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個別記事の管理2012-06-11 (Mon)

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カメラ・オブスクーラ (光文社古典新訳文庫 Aナ 1-1)カメラ・オブスクーラ (光文社古典新訳文庫 Aナ 1-1)
(2011/09/13)
ナボコフ

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 図書館で偶然発見したナボコフの未読本。新品っぽいし俄然興味津々で借りてきました! 以下文庫裏表紙より内容。

裕福で育ちの良い美術評論家クレッチマーは、たまたま出会った美少女マグダに夢中になるのだが、そこにマグダの昔の愛人が偶然姿をあらわす。
ひそかに縒りを戻したマグダに裏切られているとは知らず、クレッチマーは妻と別居し愛娘も失い、奈落の底に落ちていく……。


 端的に言うと「運命の女(ファム・ファタール)」モノ。
 ひとりの美少女に心奪われ破滅してゆく年の離れた男性の物語。ありきたりといえばありきたりなのだけど、さすがナボコフ。面白くて一気読みしちゃいました。
 まず、タイトルの「カメラ・オブスクーラ」とはラテン語で「暗い部屋」という意味。もっと詳しく言うと「素描を描くために使われた光学装置のこと(ウィキより)」であり、現在のカメラの語源にもなった言葉。このタイトルが作品をまさに象徴していて巧いなあと。

 前半部は裕福な美術評論家・クレッチマーと娼婦型美少女マグダとの馴れ初めと駆け落ち。
 特にクレッチマーは妻帯者でありながらマグダとのたった一夜の浮気が元で妻と娘と別居することに。すべてを失った彼にとって一縷の望みがマグダだけ。そのマグダは根っからの小悪魔で、クレッチマーとの付き合いもズバリ金銭目当て。クレッチマーを適当にあしらいながら一方では元彼であるホーンと復活して浮気を楽しんでしまうというなかなかに性悪サン。
 この、クレッチマーのマグダへの激しい依存度というか溺れっぷりが前半の読みどころかな。
 社会的・経済的に恵まれていたひとりの男がほんのコムスメにひっかかっただけで身を持ち崩してしまう、その情けなさぶりと激しい愛情ぶりが見事。

 で、後半がナボコフの真骨頂というか。ただの悲恋ストーリーに終わらせないところがね、巧い。
 紆余曲折あってクレッチマーはマグダとホーンの裏切りを知ってしまうのだけれど、そのきっかけがなかなかユニーク。クレッチマーの友人である作家を登場させて、構想中の作品のプロットをクレッチマーに語らせる中で浮気発覚を知らしめる……という流れになるほど~目からウロコ。
 そこから終盤に向けての悲劇の始まり。マグダとともに自殺を図ろうとしたクレッチマーに襲いかかる両眼失明という事実。
さらに皮肉なことに、憎き相手であるはずのマグダとホーンに養われながら軽い監禁状態にされてしまうという……サスペンス仕立てのスリリングな展開がまた面白すぎた。ラスト、一度は囚われの身から無事救われ、よもやハッピーエンド……というところでの衝撃の幕切れになんとも複雑な思いも。

 クレッチマーの悲劇はマグダとの出逢いの時から始まっていたのねとしみじみ。マグダとの恋は盲目。そのために家族という真の幸せを見極めることができず、さらに失明してから永遠に「暗い部屋」に留まることを余儀なくされた男の悲劇。ここに巧くタイトルが象徴されているなと。
 訳者のあとがきを読むとさらにこの作品の深みが理解できる。さらに作者の代表作「ロリータ」の先駆的作品である、という解説にも思わず納得。
 似たテイスト・エッセンスが散りばめられていながら「ロリータ」よりも平易にわかりやすい。「ロリータ」と比較して読むのもまたオツなのかも。
 いやーしかし! 小説中の男子はどうしてもこの娼婦型女子が好きだね~。関わると火傷するってわかっちゃいるけどやめられない! てヤツなのね、きっと。


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