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個別記事の管理2012-05-06 (Sun)

ご訪問ありがとうございます☆

   

 自分的に期待値最大。ジャケ画もタイトルも渾然一体となった素晴らしさ。一気読みでした。以下BOOKデータベースより内容。

爛熟と頽廃の世紀末ウィーン。オーストリア貴族の血を引く双子は、ある秘密のため、引き離されて育てられた。
ゲオルクは名家の跡取りとなって陸軍学校へ行くが、決闘騒ぎを起こし放逐されたあげく、新大陸へ渡る。一方、存在を抹消されたその半身ユリアンは、ボヘミアの「芸術家の家」で謎の少年ツヴェンゲルと共に高度な教育を受けて育つ。
アメリカで映画制作に足を踏み入れ、成功に向け邁進するゲオルクの前にちらつく半身の影。廃城で静かに暮らすユリアンに庇護者から課される謎の“実験”。交錯しては離れていく二人の運命は、それぞれの戦場へと導かれてゆく―。
動乱の1920年代、野心と欲望が狂奔する聖林と、鴉片と悪徳が蔓延する上海。二大魔都を舞台に繰り広げられる、壮麗な運命譚。


 面白くてあまりの厚さに最初は戸惑っていましたが、読み始めたら俄然ページをめくる手が止まらず。皆川博子ワールド全開の重厚かつ豪華絢爛な世界観に圧倒されっぱなしでした。
 まずイントロが秀逸。汚穢の悪臭・腐乱した死体・鴉片中毒者等がうごめく上海の貧民窟で発見される華美な衣装をまとった役者の謎めいた屍骸──そこから一気に舞台はウィーンに飛んで運命的な双子のストーリーが展開。
 結合双生児であった彼らは分離手術を受けて、ゲオルクは貴族の嫡子として、ユリアンはその存在を抹殺され人知れず顛狂院に匿われる。光と影のように生きる2人の運命を交互に、さらに重要なサブキャラであるツヴェンゲルとパウロを交えた視点で進むストーリー。

 ゲオルクはその放蕩ぶりから廃嫡され新大陸・アメリカで映画監督として成功する。時代的に映画の黎明期を重ね合わせているところがかなり読み応えがあった。ゲオルクが創り出す映画の数々、プロデューサーとの対立・葛藤等こまごました内情がリアルに描写されていて一種の成功譚としても楽しく読める。
 平行して不幸な出生のためにやむを得ず影の存在となったユリアンの生い立ちもまた耽美的な語り口で酔わせる。彼の引き取り手となったヴァルターとの親子の情、幼馴染であるツヴェンゲルとの切っても切れない固い絆。それらを育んでゆくユリアンの姿は、華やかで豪胆なゲオルクとは対照的に哀切に満ちてはかなすぎる。特にユリアンの章はゲオルクとの感応力、ツヴェンゲルとの密接な関係等々、ミステリアス&耽美的なテイストが盛り込まれていて皆川博子の真骨頂かなと。

 しかしミステリーとして読むとかなり弱いなという印象が。
 さらにもう少しゲオルグとユリアンとの濃密な葛藤や苦悩が描かれるのかと思っていたら、意外にもあっさりとしていて個人的に物足りなさも。それにどちらかというとゲオルクの映画人としての成功譚と、ユリアン・ツヴェンゲルそしてヴァルター3人の運命譚が程よく絡み合った絢爛豪華な作品といった印象が強い。

 個人的に魅力的だったキャラは何と言ってもツヴェンゲル。ゲオルクとユリアンが肉体的な双生児ならば、彼はユリアンと精神的な双生児だったのだと解釈。さらに読んでいて思わず眉を顰め鼻をつまみたくなるような醜悪な上海の貧民窟の描写も極上かと。
 皆川作品を読むにつれ思うのは往年の少女マンガ。特に萩尾望都作品を彷彿させる。作品の根底に流れる優雅さ華麗さ切なさが類似しているせいなのかなと。
 まるで劇的な映画を観ているような作品。まさに映画的な上海貧民窟イントロの仕掛けにもやられました。ラストまで読んでわかる、こうきたか!と。期待に違わぬ自分的に大満足な1冊でした。


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