテーマの2人の問答がグサグサ心に突き刺さってきます。
 さまざまな角度から生命とは? 罪とは? 罰とは? そういった疑問が「ぼく」を通して投げかけられ、秋山先生がそれに答えてゆくという問答形式。しかし、秋山先生は決して明確な回答を「ぼく」に提示しない。あくまで自分で考え、答えを導きだそうとする。

 「ぼく」は特殊な能力を持っているがため、ともすれば犯人にとって生命を司る「神」ごとき傲慢な存在になれる。早急にその力を使おうとする「ぼく」に対して己の傲慢さを踏みとどまらせ、罪と罰の重みを悟らせ、さらに生命とは一体何かを考えさせる秋山先生。
 この2人の対話が作中の白眉といって良いかな、というか、そうなんだけど。迫力ありました。

 ラスト、「ぼく」が力を行使する際の予想外の自己犠牲。ただ徒に他人の生命を奪うことはしない「ぼく」の決死の覚悟に涙。
 その「ぼく」自身もうさぎ惨殺事件の悲しい犠牲者だったと判明する件はちょっとばかりミステリー仕立てで楽しませてくれました。

 「ぼく」とふみちゃんの友情の証である大切な「メジャースプーン」。それは同時に人間の罪と罰を量るという今作の象徴でもあるのだなと。
 巧すぎて圧倒された作品でした。ぜひ若者にも読んでほしいなとつくづく思いました。←いや、もう読んでるのか。自分が読むの遅すぎるんだな。


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☆いつも応援ありがとうございます☆
Theme : 考えさせられる本 * Genre : 本・雑誌 * Category : 辻村深月
* Comment : (4) * Trackback : (0) |

これは * by 道楽猫
面白かったですよね。私も感動しました。
次は是非「凍りのくじら」を!
こちらも傑作です。

「ぼくのメジャースプーン」とリンクするのはどちらかと言えば「子どもたちは夜と遊ぶ」とか「名前探しの放課後」のほうですが、(凍りのくじらとも少しリンクはしています)
正直なところ、「子どもたちは~」と「名前探し~」は好みが分かれると思っていますので。

Re: 道楽猫様☆ * by 惺
こんばんは!
> 面白かったですよね。私も感動しました。
> 次は是非「凍りのくじら」を!
> こちらも傑作です。
感動しました。
この作家サン、ホント巧いですね! ビックリ通り越して驚愕の域です。
次作品はぜひとも道楽猫サンおススメの「凍りのくじら」にしようかと。
リンク作多いんですね。それもまた楽しみかも☆
おススメありがとうございます!

* by ひいち
こんにちはー☆

辻村さんの作品もだいたい読んでいるけれど、
大好きな作家さんです(^∀^)
一番すきなのは「凍りのくじら」かなぁ~☆

シリーズものとまではゆかない程度だけれど、
色々な作品が少しずつ繋がっているので、
それも、楽しみのひとつデス(^∀^)

Re: ひいち様☆ * by 惺
> こんばんは♪
> 一番すきなのは「凍りのくじら」かなぁ~☆
この作品名作の呼び声高いんですね!!
道楽猫サンもおススメしてくれたし。
ではでは次のチャレンジは「凍りのくじら」でいきたいと思います。

> シリーズものとまではゆかない程度だけれど、
> 色々な作品が少しずつ繋がっているので、
> それも、楽しみのひとつデス(^∀^)
解説にもチラッとそのようなことが書いてありました。
ちょっとずつ登場人物たちがリンクしているようで。
作者サンのサービスなのね、きっと。

コメント







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