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晴天の迷いクジラ晴天の迷いクジラ
(2012/02/22)
窪 美澄

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 前作の「ふがいない僕は空を見た」がとても良かったので、こちらもものすごく期待。以下BOOKデータベースより内容。

壊れかけた三人が転がるように行きついた、その果ては?人生の転機に何度も読み返したくなる、感涙の物語。

 登場人物は3人。
 地方から出てきて都内でデザイナーとして働く24歳の由人。家族関係のトラウマを抱えながら彼女にフラれ、さらには勤めている会社が倒産寸前……という苦境に立たされ、ついに軽いうつ病に罹ってしまう。心療内科を受診して渡された錠剤。それを服用してなんとか精神と身体を持ち答えさせている。
 その由人が勤務する会社の社長・野乃花。可愛らしいのは名前だけで、50歳寸前の男と見紛うばかりの女傑。その彼女も若くして子供を産んだのはいいけれど、育児ノイローゼに罹り、幼い娘と故郷を捨ててきた……という過去を持つ。
 そして、異常なまでに潔癖症で神経質な母親の許で育った正子。唯一出来た親友を亡くし、異常なまでの干渉を受ける母親の影響下で次第に精神を病みそうになってゆく……。

 ……というこの3人がふとしたきっかけで知り合い、偶然テレビで見たとある島に迷い込んだクジラを見に行く──という共通の目的を持ち、共に行動してゆくという物語。
 さすが、心を病みがちな人物を描写させたら巧いです、作者サン。三人三様の心の葛藤や苦悩や病理が巧く表現されていて圧倒的な筆力で一気読み。鬱・育児ノイローゼ・リストカット等々、代表的な現代病を抱える人物がとてもリアル。
 自分的に一番良かったエピソードは正子かな。異常なまでに神経質で過干渉な親の許で次第に壊れてゆく少女の心理と、唯一出来た友人である双子との関わりがとっても良い。赤ん坊の時に重病で亡くなってしまった姉に囚われている正子一家の狂気もさりげなく恐ろしい。その狂気からなんとか抜けだそうとする正子が、自然体で描かれていることに好感持てた。

 耳が聞こえなくて島に迷い込んでしまったクジラが快復し海に戻るまでを、そっくりそのままこの3人に例えているのもまあ、少し予定調和かな? と思えなくもないけれど。心を病み迷い傷ついた3人が、がんじがらめの自分の現状を抜け出し、おおらかな島の素朴な人達との触れ合いによってその心身共に回復させてゆく──という、ありきたりといえばありきたりなストーリーなのだけど、出色なのはやはり3人が次第次第に壊れてゆく過程の描写。

 ラストは清々しいハッピーエンド。全体としての印象は個人的には良かったと思うのだけど、ただ作中あまりにも誇張・偶然が重なったりして興が殺げる部分も。特に由人の家族で、兄がひきこもりで妹が15歳で出産とか。ちょっと読んでいてうーん……って思ってしまったり。作りすぎ? と思う箇所も。そういう部分があってこそ、ラストの清々しさが生きるのかなと。あ、でもこの作者サンのハッピーエンドは決して手放しで喜べるラストではなく、どん底の中にもほんの少し垣間見えるひとすじの光──的な、ささやかな救いで終わるところが、少し毒が入ってまた面白い。

 一気に読ませて感動させてくれる作品でした。なんとなく前作と似たテイストなので、今度はまったく違った系統の作品も読んでみたいなあ……と、ふと思ってしまったのでした。


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