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夜よりほかに聴くものもなし  山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)夜よりほかに聴くものもなし 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)
(2011/09/23)
山田 風太郎

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 忍法帖シリーズ以外、しかも初・現代小説ということで興味津々で読了。山田風太郎でミステリー……ほとんど忍法帖しか知らなかったのでいったいどのような作品なのかと。以下BOOKデータベースより内容。

東京で五十過ぎまで刑事生活一筋に生きてきた八坂は、ある日、車が母子を轢いた現場に遭遇する。居合わせた男の証言によって過失の事故と判明し、運転していた御曹司は無罪に近い判決を受けた。2年後、八坂は証言者が御曹司の運転手として働いているのを知る。その哀しき理由とは…(「証言」)。
同情すべき事情、共感できる動機。犯罪者それぞれの背景に心揺れる八坂。だが、それでも…。哀愁漂う連作刑事ミステリ。

第一話 証言
第二話 精神安定剤
第三話 法の番人
第四話 必要悪
第五話 無関係
第六話 黒幕
第七話 一枚の木の葉
第八話 ある組織
第九話 敵討ち
第十話 安楽死


 やはりスゴイ作家なのだなと改めて感心させられた。忍法帖のような派手さ豪快さエンタメ性はないけれど、哀愁を帯びた初老の刑事佇まい、深い心理描写、納得できる動機、当時の社会のどうしようもない不条理等々、引きこまれて一気に読了。山田風太郎は忍法帖という卓越したアイデアだけが面白いのではなく、彼が持つ読みやすい文体、テーマ、そして作品の奥底に流れる人間愛──特に社会的・人間的な弱者に対する愛情が満ち溢れているからなのだなと痛感。

 主人公である刑事・八坂がとても渋くて優しい。
 遭遇する犯罪をいきりたって断罪するというのではなく、静かに穏やかに慎重な推理と捜査を重ね犯人を挙げてゆく。巧妙なトリックや派手な逮捕劇があるわけではない。犯人と八坂との間の、時に静謐な時に行き詰るような心理戦。心理的捜査と言ったらいいのか。犯人の心の闇に直接沁み入り、穏やかに罪を暴いてゆく。頑なに犯人を攻めるのではなく、犯人の動機に共感したり反感を抱いたりあくまでも人間味溢れるやり方で断罪し、逮捕に導いてゆく過程の描写が巧みで感情移入。

 1960年代を背景としているので社会風俗等に多少時代を感じてしまうのは仕方ないけれど、各キャラクターの個性や心理・犯罪の動機などは充分現代でも通用するし納得できる。
 各話のラストでの八坂の決め台詞「それでもおれは君に、手錠をかけなければならん」の言葉が重く辛く感じるのは、やはり犯人のどうしようもない葛藤や苦悩を八坂が充分理解しているからなのだ。犯人にも罪を犯すそれ相応の動機があり、悲しみがある。まるで社会の縮図のような複雑な人間模様を垣間見ているよう。

 久々に読んだ重厚な人間ドラマ。やっぱり好きだな、山田風太郎。彼の作品の奥底に優しさがあり、人間に対する愛情をふつふつと感じてしまうのは自分だけではないはずだと。なにより奇を衒わない読みやすさがとても好きだ。
 ヴェルレーヌの詩のフレーズからとったタイトルも印象的。


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